↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月亮の輝きを……【破鏡の世に……第二章】  作者: 刹那玻璃
季常さんが机上空論から実践に飛び出しました。
PR
50/84

梅花(メイファ)ちゃんは決闘する気満々です。

 梅花(メイファ)は、長旅が終わり馬車を降りると、お嬢様らしからぬ全身をほぐし始める。


「こらこら、一応婚約の挨拶に来たのに、花嫁が何をしてるんだ?」


 球琳(きゅうりん)が子供たちが降りるのを手助けしつつ、声をかける。


「いえ~。あの筋肉叔父さん……強そうだなぁってワクワクしてるんです‼」

「いや、あの方が馬孟起(ばもうき)将軍。金剛(ダイヤモンド)の父だから……」

「楽しみです~‼ばっきばき?」

「……頑張りなさい……」


 自分も女として大丈夫か?の育ちだが、この少女はその上を軽く越えて、変人の域である。

 口を挟まないようにする。


「最近、体がなまってきている気がするんですよね……運動不足でしょうか?」


 じっと手を見る少女は、武将ではなくご令嬢である。

 それなのに、手のまめを見ている。


「それに、何か胸の方が太った⁉困るわ筋肉体操を‼」


 梅花は、ちなみに成長期の令嬢である。

 体全体が、女性的になってきている証拠であるのだが、賢い少女も自分が女性的になっていることが解っていない。


「困りました。筋肉をつける運動を倍にしないと……」

「それだけはやめてくれ……もう、ほんっとに‼」


 士元(しげん)は目を布で覆い、子供たちと妻に支えられながら降りてくる。


「それ以上鍛えたら、部将並だ‼自分のみを守る程度にした方がいい。自分の分を越えて動いてみろ……俺みたいになるぞ?」

「でも、守りたいんです‼」


 梅花の声に、


「戦いってもんが、どれだけ辛いのか……知りもしないで言うんじゃない‼」


いつもはのらりくらりとかわす士元が、厳しい声で告げる。


「琉璃(りゅうり)が……どれだけ苦労して、今の生活を手にいれたと思っている‼飢えと戦場、怪我……逃げ回り、ようやく得た幸せを奪われた‼再び戦場に投げ込まれた琉璃に言えるのか?」

「士元……」

「球琳、お前も分かっているだろう?戦いの虚しさ、苦しみ、哀しみを……それを、安易に口にするな‼」

「ですが‼私は、決めたんです‼」


 梅花は言い返す。


「遊びではありません‼真剣なんです‼本当は怖いんです‼でも……」

「解ってるなら止めろ‼」

「なら、嫁ごうと思いません‼他の兄弟は皆、文官になり、姉妹はその妻として嫁いでいます。でも、私はそれが両親の優しさであっても……戦いを見せたくないと言うことであっても、現実に琉璃さまは戦い、孔明(こうめい)様や士元様は戦略を考えつつ、采配を振るう為に戦場に‼子龍(しりゅう)将軍や令明(れいめい)将軍も‼それに、金剛様だって‼生きていく為に、虚しくても……一人の命を救う為に‼」


 梅花は涙を流す。


「孔明様のあの姿にどれだけ傷つき、苦しみ、嘆き……自分の力のなさを嘆いてこられたのか……自分の弱さと愚かさに涙しました。甘さにも……それに、自分が本当に親に大事にされ、自分がどんな所で生きて、現実を見ないようにしていたのか、顔を背けて来たのかを身をもって知ったんです‼だから、尚更、自分は武家の人間に嫁ぐ、それを考えたんです‼」

「……馬鹿だな」

「馬鹿で良いんです‼」

「そんなんじゃない。誰もが逃げたい……そう願うのに、あえて立ち向かう。そんな強さを持った娘に現実を伝えようとしない子仲(しちゅう)どのだ」

「父は、馬鹿ではありません‼」


 キッと睨む。


「私は、父と母の娘で良かったと思っています‼それが自慢です‼例え、兄弟に比べてとろ臭くて、筋肉馬鹿で単純でも、両親は私を大切に育ててくれました。五体満足‼体力だけですが、それが私です‼だから、ちゃんと自分は選んだんです‼その決意もあって、ここまで来たんです‼金剛さまの両親に挨拶をするためです‼……あ、ついでに、孟起将軍と筋肉対決‼」

「ついでかよ……あははは‼馬孟起は頭は今一つだが、名将だぞ?それがついで‼」


 大爆笑する士元。

と周囲の笑い声の間に、


「これが、嫁……微妙……」

「金剛さまの嫁ですが、何か?」


振り返ると、ブラーンっと下の息子を首にぶら下げた男。

 孔明程長身ではないが、子龍、令明に負けない巨漢である。


「あー、一応、金剛の父親なんだが……」

「似てなくて良かったです‼金剛さま美男子‼……父親?」


 首を傾げ、その横にいる金剛を見る。


「父親?これ、これ?えぇぇぇ?」

「そう。一応実の父、だったり……アハハ」

「似てない‼オジサン‼オジサンです‼どうしましょう‼益徳(えきとく)叔父上の方が、筋肉にときめくのです‼」

「いや、筋肉は良いから……」

「じゃぁ、子龍将軍や令明将軍位、威厳があったら良かったのに~‼」


 少女の一言一言に撃沈する孟起。

 金剛は、慌てて、


「この人が私の母。雲母(きらら)。弟の承(しょう)は孔雀(くじゃく)って言うんだって」

「きゃぁぁ‼琉璃さまに負けない美女‼それに、可愛い~‼……あ、忘れてました‼」


はっと我に返った梅花は、丁寧に頭を下げる。


「申し訳ございません。私は姓は糜(び)、名は梅花。父は子仲と申します。よろしくお願い申し上げます」




 金剛の家族と、新しい家族との出会いであった。

孔雀は孔雀石からとりました。

マラカイトと言うと分かりやすいと思います。

グリーンの縞模様が美しく、綺麗な石です。

昔は青丹(あおに)と呼ばれて、顔料や絵具に利用されていました。

銅を含んでいて、石言葉は危険な愛情だそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。