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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
火と星の旅路
12/34

神が統べる街

船長ハイドの導きで、霧の向こうに行くミランたち



【海上 ベリッシモ号 賓客(ひんきゃく)室】



ボードゲームを楽しむミランとフレイ

ドアが開き顔を出すハイド

ハイド:「これから霧の中につっこむぞ。おれがいいっていうまで外に出るんじゃねえぞ」

ミラン:「船長もやらない?ハントボード」

ハイド:「オレは外にいるよ。船長だからな。ところであの銀色の(じん)は外に出たままでいいのか?」

ミラン:「メタリオンのこと?彼は強いから大丈夫よ」

ハイド:「なるほど。じゃ出るんじゃねえぞ」

ドアを閉めるハイド



ミラン:「船の上が好きなんだね船長」

フレイ:「ミラン、聞いてもいいかい?」

ミラン:「なあにフレイ?」

フレイ:「船乗りも恐れる霧の向こうっていったい何があるんだ?ミランはどこへ行くつもりなんだい?」

ミラン:「そういえば何にも話してなかったね。気になる?」

フレイ:「心の準備くらいはしなきゃね」

ミラン:「霧の向こうには、神が()べる街があるの」

フレイ:「神が統べる街?」





【海上 ベリッシモ号】


濃霧の海を行くベリッシモ号





【帝都セイクレッド・ガーデン 上空】


霧の向こうに中央に巨大なドームがある都市の威容(いよう)が見える




【帝都セイクレッド・ガーデン 司教庁舎】 

【最上階 執務室】



執務机に向かう神官風の男、預言者(よげんしゃ)アレキサンダー

卓上には記号が刻まれた粘土板と巻紙とペンがある

部下の報告風景



預言者:「火の探求者が戻る・・・か」

黙っている部下

預言者:「ミランだけか?」

部下:「護衛の騎士が1人おりますが、星の守護者ではありません」

預言者:「船だろうな、もちろん」

部下:「流水の聖者があやつる船で向かっています」

預言者:「流水の聖者の船?」

目を閉じて物思いにふける預言者



部下:「いかがいたしましょう?」

預言者:「とは?」

部下:「やっかいなことになる前に手を打ちましょうか」

預言者:「いや、それには及ばない。

 大事な報告をありがとう。父なる神には私から報告をしておこう」

 


退出する部下の神官

新しい巻紙を取り出して筆を走らせる預言者

預言者のペン先:(父なる神よ、ご神託を賜りたく存じます。父なる神の息子より)

ペンを手放す預言者

勝手に起き上がり勝手に走っていくペン

預言者のペン先:(案ずることはない神の子よ。すべてを受け入れ全てを包み込むことだ。神の国はやがて到来する。確実に)

預言者:「全てを包み込め・・・か」




【海上 ベリッシモ号賓客室】


フレイ:「神?神ってなんだい?」

ミラン:「(おそ)れ敬うもの、すべてを創造した唯一の存在」

フレイ:「畏れ敬うって、それは太陽とか星とか水とかじゃないの?」

ミラン:「神様は全てを創ったの。太陽も星も風も水も、イヌや猫や牛や馬、魚も鳥も、全部神様が創ったんだって」

フレイ:「全てを創った?」

ミラン:「私が言っているんじゃないのよ、神の都に住む人たちはみんなそう信じているわ」

フレイ:「そんな話きいことないなあ」

ミラン:「神様は言うの。神の前には全ては平等なんですって」

フレイ:「平等?」

ミラン:「そう。男の人も女の人も子供も大人も」

フレイ:「みんな平等?」

ミラン:「そう、火の民もね」




【海上 ベリッシモ号】

陸地を望む

神の都がある陸地




【海上 ベリッシモ号】


寂れた浜辺に舳先(へさき)を向けているベリッシモ号

ミラン:「え?ちょっと船長?どこへ向かっているの?」

ハイド:「悪いな、本当は帝都セイクレッド・ガーデンの港にバアーンと入港してえ所なんだが、オレはお(たずね)ね者でな、そりゃ出来ねえんだ」

フレイ:「お尋ね者?」

ミラン:「それで、ここはどこなの?」

ハイド:「帝都のド反対。寂れた砂浜さ」




【寂れた砂浜】

桟橋もない、砂浜につけられる連絡小舟

その小舟をみすぼらしい服装の一団が出迎える

砂浜に降り立つミランの一行



ハイド:「ようみんな、客人だ。もてなしてくれ」

ミラン:「船長、ここどこ?」

ハイド:「ミラン、お前は帝都から来たんだろ」

ミラン:「知ってたの?」

ハイド:「光りは影を産む。お前が暮らしていた帝都セイクレッド・ガーデンが光りだとすればここは影だ。

 真っ白なやわらかいパンもなければ、脂たっぷりの肉もない。みずみずしい野菜もない痩せた土地だ」

長老:「そうじゃ客人よ。ここは乾いた土地だ。この地は火の力が強すぎる。

 故に土地は乾いてしまい水は消え去ってしまう。

 だが、そんな私たちでも客人をもてなす術は持っている。さあ、こちらへ」



顔を見合わせるミランとフレイ

先を切って歩き出すハイド

黄金の土台にサファイアをあしらったアンクレットをつけた、ハイドの右足が砂浜を歩いてゆく

読了ありがとうございました。

今後もごひいきによろしくお願いします。

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