ミランの決断
200PV頂きました。みなさま本当にありがとうございます。
どうしてか、火の探求者ミランを厳しい状況に追い込むキライがあります。
やはり、火は人間だけが有益に使っているものだからでしょうか?
【帝都セイクレッド・ガーデン 地下】
【メインフレームへと向かう通路】
先頭を歩く預言者アレキサンダー
その後ろには簀巻きにされて警備兵に担がれているミラン
【帝都セイクレッド・ガーデン地下 メインフレーム】
巨大な円筒状の空間を貫くように反応炉が立っている。
反応炉に四方から通路が延びている
東から延びる通路を歩いている預言者アレキサンダーの一行
南から延びる通路を歩かされているフレイとリエル
反応炉の正面に到着し、簀巻きのまま床に置かれるミラン
フレイと目が合うミラン
フレイ:「ミラン」
預言者:「ようこそ神の都へ。六等星の騎士よ。いや、元騎士と言うべきか」
答えないフレイ
預言者:「それに邪教の徒よ」
リエル:「なにが邪教よ。聖なる森を切り刻んでおいて!」
預言者:「この世に畏れ敬うものはひとつしかない。だが、それは今は問題ではない。
君たちはこれから新しい世界の幕開けを見ることができるのだ。いや、あえて見せようとしている」
フレイ:「なんだ、新しい世界って?」
簀巻きを解かれ、両腕を拘束された状態で立たされるミラン
預言者:「さあミラン。いよいよお前の本当の力を見せるときが来た。客人も揃ったことだし」
ミラン:「あんたの思い通りにはならないわよ」
フレイとリエルに銃を突きつける看守達
フレイ:「ミラン・・・」
預言者:「威勢がよいのも結構だが、どうだミラン?キミの夢がお前の研究成果がいよいよ完成するのだよ」
ミラン:「私はこんなキケンなものを作りたかったんじゃないの。あんたが私たち火の民を騙してこんなものを作らせて!」
フレイ:「ミラン、ここはなんだ?」
預言者:「おや、知り合いか?ミラン?」
ミラン:「知らないわ。どうせ難癖つけてひっぱって来たんでしょ!さっさと解放したら」
預言者:「異国の騎士よ!」
大声で呼びかける預言者アレキサンダー
預言者:「ここがなんだか教えてやろう。この炉に火を入れると大いなる神の都市が空を飛ぶ。そして君たち邪教の徒が占領している土地を奪還できるのだよ」
フレイ:「空飛ぶ都市だと?」
預言者:「そしてそれはミランの力で完成する」
フレイ:「キミがこれを作ったのか?」
ミラン:「違うフレイ!私はこんなものを作りたかったんじゃないの。この人たちに騙されていただけなの。信じてフレイ」
預言者:「どんな威力を持つかは、君は知っているな異国の騎士よ」
◆回想シーン(第二部6部を参照)
空飛ぶ船の攻撃
カナン大地に膨れあがる巨大な火玉
預言者:「ミラン、キミがヒューマに見せたかったものが、いよいよ完成するのだよ」
フレイ:「ヒューマ?ミランキミはやっぱりヒューマのことが今でも好きなんだな」
ミラン:「違うわフレイ。そうじゃないの!」
預言者:「ことある事にヒューマに見せて褒めてもらうんだと言っていたではないか」
フレイ:「ミラン・・・」
ミラン:「確かに私は誰かに私のことを認めてもらいたかったの。お母さんに、ヒューマにも。でも今はヒューマのことをそんなふうに思っていないわ」
預言者:「そうだなミラン。キミが生まれてきた土地では、君たちを利用する一方で迫害し続けた。そんな土地でもキミはいつも誰かに認めてもらいたがっていた。そうだなミラン」
ミラン:「アレックス・・・」
預言者:「そのキミが作ったのが神の都だ。これでこの世界を認めさせるのだ。世界がキミの偉業を讃えるのだ。ミラン、さあ炉に火をいれるのだ!」
完全におびえきって、自分では判断ができなくなってしまったミラン
フレイ:「ダメだ!ミラン!」
ミラン:「フレイ・・・」
フレイ:「約束したじゃないか、お母さんと大きくなりすぎた火を消しに行こうって。ミランが大好きなお母さんと約束したじゃないか!」
ミラン:「フレイ・・・」
預言者:「異国の騎士よ、おしゃべりが過ぎるようだ。黙らせろ」
左右に命令する預言者アレキサンダー
ミラン:「2人は関係ないでしょ、危ないことは止めて」
預言者:「おや、知らないのではなかったのかな?」
ミラン:「知り合いなんてもんじゃないわ!とってもとっても大切な人よ!」
フレイ:「ミラン・・・」
ミラン:「フレイは大切な人なんだから。いつでも私を守ってくれる大切な人なんだから!」
目が合うミランとフレイ
預言者:「なるほど。ではこうしよう。今度はキミが大切な人を守るというのはどうだ?
キミは炉の火を入れる。そして2人は解放される。良い取り引きとは思わないかね?」
ミラン:「取り引き?」
フレイ:「だめだ!ミラン。やっちゃだめだ。
僕はキミが笑顔でいられるのなら、死んだって構わない。そんな取り引きしちゃダメだ!」
預言者:「キミの研究が世界に認められ、なおかつ大切な人の罪も許される。良い取り引きではないか?」
ミラン:「本当に助けてくれるの?アレックス」
預言者:「神は真実しかおっしゃらない」
フレイ:「ミラン・・・」
ミラン:「お母さん、私、どうしたらいいの・・・」
母の声:「ミラン・・・」
ミラン:「え・・・・」
母の声:「ミラン」
母からもらったイヤリングが光を帯びる
ミラン:「母さん・・・」
ミランの目の前に母の幻が現れる
母の幻影:「あなたの大切な人を助けましょう。私はいつでもあなたの味方よ」
ミラン:「母さん」
笑顔を残して消える母の幻影
表情が引き締まるミラン
ミラン:「アレックス、炉に火を入れるわ」
フレイ:「ミラン・・・」
預言者:「良い選択をしたと思うよミラン。さあ、こちらだ。とはいえ、キミが作ったものだからな」
ミランを炉の前に促す預言者アレキサンダー
ミラン:「その前に2人を解放しなさい」
左右に合図する預言者アレキサンダー
フレイとリエルの周りから警備兵がいなくなり、一応自由になる2人
フレイ:「だめだミラン、やっちゃダメだ!」
フレイの方を見るミラン
驚くほどに穏やかな笑みをたたえるミラン
ミラン:「大丈夫フレイ。私を信じて」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。