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0.伊神澄子
水城市には、一風変わった都市伝説が存在します。
他所では聞かないような話が、それもふたつ。
ひとつは、『叶え人』。
曰く――魔法の薬を飲ませると、相手は願いをひとつだけ、必ず叶えてくれるという話。
もうひとつは、『闇子さん』。
曰く――ある呪文を唱えると助けてくれる、全身白装束の女の人の話。
ほとんどの人が、子供じみた話だと一笑に付すことでしょう。
所詮は都市伝説、嘘八百の笑止千万、馬鹿馬鹿しくて滑稽で――わたしだって部外者であれば、そもそもこんな根も葉もない話など、耳に入れようとすらしなかったでしょう。そんなことよりも恋に仕事にと、至極真っ当な人生を謳歌していたに違いありません。
しかし皮肉なことに、わたしはこのふたつの都市伝説について、部外者では居られませんでした。部外者どころか当事者です。噂の張本人と言っても良いでしょう。
嘘みたいな本当の話。
純度百パーセントの現実味。
これから始まる話は、だから臆病者の伝奇譚です。
それでも良ければ、どうか最後までお付き合いください。
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