強い式を持つ者の欠点とは?
「そうですね。呪符をきるタイミングなどは、一度教わった方がいいでしょうね」
「ああ、私から父様にお願いしよう」
「ああ、頼む」
「ええ、その場合卓兄か、私が先にやっていた方がいいでしょう?」
聖も納得して頷く。
「でも、厄介になってきましたね?」
「ああ、これを篁家だけでやるのは、流石に骨が折れる」
「ですが、声を掛けようにも、誰が敵かも分からぬ今、下手に声をかける事も出来ませんしね」
「そこなんだよな?」
卓も難しい顔をして黙る。
「それは、まだ横に置いといてくれ。たぶん、叔父様に陰陽師同志の繋がりがあるだろう? そこは、長年篁家を束ねていた人ならではの?」
「知らぬとは、言わせてくれないな」
父親が苦笑いして言う。
「当然だろ」
「そうは言うが、時代の変化と共に、陰陽師同志の繋がりもなくなりつつある」
「でも、全くない訳じゃないんでしょ?」
「一応な。でも、協力を望めるかは疑問だ」
「そうですか?」
残念と言うと、聖は笑う。
「でも、味方はそのうち現れますよ。焦らなくてもね」
「そうだな」
卓も頷く。
「それに、横の繋がりが薄れているなら。それは、相手側にも言えます。敵がそんなに多くないなら、私達で大丈夫です」
「それだと良いがな」
卓は言う。
「如何言うことです?」
聖は疑問視する。
「奴らを指揮している奴がいるだろう」
「つまり、もっと強い奴がいると?」
「そうは、思いたくないがな?」
卓の言葉に聖は悩む。
「まぁ、いずれ分かりますよ」
茅場が起きて言う。
「お前大丈夫か」
聖が聞くと、茅場は頷く。
「大丈夫ですよ。さすが、十二神将の使いですね」
聖に言う。
「お前も中々」
卓は茅場に言う。
「お前の戦い方は、おじさんによく似てるよ」
「それは、式に頼る私達とは違うんでしょう?」
「そうかもな」
卓は笑う。
「そう考えると、強い式を持つことも考えようだな」
「そうですね。我々は戦い方に工夫致しません。そもそも、我々の努力不足でしょう。強いものを式とし、我々はそれで満足している。だが、式が弱ければ、それを補うための努力をします」
「う〜ん、耳が痛いな」
「ええ、我々は強い式を持ったことで、それで満足している。満足してしまい、努力することを忘れている。式の力にただ頼っているだけだからだ。戦い方を考えなければな。だから、努力している方が強いのは当たり前だ。私たちは努力することすら、忘れているんだから」
「お前の言う通りだ、俺は十二神将の力に頼っているからな」
「私達が彼方に努力することを忘れさせてしまいましたか?」
招杜羅は涙ぐむ。
「お前らのせいじゃない。これは我々が怠けていたせいだよ」
聖が言う。卓も頷く。
「そうだ。私達はただお前達に甘えていただけだ」
「でも、そうさせたのは、私達だ」
そう言ったのは、青龍だった。
「自分たちが怠けていたのを、お前たちのせいにする気はないよ」
「そうは言うが」
「これは、自分達のせいだ。お前たちは存分にその力を発揮してくれているよ。後は、私たちの戦い方だな」
クスリと聖は笑う。