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第1話 悪徳令嬢の天才に対する厄介な事件

今はクエンシュの名義で侯爵家の屋敷に所属していたメイドの昔の記憶から、クエンシュを見ながら起きた出来事が語られ展開されている。

昼下がり、森のそばの道を、白地に金の装飾が施された馬車が速く走っているのが見える。


いつの間にか丘を越えて、その中には金色の短髪の少女がいた。隣には


中剣を置き、脚を組んで座っている。姿勢からはクールな大人びた雰囲気がにじみ出ており、


可愛らしい顔立ちで、紫色の瞳が際立っている。突然、森から山賊が飛び出してくる。


行動を見ていると、狙って襲撃してきたらしい。馬車を引く男は慌てて馬を止める。


山賊たちは馬車を塞ぎ、徐々に近づいてくる。そんな中、突然馬車の扉が


ガタン、と音を立てて開き、中に乗っていた少女が降りた。左手には鞘を握っていた。


そして、山賊の一人がにやにやしながら少女に向かって侮るように近づく。しばらくすると、遠くから


その山賊が殴られている様子が見える。仲間たちは柄で打たれて気絶し、残りの山賊は頭を打たれて失神した。


その後、馬車はある侯爵家の屋敷前に到着し、少女が降りると同時に打たれて気絶して、縄で縛られた山賊たちが見える。少女は馬車を引く


男に告げる。


「おい、この連中を全部連れて行け。」


「かしこまりました……」


馬車は山賊たちを連れて出発する。少女は屋敷の扉を開け、中に入る。庭で待機していた一人のメイドが出迎える。


「お帰りなさいませ、リベールお嬢様」


メイドは感情をあまり見せず、力強い声で出迎える。


「クエンシュと呼べ。それから荷物をまとめろ。明日、王都に用事がある」


「承知しました。そしてお風呂の用意もできております」


メイドは頭を下げ、クエンシュはその脇を通り屋敷へ向かう。


その後ろ姿は、十四歳とは思えないほどスタイリッシュな立ち姿を見せていた。


メイドはそっと顔を上げ、クエンシュの後ろ姿を見ながら思う。


「……一体いつの間に、こんなに大きくなったのかしら」



過去を回想するメイド


8年前の過去、屋敷の2階の廊下で、幼い金髪の少女が赤いカーペットの上を走っていた。


様子を見ると、それはまだ6歳になったばかりのクエンシュ・リベルだった。何かを避けるようにびくびくした表情で、隠れる場所を探しながら立ち止まり、首を左右に振ったり再び走ったりする。突然、廊下の端から声が聞こえてくる。


「お嬢様〜!お嬢様〜!」


それはまだこの侯爵家のメイドになって間もないメイドさんだった。


メイドは走りながらクエンシュを探す。ちょうど正面に、6歳の短い手足で走るクエンシュの姿が見えた。メイドは追いかける。速度差は明らかにメイドの方が早かった。


「うあ!来ないで」


クエンシュは走りながら後ろから迫るメイドの方に首を向けて言う。


結局、簡単にメイドに捕まる。


「逃げてはいけません、お嬢様。」


今とは違い、その当時のメイドは少し慌てている様子が見える。


クエンシュは捕まれた腕を振りほどきながら叫ぶ。


「うるさい!それは私の思いだ」


「本当に、あなたという人は…」


「ついてこないで、ほっといて」


クエンシュは再び走り去る。メイドの頬に浮かんだ汗がさらに鮮明になり、まるで今のメイドの疲労を表しているかのようだ。メイドはお嬢様の後ろ姿を見つめてため息をつく。


そんな日常を送るある日、クエンシュの右手の甲から黄色い光が漏れ出す。手の甲を詳しく見ると、いつできたのかもわからない紋様が黄色い光を放っていた。メイドは驚いて当主に報告する。クエンシュの父はすぐに駆けつけ、屋敷内で詳しく見る。


「これは…!勇者の加護だ!」


クエンシュの父は驚きながら言う。


クエンシュは6歳の年齢で勇者の加護が発現したのだ。


幼いクエンシュは自分の右手の甲に現れた勇者の加護のマークを見て心が躍る。


「おお…」


再び現在。


メイドは座りながら荷物を一つずつバッグに入れ、懐かしむように考えていた。


「そしてその次は多分…」


再び過去を回想する。


クエンシュに勇者の加護が発現して間もなく、赤いマントを羽織り始めた。


「アハハハハ、私は勇者クエンシュだ!!」


こう言って屋敷のあちこちを走り回る。


「お嬢様〜!!」


そのクエンシュをメイドは追いかける。この時からメイドはさらに大変になった。


クエンシュは周囲の環境の影響を受けず、先天的に悪徳令嬢の気質を備え、行動や性格に悪徳令嬢らしい特徴が自然と表れ、足を組んだり無邪気に笑うことを修正できなかった。


勇者の加護が発現したクエンシュは、屋敷を抜け出して貧民街に遊びに行く。初めて行ったとき、そこの盗賊たちには幼いと見下される。


クエンシュは手の甲の勇者の加護のマークを示して誇示する。加護について知識のある盗賊は一目でそれを見抜く。その時からクエンシュは盗賊たちの頭として振る舞い、遊ぶ。その場所の盗賊たちから盗賊スキルを学び、基本的にすべて使用できる。天賦の才能で、初めて使う魔法道具やスキルでも説明だけで器用に扱える。そんなクエンシュをメイドはいつも遠くから見守る。


