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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
火と星の旅路
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環礁の中で

第一部でも登場したベルタの秘密基地にやってきたミランたち


そこで、失われた時代の遺品を見つけます。

【海上 日の出】


波間を切り裂き進む船の舳先(へさき)

朝陽の中を進んでいく青地に白い星を染め抜いたマストの船




【海上 ベリッシモ号甲板】


舷側(げんそく)の近くで朝陽を眺めているフレイ

船室のドアが開きミランが出てくる

フレイ:「おはようミラン。良く眠れた?」

ミラン:「うん。ぐっすり」

そこにやってくる船長

船長:「どうだい船旅は?」

ミラン:「空飛ぶ船ならあっという間だけど、船旅ってのも楽しいんだね」

船長:「そりゃ良かった。船酔いもしてねえみたいだし。2人とも船は強いのか?」

ミラン:「15日もぶっ続けで乗ってたのよ。強くもなるでしょ」

船長:「そりゃ大したベテラン船乗りだな。ま、楽しんでくれて良かった」



フレイ:「そういえばお名前を伺ってませんでしたね」

船長:「オレか、オレはハイド。ベリッシモ号のハイド。でもほとんどの人間は船長(キャプテン)って呼ぶな。まあ、どっちでもいいんだけどな」

ミラン:「どっちで呼べばいいの?」

ハイド:「どっちだっていいさ。好きなほうで呼びな」

ミラン:「でも、不思議な船ね」

ハイド:「なにがだ?」

ミラン:「だって船長の他に誰もいないのに、ちゃんと進んでいるじゃない。これって動力船かなにか?」



『動力船』という言葉にピクリと反応するハイド

ハイド:「あんな外道と一緒にするな」

ミラン:「えっ」

ハイド:「客人は黙って乗ってりゃいいんだ」

後部甲板に歩いていって寝ころんでしまう船長

ミラン:「怒らせちゃったかな?」

フレイ:「本気で怒っていたら今頃海にたたき落とされているんじゃないかな」

ミラン:「それもそうね」

フレイ:「でも不思議な船だね。ベルタさんの船だって色々な役目の人が乗っていたのに寝ころんでいるだけで進んでいく船なんてね」




ミラン:「ねえ、フレイはみんなのこと良く知っているの?」

フレイ:「みんなって?」

ミラン:「それこそベルタとかヒューマ、ジェスとかファロスおじさんたち」

フレイ:「いや~。ほとんど知らないなあ。ヒューマとサーラとは何日か一緒にいたけど、他の人のことはほとんど知らないなあ」

ミラン:「あの人達でしょ、太陽を昇らせたの?」

フレイ:「ええっ?そうなの?」

ミラン:「その様子じゃ、本当に知らないんだね」

スキップしてハイドの方に向かうミラン

その様子を見ているフレイ




【海上 ベリッシモ号甲板】


初めて操舵する船長ハイド

ハイド:「ちょっと寄りたい場所がある。すまんな」

ミラン:「どこ行くの?」

ハイド:「滅多に見ることができない景色ってやつだ」





【海上 夜の波間】


舳先の向きを変えるベリッシモ号

小さな島に近づいていく




【環礁(かんしょう)の中】


ベリッシモ号は小島に空いている天然のトンネルにゆっくりと進入する。トンネルを抜けると、そこは環礁になっている 

月明かりが環礁の中を照らし出す

※第一部15部より


【環礁の中】


穏やかな入り江。一行は小舟で砂浜に向かう

深い碧く輝く波間をすべる小舟。ここにだけ月の光も星の光も集まっているかのように、波間は輝いている。

小舟は砂浜に着くと、一行はバシャバシャと波に足を洗われながら浜に降りる





【環礁 浜辺】


ミラン:「すごい不思議な場所ね」

砂浜に寝転がるミラン

フレイ:「ここは?キレイな砂浜ですね」

ハイド:「隠れ家のようなものだな。嵐を避けたり、人目を避けたりするのに便利だ」


環礁を散策(さんさく)するミランとフレイ

多くのムチがかけられている岩棚を見つける



ミラン:「なにこれ?」

フレイ:「マジメにいうのもなんだけどムチだと思う」

ムチを手に取るミラン

ミラン:「こんなにいっぱいあって、なににつかうの?」

フレイ:「そういえば、ベルタってムチ使っていたよね」




【環礁の中 別の岩棚】


おびただしい数の盾と剣がある

どれにも星の騎士団の紋章がある


フレイ:「なんでここに騎士団のものが・・・・」

剣を手に取るフレイ。柄の紋章は五芒星(ごぼうせい)(星の騎士団の紋章は十字星を二つ重ねた物)

フレイ:「これは?おかしいぞ?」

ミラン:「何が?」

フレイ:「こんな星の紋章、みたことがない」

ハイド:「海の中で見つけたんだ」

2人の背後に立つハイド



フレイ:「海の中で?」

ハイド:「気に入ったら持って行ってもいいぜ。それよりも騎士さんよ、オレと勝負しねえか?」

ミランとフレイ「勝負?」

ハイド:「最近、命のやりとりをしてねえんさ。あのスレスレの緊張感がたまらなく好きでね。お前さんはその相手にうってつけさ」

フレイ:「・・・・」

ハイド:「どうだい?いっちょ勝負してみないか?なあに、本当に殺し合うわけじゃねえ。ただお前さんと戦ってみたいだけさ」



フレイが答えるより早く、斬りかかるハイド

フレイはとっさに、五芒星の剣を取って、応戦する

思いの外、早い攻撃を繰り出すハイド

すべての攻撃を受け流す

一旦、下がるハイド



ハイド:「さすが星の騎士。オレがやる気なくすたあ初めてだ」

フレイ:「気が済みましたか?」

ハイドに背を向けるフレイ

フレイの背後から襲いかかるハイド

ミラン:「フレイ危ない!」

振り向きざまハイドの剣をうけるフレイ

鍔迫り合いをするハイドとフレイ



ハイドの手首を掴(つか)むミラン

ミラン:「もういいでしょ、船長。いい加減止めないと怒るよ」

ミランの全身が赤い光りに包まれ、短く刈り込んだ髪が総毛立つ

ハイドの全身から水蒸気が立ち上る

ハイド:「大した守備力だな。でも時には攻めることも必要だぜ」

剣を引くハイド

フレイも剣を引く

ハイド:「なんだったら剣は持って帰りな。今日はここでお泊まりだぜ」



船のほうに戻っていくハイド

フレイ:「まったく、変わった人だ」

呆然とハイドを見ているミラン

フレイ:「どうしたミラン?」

ミラン:「ねえフレイ。腕持っていい?」

フレイ:「腕って腕?」

ミラン:「うん腕」

ミランはフレイの手首を掴むと、ハイドにやったとの同じように炎の力を発揮する

フレイ:「熱っ!熱っ熱いよミラン」

手を離すミラン

フレイ:「ひどいじゃないかミラン!」

握り手の形に火傷しているフレイの左手首

ミラン:「熱いよねえ」

フレイ:「ミラン・・・?」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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