第74話「都市シュバルツ観光!!えっ!貴族のお嬢様!?」
今、俺はローブを被り広場にいる、床に小さい木箱を置いて楽器を演奏している。
広場の噴水とか雰囲気が出ると思ったのだが、何となく道に迷いそうだったので止めておく事にした。
因みに馬車は宿屋に預けているので御安心あれ。
店主の指導の成果があってか約二時間程で最低限は弾けるようになったのだ。
勿論雰囲気ではあるが、それっぽい音を出して歌い出したのはアイドルアニメのアニソンメドレーだ。
不器用ではあるが、ほんの少しずつ観客が増えていく。
勿論俺の技量ではなく単純に珍しい歌だからだ。
「楽しそぉー!だったら!!…………………………」
約30分程で演奏は終わる、というか終わらせた。
だって喉がからからなのだ。
観客からは惜しみ無い拍手が起きる。俺の才能ではなく子供にしては、というところだろう。
「ねぇ!貴方!!!中々良かったわよ!」
桃色のロングストレートの少女が話し掛けて来た。
随分と高そうな服を着ている、メイドも一緒だし貴族のお嬢様だろうか?てかメイド久しぶりにみたな。
王国領の男爵の屋敷以来だ。
「ありがとうございます。自分は旅の者です」
不用意に身分を明かす必要はない、適当に誤魔化しておくか。
とはいえ見た目からして子供でしかも一人なのでかなり無理があるが、相手も子供だし多分大丈夫でしょ?。
「成程ね!!吟遊詩人か!……貴方、私の家に来なさい!!」
ふふん、と息を鳴らした少女は俺の袖を引っ張り歩き出す。
えっ……!?ちょ!!引っ張らないで!!。
横目で見るとメイドさんは沈黙を貫いている……いや!止めろよ!!。
そして抵抗空しく俺は馬車に乗せられた……本気で暴れると貴族だしヤバイな。
まぁ適当に誤魔化して帰るか。
……どなどなぁぁぁぁぁあ!!!!。
「吟遊詩人様。こちらはシュバルツ家のお屋敷に御座います。」
それから十数分程で目的地の貴族の御屋敷へと到着した俺達。
屋敷の中をツインテ美女のメイドが案内してくれる。
ガキとはいえローブ被ってるのに屋敷に招いていいのか?完全に不審者なんだが?。
「アクジキ!!私の部屋に通しなさい。また歌って貰うんだから!!」
昔仕えるならお嬢様って言ったけどさ……。
やっぱり実際に経験するとアレですな……。
お嬢様様のお部屋だ。何から何まで豪華。
あのベットは羨ましい……今ならお金あるし買いたいなぁ。
「さーて!私の為に歌いなさい!!吟遊詩人!!」
「吟遊詩人様、お願い致します。報酬は弾みますので」
メイドさんに面倒事を頼まれてしまった。
逃げ場は無いので実質選択肢は無いに等しいが。
まぁ、一人カラオケより誰かに歌を聞いて貰えるのは気分がいい……のかな?。
さーて、こうなったら開き直って怒濤のアニソンメドレーいくぜ!!!!。
そして二十分程、俺は貴族のお嬢様の前でアニソンメドレーを歌い続けるのであった……。
* * *
「うむうむ。良かったわよ。吟遊詩人。私の専属にしてやるんだから!!」
いや聞いてねぇよ。メイドさんそこんとこどうなってるんです?。
「吟遊詩人様。カノンお嬢様はシュバルツ公爵の娘であらせられます。お仕えして損はないかと」
うーんと……貴族の階級?とやらが判らない。
メイドさんに耳打ちで聞く、……何と一番に近いらしい。
「お嬢様が飽きる事も考えてまずは一月程の短期でお願い出来ますか?」
「……そう?別にいいわよ!!ふふん!吟遊詩人!これからよろしくね!」
「名前はゴールドって言うので覚えて戴ければ……と……」
こうして俺は異世界で公爵家の令嬢にお仕えする事になるのだった。




