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第97話:机上の忘れ物

「生きていたでありますか?」

「死んでないわよ。元々」


 この場にいる全員の反応など何処吹く風。鮸膠(にべ)もなく答える。


「『ワープ』で移動したとか?」

「風属性の魔法なんて使えないわよ」

「本当はアンデッドとか?!」

「あーっ!もう!!これだから嫌なのよ駄兎(だうさぎ)っ!!」

「何でルナティちゃんだけえっ?!!」


 黒焦げになった場所に置き去りになった愛剣を拾うと地面に突き刺す。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()カロルの元で死んだのが(わたくし)が使役していたもう一体のデュラハンで、私はデュラハンに扮してずっと機会を窺っていたのよ」

「じゃあ、あそこに転がっている死体は……?」

(わたくし)が使役していたデュラハン。アンデッドに回復魔法が効かないのなんて誰でも知っていることでしょう?」


 パチン、と指を鳴らすと、黒焦げで倒れていたメイアの死体が歪曲。首無し騎士の姿へと変わる。


「でも、例え幻覚だとしてもFF(フレンドリーファイヤ)が働いて、私たちには幻覚の有無が判断できるんじゃないの?」

「FFはあくまで仲間を攻撃しないための防衛機構。直接攻撃を伴わない幻覚であれば敵味方関係なく作用するであります」

「だから言ったでしょう?『ディスティンギッシュ=シャム』を覚えておきなさいって。敵味方のどちらかが使っていれば幻術は解けていたというのに誰も使わないんですもの。あの骨は『奇跡』だ何とか(わめ)いてくれたおかげで騙しやすくて助かったわ。さて、」


 指の骨が絡みついた大きな杖を見る。


「……骨の一部がまだ残っているわね。まさかとは思うけど、ここから復活するなんてことはないでしょうね?」


 訝しがりながら杖を検めると、ピクリ、と僅かに関節が動いた。「まだまだ()れるぞ」という意思表示なのか、「こんなことでは諦めん」という執念なのか。


「実は砕いただけでは復活します、とか言われると面倒だから、心臓を破壊した方が早そうね。とりあえずこれは預かっておきましょう」


 絡みついた指の骨を(はら)ってから魔杖アルーフ=ザ=レストリクションを拾うと、【アブゾープション】の力で残った骨を何度も踏み締める。バキバキゴキリという嫌な音を立てながら指関節や腕の骨が(しだ)かれて粉々になった。


「確か、テルルはカロルを始末しようとして返り討ちになったのよね?だったらテルルに一度話を聞いてみましょうか」


 喜んでいいのか驚いていいのかも分からず全員が呆然としている中、突き刺した愛剣を左手で拾い、右手で六つの宝珠が嵌まった魔杖を軽々と持ち上げたまま『探究の古城』へとさっさと歩いていく。

 そんな背中を見ながらハロイラが一言。


「相変わらず破天荒な性格と規格外なスキルでありますね……」



☆★☆★☆



 人体には200程度の骨が存在するが、その中で一番小さい骨は何か知っているだろうか。


 正解は鐙骨(あぶみこつ)

 鼓膜から始まって槌骨(つちこつ)砧骨(きぬたこつ)と経由してきた音を鐙骨筋(あぶみこっきん)を通じて内耳へと届ける役割を持っているの骨一つで、その大きさは3mm程度である。


 そのため、


『ぐ……、このワタシが若い女如きに敗れるとは…………』


 何とか形を取り戻した頭蓋骨を鳴らしながら悔恨の思いを告げる。


 リッチの復活条件は小箱に入った魔法で動く心臓が破壊されておらず、かつ、一部でも身体のパーツが残っていること。

 ならば、絶対に悟られないように骨の一部を何処かに隠し、また死んでもそれを基盤に生き返ればいい。こんな時、身体が朽ちて筋肉などというものは存在しないため、役に立たなくなった耳小骨(じしょうこつ)を別置しておいてよかったと少しホッとする。


『魔杖は無くなって魔法が使えなくなってしまったが、あの『ニューワールド=イントロダクション』は大いに研究する価値のある魔法だぞ?!くくく……、今から研究が楽しみ――』

「あーっ、お取込み中申し訳ない。あんたにはやってもらわなくちゃいけないことがあるから、まずはそっちを優先させてくれないかな?」


 骨を置いていたのが研究室の机の上というのが悪かったのかもしれない。埃の積もった机の上でコトコトと頭蓋骨が向きを変えると、


「ま、その作業を優先させたら魔法の研究なんて一生できないんだけどな」


 勇者レオルスが聖剣の切っ先をこちらに向けていた。


『……『煌々(こうこう)たる裁きの剣』。どうしてここが分かった?』

「前に聖剣リライトで粉々にしたはずなのに復活しただろ?もしかして何処かに骨の一部を隠し持ってるんじゃないかと思って、『探究の古城』内を徹底的に探させてもらったぜ?そうしたらあんたの独り言が聞こえてきたってわけだ」


 今は魔法が使えない以上、ただのアンデッド並みの戦闘力しかない。

 しかも相手は魔物に対して絶対的な殺傷力を持つ名剣を持った勇者と、その勇者を支えてきた冒険者たち。どう抗おうが勝ち目はない。


「んで、その頼み事っていうのは、あんたが隠し持っている心臓を探すために協力して欲しいってこと。場所の手掛かりさえ教えてくれればそれでいいからさ」

『今この場で殺さぬのか?聖剣を持っているのだから、その方が確実だと思うのだが?』


 生殺与奪の権は確実に向こうにあるはずなのに、何故か自分の方からベストな提案を出してしまう。

 少し可笑(おか)しな状況に困惑気味に意見を述べると、


「いやあ、エリカが「元はと言えばテルルが攫われたのが原因で、この一連の問題を自分で解決したい」って言うのと、「折角だから親睦を深めるために穴掘り大会でもやるぞ!!」とか張り切り出しちまってな。というわけで今回、おれは裏方ってわけさ。面倒だけどな」

『はあ…………?』


 聞いたのに何を言っているのかよく分からなかった。


『今この場で確実に殺した方がいいに決まっているではないか?!このまま機を待って復活してしまうぞ?』

「……あ、そうだそうだ。こうしないのにはもう一つ理由があってな」


 理由?とカロルが聞くよりも早く、頭蓋骨に聖剣が容赦なく突き刺さる。


「こんだけ苦戦させて散々人様に迷惑を掛けた魔王軍の残党さんには、お前が苦しめたモノたちと同じ苦しみを味わってほしいと思っていてな!!死ねないなら死ねないなりに苦痛を味わいやがれ!!」

『ぐっ!がああっ!!ごおっ!!』


 ごりごりごりごりと聖剣が頭骨に捻じ込まれていくと、穴が空いて削れた場所から白い粉が舞い飛ぶ。


「さあこれから穴掘り大会だ!!否が応でも付き合ってもらおうか!!」


 喚き散らす髑髏(どくろ)(眉間の穴に刺さった聖剣付き)を小脇に抱えて勇者一行は外へと出る。

「なろう」にていいねが一件増えました!いいねしてくださった方ありがとうございます!!



 最近「ウマ娘」にハマっているのでどうでもいい話を一つ。


 来年の干支は兎ですが、数えてみたら2026年の干支は馬ですね!!一回前の馬の干支が2014年なので、「ウマ娘」シリーズが誕生してからの初の馬年になります。どのような動きがあるのか大いに期待が持てますね!!



 ではまた!これからもよろしくお願いします!!

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