表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

予期せぬ乱入者達

「それで、ここからはどうするんですか ?」

 ひとまず休めそうな所に着いたソウタ達は、今後について考えていた。

「そうだな、まずは傷の回復に努めよう。回復師ヒーラー、魔力は大丈夫か ?」

 回復師の2人は、軽く頷く。しかし、1人は少し顔色が優れない。魔力切れが近いかもしれない。

「俺は少し周りを見てきます。すぐ戻るんで」

 そう言ってソウタは立ち上がる。それをカレルは引き留める。

「待て、危険だ。せめて、私だけでも」

「駄目です。そしたら、彼らは誰が守るんですか。それに、一番傷が少ないのは俺なんですから、俺が行きますよ」

 ソウタは草むらの中に入っていった。


 草むらを抜けたソウタは、自分の手を見た。その手は小刻みに震えていた。足も震えており、立っているのがやっとだった。疲れがでたのかソウタはその場に座りこむ。

 不意に草むらが揺れる。ソウタは、剣を構え臨戦態勢にはいる。しかし、出てきたのは敵ではなかった。

「バルクさん !」

 ボロボロになったバルクが地面を這いずりながら出てきたのだ。

「どうしたんですか !?」

 ソウタは急いで駆け寄る。

「奴らが……この森にいるはずがないのに。危険だ、今すぐこの森を出なければ。さもないと、全員死ぬぞ」

「とりあえず、詳しい話は後で聞きます。今は、俺のパーティーの所に行きましょう」

 ソウタはバルクを肩に担ぎ自分のパーティーの所まで運ぶことにした。


回復師ヒーラー、処置を早く !バルク、何があった ?」

 傷だらけのバルクを見たカレルは慌てて駆け寄った。すぐに2人の回復師ヒーラーが治療を開始した。みるみるバルクの傷は治っていく。やがて、完全に元の状態に回復した。

「バルク、何があったんだ ?話してくれ」

「俺達のパーティーは順調に魔物を狩っていたんだ。だが、そこに奴らがあらわれた。南の魔王 戒毒王かいどくおうの幹部、骨騎士こっきしとその取り巻きのミノタウロス共だ。だから、ここから早く逃げなければ」

「きゃぁぁぁぁ !」

「今のは、ユーティリアの声」

 ソウタは、すぐさま声のした方に走りだした。

「私達も追いましょう」

「やめておけ、死ぬだけだぞ」

 パチンッ

 カレルはバルクの頬を叩いた。バルクは、一体何が起こったのか理解出来ていない。

「そんな人だとは思わなかったわ」

 放心状態のバルクを置いてカレルはソウタを追う。カレルのパーティーのメンバーもカレルについていく。

「勝手にしてろ」

 バルクは、別の方向に進んで行った。


 ユーティリアのパーティーのメンバーは骨の馬に乗った骨の騎士と戦っていた。しかし、3人しかいない。周りには残り3人の死体が無惨な姿で転がっている。

「おらっ !」

 大剣を持った男が骨の騎士に向かっていく。だが、その剣は軽々と骨の騎士の剣に弾かれる。次の瞬間、騎士の剣が易々と男の体を貫く。

 その隙を見計らって魔術師メイジの少女が詠唱を唱える。すると、少女の体は縦に真っ二つに引き裂かれる。後ろから体長2m程のミノタウロスが現れる。その手には血のついた巨大な斧を持っている。ミノタウロスは次にユーティリアに狙いを定める。

「い、いや。来ないで」

 ミノタウロスに言葉が通じるはずもなくどんどん距離が縮まる。手に持った斧を振り上げる。

 恐怖でユーティリアは目をつむる。ミノタウロスは斧を降り下ろす。

「(もう終わりだ)」

 ユーティリアは死を覚悟した。

起動軸モジューラー シールド

 降り下ろされた斧は幾何学模様が浮かび上がる半透明の謎の壁に止められた。



 ユーティリアはいつまで経っても痛みがこないので、恐る恐る目を開ける。そこには、いつも見ている後ろ姿があった。

「ソウタ !」

「ごめん、遅くなった」

 ソウタは、ミノタウロスに向け手をかざしている。どれだけミノタウロスが斧で謎の壁を攻撃してもひびすら入らない。

「ありがとう、助けてくれて」

 安心したのかユーティリアはもう泣きそうだ。

「もう少しすれば、俺のパーティーのメンバーが来るはずだから。ユーティリアは皆についてこの森を抜けるんだ」

「ソウタは……ソウタはどうするの !?」

「俺はここでこいつらの相手をしていくよ。大丈夫、必ずまた会えるから」

「少年 !」

 話しているうちにカレル達が追いついてきた。

「カレルさん、この子を頼みます」

「君は……いいのか ?」

 ソウタは軽く笑う。

「カレルさんも同じこと聞かないで下さいよ。誰かが足止めしないと全滅しますよ。だから、後のことは頼みます」

 ソウタは真剣な表情になる。

「わかった、死ぬんじゃないわよ」

「いや !ソウタ !」

 カレルはユーティリアを連れて森を引き返していった。

「じゃあ、やるか !」

 ミノタウロスからはとてつもない殺気を放たれている。

「さあ、ここからが俺のチートのお披露目だ」

 ソウタはシールドを解除し、ミノタウロスと骨の騎士とにらみあった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