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楽してのんびり生きていたいけど、やっぱりお金は稼がなきゃ ー宇宙開拓記 その2ー  作者: 杠煬
最終章 エピローグ

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誰かの笑顔

最終話です。楽しんで頂けたら嬉しいです。


「どうもごちそうさまでした!!」

「どういたしまして。なかなかの美味しかったのことね。それにしても潟田ガタダさん、お寿司全種類を2周のするなんてさすがやわ。大将もビックリしてたのことよ」

「ちょっと引いてましたもんね(苦笑)」



お寿司屋さんを出て、こんどはお酒でも飲もうかってことになったので、ショウコちゃんが接待でときどき使うおされなバーまで歩くことにする。

歩きながら、チュウさんと話す。



「そういえばさっき買った模型って、仕事の資料だっておっしゃってましたよね?もしかしてですけど、今度は宇宙人さん相手にホンモノの鉄道でも売り込むつもりなんですか?」

「ふふふ、やっぱり切れるの人ねアナタ。そうよ、潟田ガタダさんの言うとおりよ」

「えー!でも、鉄道なんて売れます???」

「大丈夫のこと。勝算のあることよ」



そ、そうかな??



亜空間を通して人やモノを動かせる宇宙人さん達にとって、ガタンゴトンとレールの上をわざわざ時間をかけて運ぶ意味はあまりないハズ。

とある惑星で面談したときなんか、鉄道というのは「失われた太古の技術」だって聞いたこともあるし......



潟田ガタダさんだから特別の教えてあげる。これは実用の向きじゃないんよ」

「はい?」

「旅行とかの娯楽の用ね」

「あ、そーゆーことですか......あえて移動そのものをエンタメ化するんですね?」



ナルホド、ちょっと分かったかも。



種族が違うから何故なのかは知らないけど、宇宙人さん達ってそのほとんどが、長い長い、それこそ永遠に近いほどの寿命をもっているの。

でもそのせいで、誰もがみんな「退屈」してるのよね。


(もしかして宇宙人あいつら相手の商売がトラブル続きなのって、退屈だからわざと問題を起こしてるってことはないわよね???)



「だから、あえての不便は楽しいのネタになると思わない?寝台列車で何日もかけての移動なんて、いまや火星でもやってないのことよ」



......

.....

...



その昔、荷物を運ぶための堀として作られた、街中を流れる小さな川。

川に沿って、にぎやかなお店が何軒もならび、まるでお祭りでもやっているかのような華やかな灯りがあたりを照らしている。



観光客をのせた遊覧船が向こうからやって来たので、橋の上で足を止める。

外惑星よそのほしからやってきた宇宙人おきゃくさんがたくさん乗っている。

私たちも含め、橋の上にいた人たちがしたしげに手を振る。

宇宙人おきゃくさんたちも手を振り返してくれる。



「やり方は違うのだけれど、私たち人類ホモサピエンスも、あの宇宙人さんたちと同じの無限の寿命を持つことになったのことよね?」

「そうですね」



遊覧船が通りすぎたあとの揺れる水面を見つめながら、チュウさんがポツリと言う。



「『石』の発見とその応用、記憶の保存とクローンボディへの書き込み。こういう技術革新のおかげで、私たち人類ホモサピエンスの寿命には制限の無くなったわな。だけどそれは、永遠に仕事のしなくちゃいけないことでもあるのが、とてもしんどいのことね」



水面を見つめながらチュウさんが言葉を続ける。

確かにそうだわ。



「ですよねー(汗)ときどきホントに、生きるのがいやになりますもん」

潟田ガタダさんでも?」

でも・・ってなんですか、でも・・って(笑)」



誰だって死にたくはないだろうし、でも生きてく以上は働かないといけない。

永遠に生きるってのは、永遠に働かなきゃいけないってこと。



「永遠に生きるのだから、宇宙人達はいつも、楽しいのことをさがしてる。そりゃあもう、さがし続けてるのこと」

「それで鉄道、なんですね?」

「そやね........」



再び歩き出す。

歩きながら、話を続ける。



「チュウさんも宇宙人たちかれらと同じですか?仕事に面白さを探しているとか?」

「うーん......仕事は好きやし、ときどき嫌いになるのことあるよ」

「永遠に続くって思っちゃうと、ねえ......」

「ふふ、でも永遠の先に何があるのかなんて、誰も分かってはいないのことよ?」

「ですよねぇ......」



そうよね。

先のことは考えない、考えたって仕方がない。



「そうそう。だからこそ、しんどくなったら立ち止まる。それで良いんよ。未来さきのことなんて誰も分からないのこと。気持ちマインドだけは、なだめるのことをしながらね」

「えー、でもそのマインドやるきの維持こそが、一番しんどいんじゃないですか??」

「ま、ボチボチいくしかないのことね」



たこ焼きをほおばりながら歩く宇宙人がいこくじんとすれ違う。

まだまだ街はにぎやかね。



「だいぶ前に、日来さんが言ってたのことやけど......」

「課長が?」



何だろう??



「彼は奥さんの次に、仕事が大好きの人。でもそのモチベーションは仕事が楽しいからのだけじゃないって」

「......中毒ビョーキってことですか?」

「あはは、まさか」

「じゃあ、何なんでしょうか?」



不意にチュウさんが立ち止まる。

私の目を見て、にっこりと笑いかけてくる。



「知らない誰かの笑顔のため......やってさ」




.............................................




目覚ましに起こされて、今日も慌ただしい一日が始まる。



歯をみがいてお化粧をし、アホ毛の矯正は諦める。

朝食のおソバをかっ込んで、会社せんじょうへと向かう。

端末を立ち上げてメールを確認し、終わりのない仕事バトルを開始する。



この前、チュウさんが言ってたこと。

そして教えてくれた日来課長おいちゃんの言葉。



決して無理はしなくていい。

だけどこの仕事が、きっとどこかの誰かを笑顔にしている、そう考えると心が少しだけ救われる気がする。



さあ、納期遅れに品質クレーム、どっからでもかかってらっしゃい!!



「なんかアンタ、最近とても元気やね?明日は土曜やけど、アンタもそろそろ休日出勤してみ......」

「休みますっ!!!(笑)」




ここまでお読み頂きありがとうございました。これでこの物語は終了です。

少し休みまして(別のお話をぶっこんでから)、またシーズン3を書かせて頂く予定です。

駄文にお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。

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