笑顔の仮面 3
「あ、そうそう。連絡先交換してくれない?」
「……連絡先。別にいいけど」
ポケットからスマホを取り出し、アプリを起動する。
俺のスマホの画面をのぞき込んできた御流が、目を丸くした。
「もしかして、全員の連絡先知ってるの?」
右上に表示されているフレンドの数を見たらしい。
「基本的にはみんなかな」
つながってないと何かと不便だし。
そう答えると、御流は小さく息を吐いた。
「……これだから陽キャは。」
「聞こえてるよ?」
「聞こえるように言った」
苦笑しながら、試しにスタンプをおくる。
すぐに既読が就いた。
少しして、御流からもスタンプが送られてくる。
「ありがとう」
「……うん」
そこで、ふと気になった。
「というか、昨日の夜、なんかあった?」
「何が」
御流の顔を見る。
昨日初めて会った時の、人を寄せ付けないようなとげとげしい雰囲気。何を言っても突き放されそうな感じがあった。
でも、今目の前にいる御流は少し違う、ような気がした。
「う~ん、なんか昨日より丸くなったかなーって」
「……は?」
「昨日はもっとこう……。」
どう説明すればいいのか迷う。下手ないい方をしたら、機嫌が悪くなるかもしれない。
言葉を選びながら、慎重に口を開く。
「毒を吐くっていうか。近寄るなって感じがすごかった!」
…やっぱり余計なことを言ったかな。
そう思った時だった。
「今は?」
不快になったわけではなさそうだ。
「ただの人見知り」
「……誰が」
「人見知り」
御流はしばらく黙り込んだ後、深いため息をついた。
「じゃぁ昨日敬語だったのは?」
「一応先生の前だから」
「なるほどね」
問題児といわれていても、そういうところは気にするらしい。
少しだけ、御流のことを知れた気がする。
近寄りがたい雰囲気だけど、話してみれば意外と普通だ。
…本人に言ったら嫌がられそうだけど。
「…もういい?」
「うん。連絡先交換できたし」
「そう」
御流はそれだけいうと、イヤホンを耳に戻した。そのままスマホをいじり始める。
どうやら、もう話す気はないらしい。
まぁ、これ以上邪魔するのも悪いか。
「またあとで」
そう言い残して、俺は自分の席へ戻った。