盗賊たちはクエンシュを輿に乗せて持ち上げ、行進する。


「アハハハハハ、アハハハハハ」


クエンシュは悪徳らしく笑う。この時のメイドさんはびっくりしていた。


そして現在、荷物をバッグに詰めながら過去を回想し、突然「プフッ」と笑いがこぼれた。


目を閉じ、手で口を押さえ、一瞬だけ堪える。かなり印象的な記憶だったようだ。再び過去を回想する。


今回は4年前、クエンシュが10歳の時の回想である。クエンシュは勇者の加護の保持者として、王都へ呼び出され、同行し、


中剣、服、食料程度を持って馬車に乗り王都へ向かった。


クエンシュは反抗的に拒否するが、クエンシュの父が貧民街の立ち入り禁止を条件に脅迫し、仕方なく行く。


そのため気分が悪かったクエンシュ。


「今日はいい天気ですね、お嬢様」


正面向かいの右側の座席に座ったメイドが話しかける。


「ふん!そんなのどうでもいいわ」


腕で頭を支え、メイドの反対側の窓際を見ながら言う。


王都到着後、ここから事件の発端が始まった。


「わあ〜ここに確か冒険者ギルドがあるって言ったよね」


楽しそうに歩くクエンシュ。


メイドはクエンシュの機嫌を直すため、馬車の中でクエンシュが興味を持つ話を出していた。気分は直ったが、やはり余計なことを言った気がする。


「他の道に行かれると困ります、お嬢様」


「君が私に勧めたんじゃない」


クエンシュはメイドを見て抗議する。


「そんなことはなかったです!…とにかく早く城へ行きましょう」


メイドは早く城へ行きたかった。


議論が続く中、王都へ向かう途中、クエンシュが何かを発見する。


メイドはそれに気づかず、歩きながら話す。


「…で、それでお嬢様?…」


突然、話している途中で違和感を覚え、後ろを振り返ると、いつの間にかクエンシュの姿が見えなかった。


メイドさんは額を手のひらで軽く叩き、前髪を掴み、目をぎゅっと閉じ、頭を抱えるようにしてつぶやく。


「本当にあなたという人は!…」


一方、クエンシュは当然のように冒険者ギルドを発見し、受付で冒険者登録手続きを行っている。クエンシュはE級冒険者として登録され、喜ぶ。


メイドは来た道を戻り、クエンシュ探しに専念する。


「お嬢様〜!お嬢様!!〜」


両手を合わせて歩きながら呼ぶが、どこにもいない。


ふとメイドはこんな考えを抱く。


「まさか…?!」


振り返り、予想される場所へ走る。


一方、クエンシュは依頼を受け、王都の外れの山裾に来ていた。


「依頼:スライム討伐…」


道を歩く途中、少し先に青いスライムが軽く跳ね上がりながら動いているのが見える。


「さっさと片付けて行こうか」


クエンシュは全く問題ないかのように扱う。


腰の中剣を抜き、瞬時に最も近いスライムへ素早くすり抜け、スライムの横をかすめて近づき、剣をスライムの上に下ろして叩く。


「フッ!」


スライムの体は潰れて死ぬ。そして次のスライムは腰を落とし、両手を同じ方向に伸ばし膝をつき、重く切り裂かれながらかすめる。


「フッ!」


スライムは二つに裂かれ、両方の塊が潰れる。最後の討伐対象、3体目のスライムは既に跳ね上がったスライムを剣の側面でススッと斬り、衝撃で倒す。


「フッ!」


討伐依頼完了。パチッ、パチッ、パチッ、倒す。まだ10歳だが、勇者の加護と天賦の才能、そしてそれなりの実力で簡単に勝利。


一方、メイドさんは冒険者ギルドに入り、受付に向かって走り、キーッとブレーキのように止まった。頭を下げて息を荒くする。手首で唾を拭う。


「はっ…はっ、はっ…はっ」


顔を上げ、受付に尋ねる。


「すみません!こちら、冒険者登録者の中に『クエンシュ・リベル』という方はいますか…!?」


「あ、はい。数時間前に冒険者登録をされた方です」


「はっ!?」


「今はスライム討伐の依頼を受けて王都の外れの山裾にいるでしょう」


メイドはやはりと思いながら、再び走る。


クエンシュはスライムの死体を半分に割った1体と衝撃で潰れたスライムの死体2体を片手で掴み、王都の中へ戻る。


そして走るメイドと出会い、人々で賑わう城門内の道でお互いを見つめる。


「お嬢様!勝手に離れたらどうするんです!心配してたんですよ!…」


「そんなことはいい、さっさと行こう」


