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第10話「老人の正体」




気絶した全裸の男が2人・・・

それを見つめる乙女2人・・・

早朝の海岸・・・



こうなったら、やることは一つ!


「ふぉふぉ、早まるでないぞお嬢ちゃん」

「!?」


この私が、背中をとられた!?

不覚ーーーーそう思いながら後ろを振り返ると、そこには誰の姿もなかった。これは。


「残像、じゃが。」


この技は。


「まさか・・・・・・・・・」

「久しぶりじゃのう、有希よ。元気そうじゃのう」

「老師!」



「あー・・・感動の再会?のところ悪いんだけど、状況が全然頭に入ってこないのよ。説明してくれる?」


福田成美が、耐えきれずグチをもらす。

漏らすのは、それだけにしてほしいが・・・


「ふぉふぉ、これはこれは、自己紹介が遅れたようじゃ。わしは天川流神眼拳の師範をやっておるしがない老人・・・天の川学園の理事長であり、そして飯塚有希の実の祖父じゃ。」


「えっ!?有希ってば、理事長のお孫さんだったの!?」

「・・・バレてしまったならばしかたない。」


飯塚は下を向いてつぶやく。

コホン、とひとつ咳ばらいをして、老人が続ける。


「して、今おぬし・・・この男に何かしようとする様子が見受けられたが・・・」

「・・・・・」

「この男が、そうなのじゃな?」

「はい、老師。この男、水田貴之こそ、私の見込んだ、この世に平和をとりもどす者。」

「へ、平和って・・・私たちの元々いた地球は、平和そのものだったじゃないの?」


フッ、と乾いた笑いをして、飯塚は言う。


「福田さん・・・あの世界は、あなた風に言うなら『下の下の下』だよ。特に、私たちが住んでいた日本はね・・・。犯罪率は90%を超え、万引きは当たり前、何事も暴力で解決する、秩序もへったくれもない最悪な世界だった。福田さん、あなたの育ってきた上流家庭ではそんなこともなかったのかもしれないけれど・・・これが今の現状さ。そこで急遽、この国を大きく変えるため、未来をになう秀才たちを集めるために5年前『天の川学園』が設立された。」


「な、なんですって・・・」


衝撃的な事実に崩れ落ちた福田は、長い話に飽き飽きしておこなっていた早朝逆レイプの手を、思わずゆるめる。


「一般家庭じゃあ、逆レイプなんてしている余裕なんてないのさ。私も、そんな趣味とはかけ離れた教育を受けてきた。しかしその方針に我が祖父は反対したーーー」


「えっ?」


「上の人間は頭が固いからのう。逆レイプなんてしていたら余計に秩序が乱れると思ったんじゃろ。しかしわしの考えは逆じゃ。凝り固まった観念からは変革は生まれない。もっと柔軟な・・・フレキシブルな人間こそ上に立つにふさわしい。なによりワシは逆レイプものがとても好物でのう」


最後の一言に邪念を感じたような、そんな思いにフタをかけるように飯塚は言った。


「そして今まで逆レイプのぎゃの字も知らない私に、老師は試練を課した。それがこの惑星、というわけなのだよ。まさか天の川学園全体をまきこんでこんな壮大な計画にしているとは思いもよらなかったけどね・・・」


ほんと、イイ迷惑よ! 福田成美がまたグチをもらす。


「ほっほっほ。学校全体を結界で囲んだり、チャイムに模した魔法力増大の呪術、次元亀裂(ゲート)をよぶ詠唱を校歌にするなど・・・わしにしては少々大がかりな手品だったかのう?じゃがお嬢ちゃん、福田成美といったかな。おぬしはなぜ自分が天の川学園に合格できたかわかっておるのかのう」


学力は中の下、運動神経はまあまあ、たしかに、全国的に見れば高水準でも、福田成美は偏差値112全国精鋭があつまる天の川学園ではあまりに浮いた存在だった。


それなのに難関の入試を突破出来たのは・・・


「まさか!履歴書に書いた、私の趣味逆レイプっていうのが評価されたっていうの!?」

「大正解~♡」


その刹那、おそろしい速さでカミソリのような切れ味の福田のハイキックが飛び出した。

伊達に天の川学園で1ヶ月揉まれてきたわけでない。

歴戦錬磨の飯塚有希ですら、その攻撃を100%避けれると断言できるとはいえないほどの、素晴らしい一撃だった。


しかし、それもやはり「人間の領域」での話である。

この老人はまるでその動きを予知していたかのごとく、スルリとかわしてしまうのだ。


(おっ、パンツみえた)


「・・・ッ!ニタニタ笑ってんじゃ・・・ないわよ!」


そのままの勢いで、回し蹴りを繰り出す福田。

しかし、何度やっても結果は同じ、まさにのれんに腕押し、ぬかにくぎ。


(この人には、やはり「神」が宿っているとしか思えないーーー)


言動・性格は尊敬に値しないものの、武術に関しては超一流。

認めたくはないが、今まで通算100回以上にもわたる手合わせで一度も攻撃がかすりすらしたことがない。


「ふぉふぉ、元気なのはいいが・・・ほれ。足元がお留守じゃぞい」


ちょん、と軸足を払われ、福田はバランスを崩しドスンとしりもちをついてしまった。


「勝負あり、だね」


「クッ・・・ざけんじゃないわよ、わたしだって、わたしだって日々頑張って生きてるんだから・・・!そのへんのノータリンビッチと一緒にしないでよね!」

「おーおー。嫌われてしまったかの?ちぃとばかり誤解があるようじゃが、おぬしの努力を評価していないわけではないぞ?」

「ふん!セクハラもいい加減にしてよね!このエロジジイ!あんたなんか絶対逆レイプしてやんないから!まけにまけてホ別3万ってとこね」



ギャーギャー。やいのやいの。

(やれやれ参ったな・・・どっちも負けず嫌いだから、クチゲンカじゃ一歩も引かない)

まったく、いつも仲裁役で苦労するのは私なのだから。

たまには私もケンカにまざってやろうかな。

いくら老師でも、福田さんと手を組んでの2対1ならあるいは勝機があるかもしれないーーー


そんなことを思案しているうちに、



「あ・・・れ・・・げっ!飯塚ぁ!?」


全裸の殿方2人がお目覚めのようで・・・

さて、すっごく気まずい状況なわけだが? 一体どうするの、有希!






産業まとめ

・犯罪率90%の現世を改革するために天の川学園は設立された

・改革のカギは、逆レイプ

・水田ムクリ(ムクリ)


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