18話 聖者はラストエリクサーを躊躇なく使います
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁwざこ乙wwwその技のそこでの空振りは反確なんですけどねー?初見さんw雑魚狩り楽しいw』
またGS4とやらで遊んでる女神様。
「いつも何やってるんだ?」
『知らないんですか?SOC。ソードオンラインクライシスですよ!』
知らねぇ。
何だそれ、初めて聞いたぞ。
『久しぶりにやりましょうよ〜旦那〜』
そう言いながらこんとろーらーとやらを押し付けてくる女神様。
「仕方ないな1回だけだぞ」
『負けませんよー。私はJkファイターのまどかちゃんをつかいまーす』
「じゃあ俺はこれで」
適当にボタンとやらをポチポチしてキャラを選んだ。
そうしたら同じキャラになってしまった。
『同キャラつまんねぇんですけど?』
「そんなこと言われたってさー」
どれがいいのか分かんないし
「ていうか女神さんこのゲームやってる時だけキャラ違くねぇか」
『そりゃそうでしょ!』
急に怒鳴り声を上げるのでビックリする。
『私達は安全圏からピコピコやってるだけですけど、画面の向こうではキャラが生き死にをかけて戦ってるんですよ?!私が適当にやればキャラは死ぬんですよ?!私達は生死を担ってるんですよ?!本気になるに決まってるでしょ?!』
「でも女神さん、俺が戦ってる時、『ダンシング女神ちゃんなんです〜♪』とかって踊ってるけど俺の生き死にはどうでもいいのか?」
言いながら俺をパーティに入れていたイラの気持ちが分かった。
お前こんな気持ちだったんだな。
『どうせ勝つのに気にしても仕方ないじゃないですか』
俺は弱いのにあんまりな答えだな。それは。
「ところでダンシング女神ちゃんってなんなんだ?」
『演出ですよー演出。ただ何もせず私が突っ立ってるよりふれーふれーダンナーって応援してた方が上がるっしょ?』
それはどうだろうな。
『つまりこういうことですよ』
そう言って踊り始める女神様。
そうして俺の手を取ってきた。
『しゃるうぃーだんす?』
「よしきた」
何を言われたのかは聞き取れなかったけどよしきた。
何を求めているのかは伝わってきた。
『ついてこれますか?』
あんたの指示で踊ってきた俺の技術舐めるなよ?
「惚れるなよ?」
※
『やるじゃないですか』
踊り終えた俺達はお互いの技術を褒めあっていた。
「女神さんこそな」
『今回は引き分けとしておきましょう。それにしてもダンシング女神ちゃんに認められるなんてやはり中々やりますね。貴方は』
「そうか?」
女神さんこそ素晴らしい技術を持っていたと思うが俺がそう思うだけか。
そんなことを思っていたら
「た、大変ですよ!お兄ちゃん!」
妹のティアがドアを開けて部屋に入ってきた。
「どうした?」
「ゴブリンに襲われたゴブリンがゴブリンなんです!」
「落ち着けよ」
「だからゴブリンに襲われたゴブリンがゴブリン」
そこで彼女は自分が何を言っているのかに気付いたのかハッとした。
「ご、ごめんなさい」
「気にすんなよ。それで?」
「ゴブリンに襲われた獣人の人がラグナさんを出してくれって来てるんですよ」
ゴブリンに襲われたのは間違って無かったんだな。
「それで、傷を負っているからラグナさんに治療して欲しいって来てるんですよ!」
「なるほどな。俺に何が出来るかは分からないがとりあえず見てみよう」
女神様が何か言っているがそれどころじゃない。
俺は宿を出る。
「多いな………」
「聖者様!この子を」
「この子もお願いします!」
「うちの子も!」
何でこんなに多いんだ?
「何があったんだ?」
聞いてみる。
「薬草を集めに行っていたらゴブリンが現れて襲われたんです!」
1人の獣人がそう説明してくれた。
なるほどな。
「どういう状況だ?」
「それが毒をもらったんです。ゴブリンの武器に毒が塗布されていて」
分かった。なら俺がやる事は1つか。
俺はラストエリクサーを取りだした。
「そ、それは!」
「ラストエリクサーだ」
そう言って全員に均等に中の液体を振りかけた。
すると緑色の光を放ったと思えば直ぐに収束してそこには元気な子供たちの姿があった。
「あれ?!なんか元気出てきた!」
「私もー!」
そうして獣人の子供たちがはしゃぎ出す。
どうやら成功したようだ。
「ほ、本当にありがとうございます聖者様………」
「私からも!本当にありがとうございます!」
親達が頭を下げる。
その顔には安堵からか涙を流している奴もいた。
「気にすんなよ」
ラストエリクサーは3桁単位で在庫がある。
むしろアイテムポーチの整理ができて嬉しいほどだ。
「聖者様何か恩返しは出来ませんか?」
「私も何かお返ししたいです!」
そう言って詰めかけてくるが、
「別にいいよ。気にすんなよ」
「で、でもラストエリクサーなんていうアイテムを使っていただいて………」
世間一般的にはラストエリクサーはそんなに高価なアイテムなのだろうか?
うーん。やっぱり俺はズレてるのかなぁ?
「あ、あのこれ少ないですが………」
そう言ってお代を押し付けてくる獣人。
「気にしないで欲しいんだがなほんとに」
「い、いえ!それでは申し訳ないので!」
そう言って何人もが俺に皮袋を押し付けてくる。
「なら、有難く貰おうかな」
「はい!お願いします!」
思わぬ臨時収入だ。
「それでは、本当にありがとうございます聖者様」
そう言って去っていく獣人達。
「ありがとーおにいちゃん」
「ありがとーー」
子供たちも笑顔でそう感謝してくれた。
「また困ったことがあれば来ていいからな」
「うん!ありがとー!」
そう言って去っていく子供たち。
俺にとってお礼なんてその笑顔だけでいいんだがな。
「お兄ちゃん」
横に立っていたティアがつんつんつついてきた
「どうした?」
「そのお金でパーッと遊びましょうよパーッと」
「それもいいかもな」
笑って答える。
しかしそれはまた今度だな。
だって
『終わりましたかー?私とGS4するんですよー?』
「兄ちゃん!私を強くしてくれ!」
「ラグナ様?ご飯出来ましたよー」
「弟子!組織の連中が来てる!早くドアを閉めろ!」
騒がしい4人がやって来た。
はぁ………誰の相手をすればいいんだろうなこれは。




