第41話「激闘決着!!念願のランクアップ!!!」
「くっ!!!何故魔法を!?詠唱はしていない筈なのに!!」
答えは難しくない。サイレスで詠唱のみ小声で唱える事で相手に詠唱を聴かせること無く相手を油断させたのだ。だがゴールドにとってこの隠し芸ですら戦術のひとつでしかない。あくまで隙を作り出すのが目的だ。隙と言っても近距離の一瞬では技量の差が歴然であり意味がない。ゴールドが求めるのはあくまで距離を稼ぎなおかつ決定的な隙だ。
ガラティアはその隙をさらした。距離が空いたゴールドのやることはもう決まっている。
「紅蓮を放て!!我が眼前に!!フレアブラスト!!!」「っ!!黒神防壁掌!!!」
「紅蓮を放て!!我が眼前に!!フレアブラスト!!!」「なっ、、!!!」
「紅蓮を放て!!我が眼前に!!フレアブラスト!!!」「うっ!!ぐっ!!」
「紅蓮を放て!!我が眼前に!!フレアブラスト!!!」「こんな!!私が!!!」
防壁は非常に強力な物だったが連続詠唱にあっさり破られガラティアは壁にすまざましい勢いでその身を叩きつけられ意識を落とすのだった。
「ひっ!!」
ならず者の頭領は悲鳴をあげる。まさかこんなことになるとは思ってなかったのだ。ガラティアが今日も騒ぎを起こした。いつもの事だった。アジトを襲撃されたのも初めてではないのだがガラティア一人で数多もの冒険者や護衛を返り討ちにしたのだ。ならず者達は依頼通りクロスポートから出ていく物達のみを襲う筈だったがガラティアは誰かれ構わず襲ってしまうのだ。
自分達はあまりの強さから口答えすら出来ないしこのままでは不味いと敢えてアジトの守りに回したのだ。頭領の案が上手くはまりここまで来る者は軒並み実力者なのでガラティアも満足していたし何よりアジトまで逃げ切れば必ず勝てるというのもあって仲間からは大好評だった。加えていえば分かりやすく大きな扉を作り誘導したりもしたのだ。まさか負けるとは思ってもみなかった。
「安心しろ頭領は生け捕りだ。大人しくしていれば危害はくわえない。」
そのゴールドの言葉にホッと胸を撫で下ろす頭領だった。
帰りにまだ残った物達がいたが一人を魔卿炎斬であっさり倒すと蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
追うつもりはない。扉の前で既にギルドのマジックアイテムを使って呼び出しを行っていた。
「ギルドの者です。お疲れ様です。ゴールド様。残党の駆除はお任せ下さい。」
残党の駆除はギルドに任せゴールドは馬車にて帰路につくのだった。
それから3日後。ギルドから依頼達成の知らせが出た。
領主の悪事が暴かれ、ならず者達は排除され、領主は貴族の位を失う結果となった。
悪事の証拠はある程度既に揃っており後は証言者や家宅捜索などで証拠固めしたそうだ。
「ゴールド様。お待たせ致しました。ギルド依頼完了となります。依然お話した報酬なのですが何か希望の物はございますか?」
ギルドマスターから訪ねられるゴールドその質問に即答する。
「ランクアップで。」
本来ならランクアップは報酬ではないが活躍や貢献度でランクアップ出来るだけあって報酬がわりにそれを使う者もいた。勿論AランクやSランクは無理だが。
「本当にそれでもよろしいので?確かにゴールド様がランクアップするのはまだ当分先になるので決して損ではありませんが実力的に考えればこの先必ずBランクになれる筈ですよ?」
ギルドマスターの疑問にも返答は変わらない。
「分かりました。それではゴールド様のBランクアップを認めましょう。」
こうしてゴールドはBランク冒険者となるのであった。