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使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。  作者: 木山楽斗
外伝

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第2話 誰か代わりに

 聖女は、とても大変な仕事です。

 朝起きてからもとても大変ですが、それからも大変です。

 色々と仕事がありますが、それは全部大変です。まあ、それはまだいいとしましょう。仕事が大変なのは、高い地位に就いているから仕方ないとまだ納得できない訳でもありません。いや、でも、やっぱり大変過ぎますね。もうちょっと楽な仕事にして欲しいです。こっちも、納得できません。


 ただ、もっと納得できないことがあります。

 それは、聖女の業務時間です。これがまた長いんですよね。日が暮れても仕事が続くのはおかしくありませんか?

 仕事が終わったら、すぐに就寝しなければなりません。なんといっても、五時に起きなければなりませんから。

 でも、少しくらい夜更かししてもいいかなとか思って、起きていることもありますけど、それは私の責任ではありません。自由な時間がないこの仕事が悪いのです。

 だから、仕事中に眠っても許してもらえると思っています。私は、悪くありません。


 しかも、聖女の仕事は休みもないんですよね。

 週に一回あるかないか、それくらいしかないんです。

 私は、週七で休みたい人間なので、これはきついですね。というか、休みがない週とか意味わかりませんよ。


 まあ、一応、国を運営していく上で重要な仕事である訳ですから、大変なのはわからなくもありません。

 でも、少なくとも私には向いていませんね。こういうのは大義とか、そういう私にとってはどうでもいい志を抱いている人の方が向いているんですよ。

 なまじ才能があるため、この地位に就いていますが、あまり良くなかったんですかね。ああ、自分の才能が憎い。どうして私は、こんなに才能が溢れてしまっているんでしょうか?


 はあ、どこかに高い志を持っていて、私の代わりに聖女をやりたいと言ってくれる人がいないでしょうか?

 そういう人がいるなら、すぐにでも変わってあげたいですね。こんな大変な仕事は、どこかの誰かに投げたいですよお。


「シャルリナ・ラーファン! あなたに言いたことがありますわ!」

「あ、いたあっ!」

「えっ!?」


 そんな私の前に、とある人物が現れました。

 彼女は、フェルムーナ・エルキアード。

 大義を持っていて、それなりの才能もある私にとって、とても都合がいい人間です。

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