第14話「お別れの黒神旅立ちの決意」
異世界での魔物討伐デビュー戦でオークと言う大物に運悪く当たってしまった俺達。
こうして、初めての冒険はいい思い出になった。
そんなこんなで一月が経ち黒神はこの村を出る事になった。
相対的にヨミともお別れだ……。
* * *
「行っちゃやだよおぉぉ……」
ミルは泣いてる。初めてのお別れかな?俺も悲しい。
「元気で。さよならは言わないよ、……また会えるって信じてるから」
その一言にヨミは満足そうに頷く。
「機会があったらアウグウスト王国の王都に来て。御父様……いえ、黒神はそこで国を守るのが仕事だから」
そう告げてヨミと黒神は村を出て行った。
「ミル。大丈夫大丈夫。また会えるから」
「うん……そうだね。また……」
俺はいつまでも村で退屈に過ごす事に飽きてしまいこの時旅立ちを決意するのだった。
* * *
「えっ!!!!」
ヨミが村から立ち去り幾何かの時が過ぎた……。
平穏な時間が戻りつつかる中、突拍子の無い俺の声から始まる。
そう、念願の妹だ。
なんと母親が妊娠したそうだ。
いやまぁオトウットかも知れないが。
……いやいや転生物は妹と相場で決まってんよ。
この前旅立ちを決意したのにこれか?というのが正直な気持ちだった。
……うーん、まぁ旅立ちは五歳でいいや。
生まれるとこ位は見とくか。
そう決意し五歳までに中級魔法の習得と剣技に磨きを掛ける事を誓うのだった。
* * *
そして時は過ぎ俺はは5歳となった。母は何か紋章が入った剣を父は杖を送った。ミルは手作りのネックレスだ。
ミルの誕生日に作ったネックレスが好評だった模様だ。
ミルには悪いが5歳に旅立つと決めたのだ。妹も生まれたしもうこの村にいる理由はない。まぁ居たくないわけでは決してないが。
当初こそ村の周りの人間がそれこそNPCにしか見えなかったが、村では二年過ごしたので知り合いも多い。
知り合いと別れるのは悲しいし、名残惜しいが俺は異世界を謳歌するのが目的なのだから致し方ない。
「さぁ!!旅立ちの時だ!!!!」
村からは離れた草原で声をあげる。
旅立ちの時だ。剣と銅貨や銀貨、枚数の少ない金貨が入った袋を握り締めて。
……何故、村から離れた草原で旅立ちの宣言をしているのかって?。
それは家出だからだ。
まず、齢五歳の少年に単独での旅立ちが許される筈も無く、またそれを知っているので家族とは一切の相談もせず置き手紙を早朝に置いていっただけだ。
警備の穴も二年で必死に探したんだからな……?村人の狩人の狩りに連れていって貰ったり、衛兵さんと談笑したりした時間は決して無駄ではないのだ。
村での二年に及ぶ小遣い稼ぎで旅の資金も出来たしな。
こんな事が許されて、タダ働きにならなかったのも両親の存在が大きく俺がある意味特権を持った扱いだったのも大きい。
まぁ、魔物狩りで活躍したし村人(大人)に媚ていたのもあるけどな。
それにしても、出来れば馬車に乗り込みたかったけれどもバレたら元も子も無いから諦めたけど。
村の若者なんかはよく行商人の馬車に乗せて貰って村を出ていくんだってさ。
俺もそうしたかったが、五歳の子供では流石に門前払いをくらいかねない。
そう言うのは成人直後の若者がやる事らしいし。
「ふぅ……」
ただ、歩くだけではあったが旅は順調だった。
盗賊とも運よく会わずモンスターもファングボア程度だった。一応大まかな地図もあり街道を歩けば町があるのも村の大人に聞いてある。
村は確実に田舎だが、近くにたったの数時間で着く御都合主義の町があるのて野宿なんて危険な真似をせずに済む。
正直盗賊に会ったら確実に死ぬし、魔物も数が多かったり俺では対処不可な化け物が出れば即バッドエンド直行だ。
とは言え、流石にこんな田舎の村にはドラゴンみたいな化け物なんて出てこないし魔物の分布位は調べてあるので心配は無い。
それでも危険な事には代わり無いが、多少のリスクは受け入れるしかあるまい。
全くの危険が無く、安全って訳にはいかないしさ。
旅の目的はやはり大冒険だ。ヨミとはもっと立派になってから会うつもりなので反対方向の帝国領に行くことにした。
それにこっちなら知り合いに気付かれないしな。
「これが始まりの町……(勝手に命名)」
それから数時間……やっと目的の町につくのであった。