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最終話:終わりですよ、皆さん。

「今日も空が青いな」




 愛おしそうに、青空を眺める者がいた。


 長年待ち、この色を見る事に憧れを持っていた彼女は嬉しそうに、その輝きが眩しそうに、目を細めた。柔らかく、優しい風が彼女の頬を撫でていく。その心地よさに目を閉じる。そして、さらにその心地よさに浸ろうとしていた。


 きっと、あの出会いが無ければ、世界の美しさを知る事が出来なかっただろうと彼女はあの事を思い出す。


「そうですね、サタリナ様」


 スッと現れ、その横で同じように空を見上げる者がいた。


「……プロクシュテン、我が愛しき息子はどこに行った?」


 彼女は目を開き、また、瞳いっぱいに青を映した。


「スクラ様ならば、()()、遊びに行かれましたよ」


 彼女はふーっと息を吐いた。息子であり、第五代目魔王として黒の国に君臨しているスクラだが、最近はどうも黒の国に居ない事が多い。

 行く場所は、決まっているのだが。


「迎えに行ってきなさい。私が行きたいところだが、私は湯あみをしてくる」

「……でしたら、この私が湯あみを手伝いましょうか?」

「冗談か?」


 サタリナは素敵な笑みをプロクシュテンに向けていた。


「そういえば、他の四天王(ものたち)はどうした?」

「アーネモスちゃんは強くなりたいらしいので山籠もりです。ランはまあ、相変わらずですね。ガイアラスもあっちに行って見て回っているようですよ」


 アーネモスはマースリーとの闘いに敗れたときからストイックに己を磨き始めた。なんでも、またマースリーと対決するのが目標だという。

 ランヒュドールは自分の可愛さをさらに知ってもらおうと努力している。最近ではエステに通い始めたとか……。彼女の一言で自信をつけたのだった。


 ガイアラスは前よりも前向きになった。しかし、マースリーへの執着が若干見られ、スクラ同様、遊びに出かけている。そのうちに、黒の国以外の世界に魅力を見つけ、日々それらを見て回っているそうだ。彼曰く「マースリーが生きる世界を知りたいだけだよ」だそうだ。

 プロクシュテンは相変わらず城にいるのだ。出払っている他の者の代わりにサタリナに付いている。実際、彼はそれが目当てでどこにも行かないのだが。


「……そう。いいわ、下がりなさい」

「い、いえ。では、失礼いたします」


 笑顔の裏から感じられる彼女の威圧にプロクシュテンは恐縮し、その場を後にした。しかし、内心、そんな強いサタリナの態度に痺れて、彼女への好感度は増す一方だった。


 サタリナ・ディアボロスト、第四代目魔王は伊達ではない。











「今日こそ、姫を攫ってやったぞ」


 楽しげに言うスクラが抱えているのは可愛らしいドレスを身に纏った、人間。


「あーあ。またやってる」


 プロクシュテンが着いた時にはスクラは誇らしげな顔をしていた。

 時々、こうして彼らのもとを訪れては悪戯をしている。


 だが、プロクシュテンはスクラが抱えている人間をよく観察した。あの日は騙されてしまったけれど、もう、そうはいかない。


 そうと分かれば、プロクシュテンはため息を吐く。


 小脇に抱えられた、可哀想な、人間。


 最初に出会った時と同じように完璧な姫に変えられてしまった、人間。()の姉たちはなかなか反省してはいないようだ。





















「……まったく。人違いですよ、魔王さん」





















<Fin.>


ここまで読んでいただきありがとうございます<(_ _)>

無事、完結となりました。

本当は区切りのよい、20話で終わりたかったのですが、

そうはいきませんでした(ーー;)

でも、書きたいことは書けたと思います。


皆様は楽しんでいただけたでしょうか?

楽しんでいただけたのなら幸いです。


余談ですが、マースリーの名前の由来はローマ神話の

戦の神であるマースルからきています。

お強いですからね……。

サタリナさんは魔王:サタンから

四天王&スクラさんはギリシャ語をもじってます。

あとは響きとかで決めました。




最後に、

本当にありがとうございました!

それでは、また、別の作品でお会いできることを願っております。

2014/12 秋桜(あきざくら)(くう)

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