クエンシュの言葉が終わり、メイドはクエンシュの左手に握られたスライムに目をやると、なぜかメイドはクエンシュの姿をすべて目に焼き付ける。


成長するクエンシュを見て、ほっとした気持ちになり、微笑みながら言う。


「はい、行きましょう」




ギルドで初めての依頼を完了し、報酬を受け取った後、本来の目的地である王宮へ向かう、


扉が開かれ王室に入ると、兵士数十名と王が見えた。王は中年ほどの年齢で


金髪をした優しそうな童顔の男性だった、クエンシュはそのまま廊下を進み


メイドは後ろに下がり扉の周囲で立ち止まり、手足を揃えて静かにしている、


クエンシュが歩き廊下の中間で歩みを止める。しばらくして王の横に立つ


側近がたしなめる、


「おい、貴様!王の前でじっと立っているだけとは、ナンノタイドだ!」


「いよいよ、まだ若いではないか」


王は玉座に座り、手を伸ばして側近を制し、


クエンシュに言う、


「はじめまして、私はアルジェル・ルシマカー・エルシア。このエルシア王国の現国王だ。


君を呼んだのは他でもない、王国騎士団への加入を勧めるためだが――」


「コトアル」


クエンシュは王が話を続ける途中で遮り、丁寧な申し出を拒絶する。


「あなたのように地位ばかり高い者が勧めても、私には全く説得力がない!」


クエンシュは王を目の前で非難する。


クエンシュが王を非難すると、隣にいた側近は冷や汗を流しながら王を振り返る、


「お…おうさま!今すぐこの者を連れ出します、し、少々お待ちを…!」


王に近づき小声で言う、彼の顔には緊張と危機感があふれていた。


「お…おい!ただちにあの少女を引きずり出せ!」


クエンシュはその側近が何に恐怖を感じているのか疑問だった、


緊張感が高まる中、クエンシュとメイドだけが状況についていけていなかった。


その時


「いよ、その必要はない」


王は左手を軽く上げ、制止の意を示し、側近の発言を遮った、


そしてクエンシュに言う、


「それを知っているか?」


王はクエンシュに主語のない問いをした。


「この王国では王族の階級から、個人の武力が家系序列の七割を占めているという事実を…」


その言葉を伝え終えるや否や


突然、王の周囲の空気が震える。兵士たちは慌てふためき、


クエンシュは空気の重みに肩を押しつぶされる感覚を覚えた。いつの間にか


王室全体が王の発すると思われる圧迫感に押しつぶされ始めた、


事態の深刻さを察した王の最も近くにいた側近が、最も被害を受けながら発言する、


「王様、どうかお鎮まりください!」


王はしばし言葉を発しなかった、


その瞬間、圧迫感に膝をつき歯を食いしばって耐えているクエンシュの


右手の甲に「勇者の加護」のマークが現れ、揺れる空間の中で


黄色い光を放ち、クエンシュへの圧迫感を和らげる。


肩を押しつぶすような力が弱まったのを感じたクエンシュは、ゆっくりと立ち上がり王をにらむ。


なぜかクエンシュの周囲だけ影響が弱まったようだった。


王は微笑みながら、空気を震わせるのをやめた。


乱れた兵士たちは再び立ち上がり、それぞれ元の位置に戻る。


王は顎ひげを親指と人差し指でなでながら言う。


「ふむ、なるほど。勇者の加護の特性であるデバフ耐性か、さらに他の能力補正もついているようだな」


独りごちた、そしてクエンシュに言う、


「すまないな、少々やりすぎてしまった。君の基準では…」


クエンシュに侮辱を与える、


「だがこれでよく分かっただろう。私はこのエルシア王国で二番目に強い者だ」


「そうか、よく分かった。入ってやるさ、王国騎士団に。後悔するなよ!」


クエンシュは少し興奮して大声で言った。王とクエンシュは互いをにらみ合う、


メイドは今起きた状況に呆れていた。


その日、クエンシュはE級冒険者登録と同時に王国騎士団に所属することになった。


そして現在、ちょうどメイドは荷物をまとめ終え、回想を終えた。


廊下でクエンシュがメイドを呼ぶ、


「おい!どこにいる」


「はい、はい、私はここにいますよ、おじょうさま」


メイドの声が廊下に響く、


部屋にいたメイドはクエンシュのもとへ行く。


「はいは一回 !」


「はい〜」






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