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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
風と水の回顧録(かいころく)
31/34

海を守る者の狂気と、拡大する人間の営み

青春を謳歌する4人の前に、新たな脅威が迫ります

【外輪船】


勢いよく回転する動輪

動輪に付いた羽根が水をかいてゆく

煙突からはき出される黒煙

出航する蒸気機関で動く外輪船

外輪船が起こした波間に黒い油が浮かんでいる

波涛で黒煙を上げて出航する動力船を苦々しく睨んでいるハイド




【港町ポート・オブ・エリア 浜辺】


入れ替わり立ち替わり入港し、出港していく動力船

浜辺でその様子を眺めているしかないジェス、グレイス、ベルタそしてハイド

ジェス:「最近増えたな、あの船」

グレイス:「火の力で動く船」

ベルタ:「海も風も汚れちゃうね。あの船がいっぱいになったら、青い海はどうなっちゃうんだろう」

ハイド:「あんな船に、青い海を汚されてたまるか」

握り拳に力を込めるハイド

ジェス:「風もな・・・」





【海上 動力船の舷側】

 

巨大な外輪船に近づくベリッシモ号

手鉤付きのロープが外輪船の舷側に次々と投げいられる

ハイド:「よし、乗り込むぞ!」

ロープを伝い、動力船に乗り込むベリッシモ号の乗組員、ハイド、ジェス、グレイス、ベルタ




【外輪船甲板】


ハイド:「甲板は制圧した。目指すは機関だ!」

船内に侵入するジェスとグレイス、ベルタ

機関室を目指すジェスたち





【動力船 機関】


鋼鉄製のピストンシリンダーが忙しそうに稼働している

ハイド:「こいつを壊せばここに用はない」

機関の影から動力船の船長がのっそりと出てくる

敵船長:「そう簡単に壊してもらっては困るな」

ハイド:「お前も海の男なら、こいつが外道だってのは分かるだろう」

敵船長:「外道かどうかは問題ではない。必要かそうでないか、ということだ」

ベルタ:「必要?海も風も汚すこんな船が?」



敵船長:「確かに貴様の船は速い。

 風の力が三つも付いているのだからな。

 だがオレの船はお前の船の何倍もの人と物を送り届けることができる。より効率的だとは思わないか?」

ハイド:「海の男のくせに海を汚しておいて、なにが効率だ」

敵船長:「人の暮らしが豊かになれば、私たちのような船がもっと必要になる。問題は必要かそうでないかだ」

ジェス:「では、風の力を思い知れ!」





【海上 ベリッシモ号】


黒煙を上げて沈む外輪船

ハイド:「見たか。海を汚すやつは、青い海を汚すやつは許さない!」沈む動力船を睨むハイド

狂気に狩られているようなハイドを心配そうに見るベルタ






【黄昏時 砂浜】

        

夕陽を浴びて黄金に輝く夕凪の海

たき火に奪った動力船の旗を燃やすハイド達

ベルタ:「ねえ、もう危ないことはやめようよ。あの人達はあの人達でいいじゃない」

ハイドの行動に気をもむベルタ

ハイド:「青い海を守るんだ。俺たちの、オレとお前の青い海を守るんだ」

ベルタ:「海を守る前にあなたがおかしくなっちゃうじゃない!わたし、そんなのヤダ」

ハイドに身を寄せるベルタ

ハイド:「ベルタ・・・」


◆外輪船を追いかけ、狂ったように船を操るハイドとベリッシモ号


グレイス(オフ)「ひょっとすると、一番無理していたのはハイドかもしれないわね」

ジェス(オフ):「青い海はベルタのために・・・か」




【外輪船 機関】

ハイド:「どこだ!お前達の船を造っているところはどこだ?」

敵船長:「お前達のような風でしか動かない船にはゆけない場所だ!」




【港町ポート・オブ・エリア】


【夜 桟橋】


タラップをあがるハイド




【ベリッシモ号 甲板】


ハイドを待ち構えているジェス

ジェス:「どこへ行く気だ?」

ハイド:「・・・・」

ジェス:「お前、1人で蒸気船の工場とやらに行く気じゃねえだろうな?」

ハイド:「だとしたらどうする?」

ジェス:「お前1人で勝てるのかよ」

ハイド:「バカにするな、オレは流水の聖者だぜ。それにこの船はオレの船だ。沈むもんか」

ジェス:「確かにお前の船だ。どうしようがお前の勝手だが。ベルタにだけは言ってから行け」

        


押し黙ってしまうハイド

ジェス:「オレは男だからな。お前の気持ちがわからんでもない。だがな、お前の事を思って心配している女がいることも忘れるな」

船を降りるジェス







【港町ポート・オブ・エリア】


【朝 桟橋】

        

朝日の中、桟橋に立つベルタとハイド

ベルタ:「どうしても1人で行くの」

ハイド:「あんな連中、オレ1人で充分だからな」

強がって見せるハイド

笑えないベルタ

ハイド:「ベルタ・・・」

ベルタを抱き寄せるハイド

ハイドに身を任せるベルタ



ハイド:「これが終わったら、誰も海を汚さなくなるんだ。いつまでも青い海のままなんだ。そしたら行こう」

ハイドの腕の中で顔を上げるベルタ

ハイド:「海の果てまで、オレとお前で。青い海を突っ切って海の果てまで」

ベルタ:「本当に?」

ハイド:「ああ、本当だ。海の果てがどうなっているのか、俺たち2人で見に行こう。あの浜で、俺たちが出会ったあの浜で待っていてくれ」

朝陽の中、寄り添い解け合う2人のシルエット





【港町ポート・オブ・エリア 桟橋】

        

滑るように出航するベリッシモ号

船を追いかけて桟橋を走るベルタ

水平線に向かい、海を走るベリッシモ号

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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