魔物討伐へ
早朝の誰もいない時間帯に宿の近くの公園でソウタは職業の能力を把握しようとしていた。
「起動軸 片手剣 !」
ソウタの手に片手剣が出現した。
「だいたいこんなもんかな」
ソウタはこの短時間で自分の能力についておおよその事を把握していた。
一、自分の頭の中で想像した物を創造することが出来る。
二、生物など命ある物を創造することは出来ない。
三、機械などを創造しても自分で操作しなければならない。
四、一度に創造出来る物の数には限りがある。
五、現実的な物、非現実的な物、問わず創造することが出来る。
六、自分で創造した物は、自在に消すことも出来る。
「しかし、便利な職業だな。これなら、基本何でも出来るんじゃないか。でも、このスキルポイントってやつはなんだ。もうMAXになってるけど、まあギルドに行ってイルに聞いてみるか」
片手剣を地面に突き刺し、ギルドに向かうことにした。突き刺した剣は光の粒子となって空気中に消えていった。
ギルドはなんだか忙しそうだった。当然、イルも書類の整理に慌てていた。
「イル、何かあったの ?」
「あ、ソウタさん。それが大変なんです !この町の近くに魔物の大群が出たんです。それで、今ギルドで緊急クエストを発注しました !ソウタさんも参加しますか ?」
「それじゃあ参加しようかな。それよりも、このスキルポイントってのはなんなのか教えてくれるか ?」
「それはですね、自分の職業で使えるスキルを増やすのに必要なものです。スキルポイントを沢山貯めて使うことでスキルを増やすことが出来るんです。スキルポイントは魔物を狩ることで増やせます」
「それがもうMAXになってるんだけど」
「え、そんなはずあるわけないですよ」
ソウタはカードをイルに見せた。イルは見落としがないかしっかりと確認する。
「ありえませんよ、こんなこと。でも、今はそれを気にしている場合ではありませんね。この書類にサインして下さい。そうすれば、クエストへの参加が許可されます」
言われた通り書類にサインする。
「では、健闘を祈っています。死なないで下さいね」
ソウタは参加する冒険者が集まっている所に行った。
冒険者が集まっている所には、ユーティリアの姿もあった。
「ユーティリア、君も参加するの ?」
「ええ、私もこの数日間で少しは成長したの。他のパーティーに入れてもらってクエストに出てたんです」
そういえば、ここ最近朝起きた時にはユーティリアはベッドを出てどこかへ行っていた。
そうしてユーティリアと話しているうちに一人の男が喋りだした。
「皆の者、聞いてくれ。私の名は、バルク・ケリッツ。これより、魔物討伐に行く。私は、このクエストの統率を任された。対象はこの町より南、カルディナの森にいる。出発は10分後だ。いいか、これは遊びではない。以上」
バルクの言葉でその場に緊張感に包まれた。ソウタとユーティリアも緊張がはしった。
やがて、10分がたちソウタ達はカルディナの森に向かった。