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月亮の輝きを……【破鏡の世に……第二章】  作者: 刹那玻璃
刹那の刹那による刹那のための趣味の章
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閑話休題:必死で演奏をする公祐さん

「では」


 孔明(こうめい)は、目の前に置かれている楽器……瑟(しつ)の弦を弾いた。


 ビィーン……


伸びがあり、周囲に広がる響きに、


 ビョヨーン……


と不協和音が……。

 構わず、孔明は一音一音丁寧に短い曲を引いて見せるが、その美しい奏をぶち壊すかのように、


 ヘニョヘニョーン、ベローン……


に堪えきれず、憲和(けんわ)が大爆笑。

 その横の子仲(しちゅう)も後ろを向き肩を震わせている。

 その様子に、演奏者である公祐(こうゆう)は、


「すみませんねぇ‼これでも必死に練習しているんです。邪魔するなら帰って下さい‼」


いつも温厚そうな仮面を破り、鬼の形相で睨み付ける。


「あの……公祐どの」


 孔明はおずおずと問いかける。


「その、まず全身に意味なく入れている力を取って下さい。必要なのは背筋を伸ばすことと、指先の弾く力です。均等に力を込める……ぽんぽんぽんと手を叩く間に楽譜を見て下さい。音を入れる数はこれだけです。それに一つ手を叩く間に一音か二音と言う具合に、速度も違っています。公祐どのは体の動きに優れているのですから、想像して下さい。敵や相対者に向き合う時には足を踏み出し、拳を出す間にもう片方の足で相手を蹴る。この順番を当てはめてみると、こんな感じです」


 孔明は弦を幾つか弾いた。


 ポロンポロポロぼろん……。


「これを応用してみると……ここの部分は……」

「……えっと、こうですか?」


 ビヨーン……


「いえ、ここは切れがあるように音を押さえるので、左手で弦を押さえるんです。こうやって」


 ビィーン……‼


「おぉ‼」


 真似てみると同じ音が出る。


「これは凄い音だ、美しい‼」

「で、これはこう言う順序で弾いていくと良いんですよ」

「えっと、こうですか?」

「そうです、そうです」


 孔明に誉められ、照れる。


「頑張って一曲。木蘭(もくらん)に聞かせてあげたいんです。下手ですがそれでも……」

「喜びますよきっと」




 後日、自宅でぎこちないながらも必死に贈った曲に、木蘭は喜び、


「旦那様‼これはもしかして私の為に?」

「木蘭のように上手には無理ですが……出来れば、一緒に演奏できればと思ったのです……これではまだまだですねぇ……」


苦笑する夫に、木蘭は、


「嬉しいですわ‼旦那様……本当に心のこもった、素晴らしい曲ですわ……こんなに素敵な曲を贈って下さるなんて、幸せですわ‼」

「大袈裟ですよ。もっと上手くなりたいですね。貴方と『琴瑟相和(しつきんあいわす)』……音を奏でたいものです」

「一緒に演奏しましょうね」




公祐は、妻の為に頑張って練習するのだった。

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