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ビューティー・オーク  ~ オークになった美容外科医、世界を変える ~  作者: 香坂 蓮
ホームステイ先のファミリーが、全員ブタだったら焦るよな……?
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~ 第三話  赤い髪した女の子 ~ 

寒い……急に秋ですね(´・ω・`)風邪をひかないように気をつけましょう!


では、どうぞっ!

 女冒険者は、グレゴールの家にいるらしい。一人暮らしだからな、グレゴール。こういう時に、自由がきくのは羨ましい。俺もそろそろ、一人暮らしかなぁ。


 グレゴールは、自分の身体のデカさが冒険者を怖がらせてはいけないと思ったらしく、今はアルミンがついているらしい。


 グレゴールよ……人間から見れば、アルミンもデカいんだぜ?


 ちなみにアルミンが見張りに選ばれた理由は、集落に残っていたオークの中で、一番人間の文字を書くことが出来たからだそうだ。あいつ、変なところで引きが強いんだよな。


 まぁ、細かいことはいいや。気を取り直して、女冒険者さんと……ごたーいめーん!


 おぉっ! 赤髪っ! かっけぇ!


 ……うん、それどころじゃないね。まずはちゃんと仲良くならないと。


 まず目に入って来るのは、ツタで縛られたその姿。そのツタを全く同じものが、オークの腰巻にも使われている事実を知っている身からすると、少し申し訳ない気持ちになるな。


 しかし、これやったの誰だ? 結び目こそオークっぽく大きいけど、ちゃんと縛れてるじゃん。なにより力加減が抜群だ。力一杯縛っちゃったら、人間だと下手したら死んじゃうからな。


 服装というか装備は、割と軽装備だな。ジャケットのような上着に、皮の胸当てみたいなのも見える。下は長ズボンにブーツって感じだ。


 たまに見る冒険者の中にはもっと重装備な人もいるし、たぶんこの人は素早さ重視の人なんだろう。……それか装備が買えないくらいに貧乏だという可能性は、悲しくなるので考えないようにする。


 そんなお嬢さんが、ものすごく鋭い目でこっちを睨んでくる。ただし、座らされているため上目遣いだ。


 赤い髪のショートヘアに、釣り目。なんとなく気の強そうな顔立ち。そんな女の子の涙目な上目遣い。かわいいと感じた俺は、きっと悪くない。


『ぷぎゅうー! ぶごぷぎゃぶごー』 (アルトー! なかなか通じないんだよー)


 こちらも若干涙目なアルミン。止めろ! 雄ブタの涙目になど、需要が無いわ!


 しかし、こんなアルミンだが褒めるべきところもある。


 俺が来るまでの間、なんとか意思の疎通を使用と頑張っていたみたいだ。地面には、色々と文字を書いた跡がある。……ただ、字が汚いうえに所々間違ってるから、読みづらいんだよね。


『ぶぎゅ、ぶぎゃ! ぶぎょぶぎゅ』 (よぉしアルミン! 後は任せろ)


 そう言って、俺は冒険者ちゃんの前にしゃがみ込む。さすがに視線は合わないけど、圧迫感は減るはずだ。さて、まずはこの子の緊張をどうやって解すか、だな。


――はじめまして。あると=ばいえるんです。おなまえは?


 日本人ならこれでしょう! 例えば英語で話すとき、まずは「マイ ネーム イズ アルト=バイエルン」からスタートするべ? 英語力に自信が無くても、確実に通じるからな!


 そんな俺の自己紹介文を見て、冒険者ちゃんは目を見開く。ただ、答えてくれる気はなさそうだ。プイッてされちゃったよ。うーん……嫌われてるなぁ、オークって。


――しばらく、きみをつかまえていないといけない。


――だけど、きみをころすつもりは、ない。


 まずは、命の保証をしとかないとな。ほら、見るからにホッとしてるし。……あっ、でもまた緊張しだしたな。なんでだ? まだなんか、不安なことでもあるのか?


 ……あぁ、そっか。分かった分かった。


――きみを、おかすつもりもない。


 オークは人間の女性を攫って犯す魔獣。そんな風に信じられてるんだったな。そりゃあ、女の子だったら緊張もするか。


「……本当か?」


『ぶご』 (本当だ)


 おぉ、やっと声が聞けた。ちょっとハスキーな声。ただ、震えてるな。


 大きな豚に囲まれて、怖かったんだろうな。なんたって、緑の巨豚だからな。せめて緑のたぬきなら可愛げもあったのに。

 

 とりあえず、俺は頷くことで冒険者ちゃんを犯す意思がないことを伝える。


 目に見えてほっとする冒険者ちゃん。あぁ……泣いちゃった。安心したのかねぇ。とりあえず、泣き止むまではそっとしておいてあげようか。


………

……


「サリーだ。……サリー=シェパード」


 泣き止んだ冒険者ちゃんが、最初に呟いたのは自分の名前だった。すかさず俺は、その名前を地面に書く。


「綴りが違う。そこが……そう、それでいい」


 なるほど。どうやら冒険者ちゃんはサリーちゃんだったらしい。名前的には魔法使いであって欲しいところだけど、どうなんだろう?


――まほうつかい?


「ん? いや、俺は魔法は簡単なやつしか使えねぇ。斥候役なんだ」


 斥候っていうと、偵察部隊みたいなもんだよな、確か? 


 なるほど! だから装備が薄いんだな! ……貧乏じゃなくて、良かった。


 さて……実を言うとこれから先のサリーちゃんの処遇は、俺の中では決まりつつあるんだ。問題は、それをどうやって彼女に納得してもらうか、だな。


 まずは、少しでも信頼関係を築くことから始めるとしよう。そのためには、お互いのわだかまりを無くすことから始めないとな。


 正直すごく言いづらいことを、文字にして伝える。言葉が喋れないことに、今は少しだけ感謝だな。


――きみたちは、おれたちをころそうとした。


 俺が地面に書いた文字に、サリーちゃんの顔が強張る。それに気づかないフリをして、俺はその文章を手で消してから、同じところに新たな文章を書いていく。


――だから、おーくはきみのなかまをころした。


――じぶんをまもるためだ。


――だから、おれたちはきみにあやまらない。


――だけど、しんだひとのことは、かなしくおもう。


 書いては消して、また書いて。少しずつ、俺の気持ちを伝えていく。この気持ちは、オーク全体の意思をそう離れてはいないはずだ。


「分かってるよ……分かってる。命を狙ったのは俺たちだ。……分かってる。あんた達は、何も悪くない!」


 止まったばかりの涙が、また溢れ出している。


「ただ……今は、まだ整理できねぇんだ。……逆恨みなのは分かってるけど、どうしてもまだ納得出来ないんだよ!」


 そうだよなぁ……仲間が死んだばっかりだもん。理屈じゃないよなぁ。


 アルミンにサリーちゃんを見張るように告げてそっと外へと出る。さて……もう真っ暗だけど、ちょっとお出かけしましょうかね。


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