閑話休題:うにゃうにゃおしゃべりをする赤ん坊とじい様
「うにゃうにゃ……」
コロンコロン転がっては、何かを言い始めた竜姫に、
「姫よ……何か楽しいことがあるのかの?」
「ウキャァァ‼」
嬉しそうに手を伸ばす赤ん坊を抱き上げる。
生まれて大体三月の時に母を失った赤ん坊は、最近寝返りが出来るようになった。
その上、今のように何かを喋ることも……。
ふわふわの金色の髪と青い瞳……そして、顔立ちは次第に亡くなった母の麗月に似てきた。
「子龍将軍‼」
大きな瞳はキラキラと、愛らしい少女だった。
好奇心が旺盛で、妹が連れ去られ売られてしまい、得意な歌と踊りで取り戻す為に、西の方から家族の反対を押しきってやって来たのだと言う。
「本名の一つはルーナと言うんですよ。もう一つは明珠。将軍にだけ教えますね。内緒です。本当の姓は閻。お姉さまは、閻珊瑚と言うのです」
「閻珊瑚どのか……‼」
閻珊瑚とは、西域の戦の女神とも呼ばれている、年若い女性部将。
珊瑚は、西域の向こうから運ばれる深紅の宝玉。
その名前を持ったのだからかなりの美貌に、強さも持つに違いないと、記憶していたのだ。
長年旅暮らし、情報は幾つも……主の劉備よりも得る方法は知っている。
年の功であり、その点が劉備の甘さである。
愛情と戦いを天秤にかける……甘ったれるなと嗤ったものである。
しかし、もう遠い昔となっている甘ったるい情愛の結末を見届けたいと思っていたが、劉備の甘さが麗月の命を奪い、自分の子供であるこの姫を棄てた。
「……主とは思っておらん。あの者の最後を見届けてやろうと思うとるだけじゃ……」
呟く。
不味かったのは、劉備の傍に二人の小わっぱがいた事。
いや、片方は野生児だが正しいことをする……鼻が利くと言うか、悪巧みは出来ない上に嘘も下手である。
その不器用さと粗っぽさ、粗野ではあるが無邪気で悪気がない所が気に入っている。
彼の素直さに耳を傾けていれば良かっただろうに、劉備が聞いたのは、もう一人の高慢ちきな、自意識過剰さのみが際立つ男である。
「兄者‼」
と何かと言うと、義兄弟の契りを結んだとは言えそう主を呼び、主を差し置いて一歩前に出ては、あれこれと命令を下す。
しかも、馬鹿か阿呆か、学問を学んだからと、
「孫子では……」
と口にする。
ある時に、余りにも目に余った為に子龍は吼えた。
「馬鹿者が‼口だけで戦をほざくな‼それでも、貴様は戦場で戦う者か‼戦いは動く‼そんな書簡如き読めた所で、戦の一瞬を見切れんわ‼参謀でもあるまいし、語るな‼餓鬼が‼」
「な、趙……」
「関羽よ……目上の人間を呼び捨てにするとは、それ相応の報いを覚悟せい‼それと、わしは貴様如きに頭を下げた訳ではないわ‼それ以上に主の前に立つなど、貴様は主を何だと思っておるのだ‼」
怒鳴り付けた。
「義兄弟の契りよりも、ここでは主と部下‼頭を垂れよ‼不忠者が‼」
その大音声に関羽は硬直し、周囲は最近の不満だった事を子龍が言ってくれたことで、内心拍手喝采である。
「まぁ……子龍老師。雲長も悪気はないのです。私を助けてくれて……」
「殿‼」
宥めようとする劉備に、益徳が一歩前に出て、
「兄貴……じゃねぇや、殿‼子龍将軍の言われていることも本当だと思うんだが?」
「益徳‼」
「雲長兄貴‼図々しくないか?子龍将軍の方が戦場での戦いの経験は長く、その上判断も優れている。それなのに、年も若い雲長兄貴がそうやって殿の前に立って見ろ‼回りは殿を見るんじゃない、兄貴を見るしかない‼俺たちは兄貴に頭を下げるのかよ⁉俺は義兄弟だが、兄貴を主にと思ってねぇぞ‼兄貴に頭下げる位なら、俺は帰る‼」
益徳は、後ろを向く。
「俺は、兄貴よりも子龍将軍に頭を下げる‼殿。そんじゃ。帰るわ。子龍将軍。手合わせをよろしく頼むぜ‼」
「頼みますじゃ‼この若造が‼」
ポカッと頭を叩き、去っていった。
そう言うことが数回繰り返され、その上……。
虚しい思いで、ため息をついた。
すると、
「う……う、い、じ、じーい‼」
腕の中で、髭を引っ張るようになった……これはとてつもなく痛いのだが……赤ん坊が喋った。
「じーい‼じーい‼じー‼」
「おぉ、姫よ。じいを呼んでくれたか。それよりも、ひ、髭が抜ける‼引っ張らんでくれぬか?」
「じーい‼」
「嬉しいが、ひ、髭が……」
痛みにこらえつつ、自分を呼んで貰ったことを喜んだのだった。
じい様ラブ~(ノ´∀`*)
すみません。
じい様大好きなんです。
ちなみに関羽さんの別名の美髯公の髯は髭ではなく、耳の前の部分に生える毛の事です。
モミアゲと言うのでしょうか?
男性ならご存じだと思います。
良く三国志や歴史書に描かれていると思いますが、日本では関羽さんは、髭のおっちゃんと思われていますが、関羽さんの美しいのは髯です。
昔のファッションで髭や髯が長くて手入れが行き届いていると素晴らしいと言われて、美しかったらしいです。
で、曹操殿下は、髭が薄かったそうでものすごくコンプレックスだったとか……。
で、荀彧さんの趣味は、冠と言うか、被り物が大好きで、幾つも作って楽しんでいたとか。
それにお香が好きで、考え事をする度にお香を焚くので香りで荀彧さんが分かったとかo(^o^)o
周瑜さんは、考え事をしていても、音楽を聞き分ける才能に長けていて、合奏を聞いていても一つの音が間違っていても、振り返ると言われていたそうです。
で、レッドクリフで周瑜さんと孔明さんが合わせた楽器は、琴瑟の瑟だったと思います。
最近の琴は、弦の数がいくつか忘れたのですが、瑟は確か18弦だったと思います。
かなり演奏が難しいので、あの演奏のシーンは凄まじく、感動したのを覚えています。
『琴瑟相和』と言うと夫婦の仲むつまじい様と言います。
なので小喬さんとと言う感じでしたが、私の三国志では、こうなりましたが、公祐さんは余り楽器は上手くないですと言う設定です。
ではでは。




