空飛ぶ都市
【帝都セイクレッド・ガーデン 司教庁前】
ミランを出迎える物々しい一行
対峙するミラン
司教:「これはこれはミラン様」
ミラン:「司教様、ご機嫌はいかが」
司教:「すべては神のお導きのままに。
なんでも森林開拓部隊を襲撃した賊をとらえていただいたと聞きましたが」
ミラン:「2人は賊じゃないわ。私の友人。帝都を見せて回っていたの」
司教:「なるほど、ご友人ですか」
ミラン:「司教庁も見学させたいから、丁重にもてなしてくれる?」
司教:「なるほど、承知いたしました」
フレイ:「おいミラン、どうするつもりだ」
ミラン:「ちょっと私は用事があるから、司教様に案内してもらってくれる。
違った文化を見るのも悪くないかもよ」
司教庁の中に入っていくミラン
すぐに警備兵に囲まれるフレイとリエル
電撃ムチをふるう警備兵
頭から倒れるフレイ
【帝都セイクレッド・ガーデン 地下牢】
フレイの声:「うう・・・」
リエル:「気がつきましたか?」
フレイを覗き込むリエル
フレイ:「リエル、ここは?」
リエル:「牢獄ですね」
鉄格子の扉の向こうに、同じような牢獄が見える
フレイ:「牢獄だって?」
リエル:「私たちは森の開発を妨害した下手人だそうです」
フレイ:「下手人?俺たちが?ミランは?」
リエル:「わかりません。ですが、ここにはいません」
フレイ:「いったい、どういうことなんだ?」
リエル:「分かりませんが、私たち騙されたのですよ。あの炎の娘に。
協力するといって、私たちをとらえる口実だったんです」
フレイ:「そんな馬鹿なこと、ミランはしないよ」
リエル:「私たちが帝都を妨害したことを口実にして、村に攻め込むつもりんなんです、きっと」
フレイ:「リエル・・・」
リエル:「目を覚ましてください。
結局、あの炎の娘は帝都の回し者で、この世を焼き尽くす火の化身なんですよ」
フレイ:「ウソだ。そんなこと」
リエル:「じゃあ、この状況をどう説明するんですか?」
フレイ:「オレとキミを捕らえるって、それだけでなんにもならない。
それにミランは亡くなったお母さんに誓ったんだ。大きくなった火はいらない。火を消すって」
リエル:「これが現実なんですよ。あなたがあの子に、好意を持っていても、あの子はすべてを、あなたのことも焼き尽くしてしまうんです」
フレイ:「リエル・・・」
リエル:「わたしは、あなたを守りたい・・・」
フレイに身を寄せるリエル
【司教庁 研究室】
丈の長い赤い法衣に身を包んだ性別も年齢も様々な、火の民が、多くの機器に囲まれて議論をしている
中央のテーブルで、巨大な空飛ぶ都市の設計図を前にあれこれ議論をしている
勢いよく扉が開く
ミラン:「みんな!」
一同:「ミラン!」
一同:「どこへ行ってたのミラン?」
ミラン:「へへへ、ちょっとね」
設計図を覗き込むミラン
ミラン:「何をみているの、みんな」
ハッとするミラン
ミラン:「何コレ?」
バツが悪そうに顔を見合わせる一同
研究者男:「空飛ぶ都市のメインフレームの動力回路図だ」
ミラン:「空飛ぶ都市って、本気で言っているのみんな?」
研究者男:「本気じゃなかったのはミランだけだ。単に空飛ぶだけのものじゃない」
ミラン:「こんなもので、帝都を空に飛ばしてどうするの?」
研究者男:「決まっているじゃないか。僕たち火の民を迫害した連中の鼻をあかしてやるんだ」
ミラン:「そんなの間違っているわ。ちゃんと話し合えばわかってくれる」
研究者男:「そうかも知れない。でも僕たち一族が迫害されてきたのは間違いない」
ミラン:「今まではそうだったかもしれないけど、これからは私たちで、誰も差別しないような新しい時代が築けるはずよ。それを確かめに行ってきたんだから」
研究者男:「その新しい時代を築くために、この空飛ぶ都市が必要なんじゃないか。
古い価値観を払拭して新しい秩序を作るんだ」
ミラン:「待ってよ。みんなおかしいよ。私たちの力って、そんなことのために使うためにあるんじゃないでしょ?力でねじ伏せたってなんにもならないよ」
研究者男:「もう遅いよミラン」
ミラン:「遅いって?」
研究者女:「あとは中央の反応炉に火を入れるだけで、完成するの。そうしたらすぐにでも攻め込みにいけるの」
ミラン:「攻め込むって誰がそんなこと決めたの?」
研究者男:「神のご意志だ」
ミラン:「神の意志って・・・」
対立するミランと一同
研究者男:「中央の炉に火を入れるのは、ミラン、キミの役目なんだ。火の探求者であるキミのね」
ミラン:「アレックスはどこにいるの?」
研究者女:「どこにいるって、預言者に会ってどうするの?」
ミラン:「やめさせるように言ってくる」
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