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第12話「かき乱す女」


「究極奥義を使った者は、地上を去ることになる」


その数秒間、口をきける者はいなかった。

(去る・・・去るって!?死ぬってことか?)


「ギャ、ギャーーーーーーーーーーーーーム!!!(こ、ここで一曲歌わせていただきましょう!ミスターギャムドレンで、『ギャーム行進曲』、な~んちゃって)」


「・・・・・」

空気を変えようとギャームが気をつかってくれたのだろうか。でも正直歌はうるさそうだし聞きたくないな。あ、福田がギャームの口をなわとびで結んで阻止してくれた。GJ


「老師・・・それは私も初耳です。一体どういうことなのですか」

「詳しくはわしにもわからん・・・なんせ我が流派の代々伝わる言い伝えであり、その期限は数千年前とも言われておる。真偽のほどはまったくの不明じゃ・・・」



「・・・なら、僕で一旦ためしてみるというのは、どうです?」



「!?!?!?」

俺たちは一斉にその提案者の方に視線を向ける。市原が確かにそういったのだ。


「僕は水田くんを一度抹殺しようとした・・・にもかかわらず、彼は地中で生き埋めになりそうな僕を背に抱えてここまで運んできてくれた。一度失うはずだったこの命、彼の為に使えるなら惜しくは無いよ」


「君の覚悟は尊敬に値する、しかし・・・残念だけど「神の技」を使えない以上、きみじゃあ力不足と言わざるを得ないわけだが?」

「フッ、飯塚嬢、なめてもらっちゃ困るよ。こう見えても僕にも多少武術の心得はある。そして・・・」




スーーーーーーーーーーーーー




こ、これは!?


その場にいる全員(福田のぞく)がすぐに察知した。

この集中と殺気は、まさしく俺とじいさんの「神の呼吸」!?





ハーーーーーーーーーーーー




「フフ、これでわかってもらえたかな?」

「ど、どうして・・・」

「なに、簡単な事さ。僕の夢乃国(ネズミーランド)は他人の夢を自在に支配する能力。それが今、僕の目が失明したことにより、いわば永遠に眠りの状態になった僕は、自身の夢・・・つまり君らにとっての現実世界、を意のままに支配できるようになったってことさ!もちろん「神の領域」だろうと関係ないーーー」


「な、なんということじゃ・・・「神の技」を扱える若者が2人も現れるとは・・・これはいかん、いかんぞ。」

「ギャーーーム!!!ギャーーーームギャーーーーーーム!!!(災いが!起こる!!ひとりは救世主に!そしてもうひとりは破滅をもたらす破壊神になるだろう!!)」


「災いだって・・・!?」

「なにを不吉なことを言っているんだ。さっきも言った通り、僕はもう水田くんと敵対するつもりはないよ。破壊神だの救世主だの、実にくだらない言い伝えだ」

「・・・・・」


飯塚は沈黙していた。

一方、福田は状況が飲み込めず(というより途中から自主的に放棄したか)switchでテトリス99している。どうやらこの家屋Wi-Fiは通っているらしい。


「こうなった以上、わしにはもう止められん。しかし、事態は一刻を争う。早速2人に究極奥義習得の修行を始めたいと思う。外に出よ」

「じゃ、私たちはフリーよね。有希、また海岸で男どもを漁りに行くゥ?」

「いや、私も老師についていくよ。福田さんとはここでお別れだ。」

「ケチ!下の下の下ケチ!ゲチ!」


こうして、俺と市原の修行が始まった。

市原の武術センスは素晴らしく、目が見えていないのにも関わらず俺の動きを簡単に見切ってくるほどだ。

(負けられねぇ・・・!)

奇しくも二人目のライバルを得た俺は燃えていた。


いっぽう飯塚は、尊敬なのか畏怖なのか、はたまた嫉妬なのか。さまざまな感情を渦向かせながらその様子を見学していた。

(・・・美しい。私もあの領域に達せられるのだろうか?昨日まで私よりも力量が下だったあの水田が、いま老師の下で破竹の勢いで成長している・・・)


ゾクッ


(この男はーーーこれから一体どんな光景を見せてくれるのだろう)

いいや、この感情は、きっと「期待」だ。

水田は、もしくは市原は、地球の救世主となるべき存在だ。我々の希望の光となって照らしてくれるに違いないのだ。

(フ。この調子なら、何も問題なさそうだな。あとは老師に任せよう・・・)


一安心した飯塚がホテルに戻ろうとしたその時だった。




「・・・自分より格下だと思っていた男が、気づけば自分の手の届かないような高みに到達している」

「どこにでもいるような存在だと思っていたはずが、タダモノじゃないどころか、世界を救っちゃう救世主だなんて」

「悔しいわよね。妬ましいわよね。そんな感情が一切ないといえば嘘になるわよね」

「そして・・・自分だけのモノにしてみたい」

「あなたの思っていることは手に取るようにわかるわ」



「・・・貴様、誰だッ!?」



瞬時に距離を詰め、飯塚の唇に指をそえ、こう続ける。

「あなた。無理をしてるわ」

「もっと感情に素直になりましょう?」

「ーーーーーーーーあの男の全てを」



「奪ってみたいと、思わない?」



飯塚の耳元で、悪魔がささやいた。




産業まとめ

・市原もまた、天才

・究極奥義2人で習得するンゴ~

・有希にあくまのささやき


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