↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月亮の輝きを……【破鏡の世に……第二章】  作者: 刹那玻璃
進む道は楽なものではないと誰もが知っているのです。
PR
79/84

舜花のこと

 大家族で有名な糜家(びけ)に、一人の子供が新しく引き取られた。


 舜花(しゅんか)と呼ばれた子供は舌ったらずで、それに赤茶色の髪にクルミ色の瞳、そして痩せていた。

 いや、連れて帰ってくれた均(きん)や珊瑚(さんご)は、食べ物をちゃんと食べさせてくれたのに違いないが、それまでが悲惨な状況だったのに違いない。

 それに、愛妻の美梅(めいめい)から抱き取った子仲(しちゅう)の腕で、ウニウニと愚図る姿は昔の琉璃(りゅうり)にどことなく似ていた。

 いや、琉璃は別れてから、変わっていったはずだった。

 自分達といた頃は、表情は哀しげで絶望していた。

 舜花は人には驚いているが、子仲にしがみつき無意識に甘えることを知っている。

 琉璃への贖罪にもならないが、舜花を引き取り育てることで許されれば良いと思った。

 それに、


「おとーしゃん、おかーしゃん」


と恥ずかしそうに声をかけてくれる。

 それだけでも、愛おしいと思えた。

 用意していた部屋に連れていったが嫌がり、しがみつく。


「ひとり、やっ!」

「うーん。梅花(メイファ)は自分の部屋に行ったからね」

「じゃぁ、お父様とお母様のお部屋にいきましょうか?しばらく一緒にいましょうね?」

「う……あい!舜花はいゆのでしゅ」

「まぁ。舜花はお返事ができるのね。賢いわ」


 美梅に嬉しそうに頬を赤くする。


「おねえしゃまにおしょわりました。そえに、テンリャンおにいしゃんでしゅ」

「それは良かったね。天藍(てんらん)は優しかった?」

「あい‼」

「じゃぁ、着替えをして家族とお話をしようか?お父さんには、舜花のお兄さんお姉さんがいてね?そのお兄さんたちに子供がいるんだ。同年代かな?それに近所には、舜花と変わらない年の子がいるね。天藍の妹には滄珠(そうしゅ)がいる。それに、舜花より少し上かな?亮花(リィアンファ)は10歳だからね」

「んーと。舜花は……こんだけでしゅ」


 指を差し出す。


「8才かな?」

「んっと、ひとーちゅ、ふたーちゅ、みっちゅ……やっちゅでしゅ」

「数が数えられるのかい?すごいじゃないか!お父さんはビックリだよ」

「おねえしゃまにおしょわりました。練習したのでしゅ。あってましゅか?」

「当たっているよ。頑張って覚えたね……流石はお父さんとお母さんの娘だよ」


 自分達の部屋に案内すると、牀(しょう)に横にする。


「疲れただろう?少しお休みしなさい。傍にいるからね?」


 手を握ると、本当に嬉しそうに笑い、目を閉じた。

 カサカサの手を撫でて、


「手を、つるつるにしてあげないといけないね……」

「衣も沢山仕立てて、飾りも選ばないと……楽しみですわね」

「でも、厳しく言うと怯えてしまうから、優しく学ばせないといけないね」

「大丈夫ですわ。お利口な子ですもの」


美梅は髪を優しくほどく。

 質素な釵(かんざし)に気付き、


「あら、可愛いわね。誰かに戴いたのかしら?こちらにおいておきましょう」


と置いたのだった。


 しばらくして目を覚ました舜花は、手を握り、自分を見てくれている優しい眼差しに、


「お、おとうしゃん。おはようごじゃいましゅ。ここにいてくれたのでしゅか?」

「約束しただろう?あぁ、お母さんは舜花に似合う衣を探しにいっているからね。もうすぐ戻ってくるよ?今日は、均(きん)殿や珊瑚(さんご)さまと、皆で食事をするからね。天藍も梅花(メイファ)もいるから、楽しみだね」

「一杯、でしゅか?」

「う~ん。お父さん達はお仕事仲間の家族と、良くお食事会していてね?均殿に久しぶりに会えるからと喜んでいるんだよ。それに、珊瑚さまは金剛(ダイヤモンド)のお祖母様で、ご挨拶をしたいからね。お会いしたくないかな?」

「い、いい子にしましゅ」


 少し怯えている娘の頭をなで、


「大丈夫大丈夫。お父さん達がいるからね?」

「あい」


扉が開き、入ってくるのは美梅と梅花親子である。


「あら、舜花。目が覚めたのね?丁度良かったわ。衣を選んできたのよ?どうかしら?」

「私は可愛い色にって思ったのだけど、お母様が舜花は元々が可愛いから、今日は清楚な色にしましょうですって」

「梅花の可愛い色は色がきつすぎるわ。淡い色がいいのよ」

「じゃぁ、お父さんは出ているから舜花。着替えておくんだよ?」


 子仲は席をはずす。

 衣を脱いだ舜花に、手早く子供用の衣を着せる。

 そして髪を結い上げ、置いていた釵を飾る。


「まぁ、可愛いわ。舜花」

「お母様、この釵を考えていたのね?似合っているわ。素敵」

「あ、あいがとうごじゃいましゅ。おかあしゃん。おねえしゃま」


 二人に手を取られ出ていくと、子仲が目を細め、


「良く似合うよ?じゃぁ、行こうか」


と進んでいったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。