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月亮の輝きを……【破鏡の世に……第二章】  作者: 刹那玻璃
成長した子供達のそれぞれの日々(*´-`)
22/84

大熊猫(ターシェンマオ)と広と、美梅(メイメイ)さんの一日一善!Σ( ̄□ ̄;)

 父と長兄を追い、ほう令明れいめいと共に飛び出していったこうが、帰ってきた。


「たっだいまー‼母さん‼じゅんにい、きょう兄ちゃん‼兄ちゃん‼」

「広ちゃん‼おかえりなさい‼」


 落ち着かなかったのか焦っていたのか珍しく髪が乱れている母に、綺麗な手拭いで手を拭いてからそっと髪をすく。


「母さん。大丈夫だよ?これで綺麗な、いつもの美人の母さんになった‼」


 えへっ。


と笑う広は、兄のとう程の美貌ではないが、中々端正な少年である。


「ま、まぁ‼広ちゃん?真剣なお母さんをからかわないで頂戴‼」

「えぇ?俺、嘘つかないよ‼母さんは三国一の美貌の持ち主だもん‼俺の自慢‼」


 義理とはいえ、母親の琉璃りゅうりをたらす広に遠い目になる令明。


「令明‼」


 後ろから現れたのは令明の妻、馬瑪瑙ばめのう

 おてんばは過ぎるが、本当は優しく愛おしい存在。




 孔明に昔言われ、戦場に立つかを考えた瑪瑙は、自分の実力に戦場に立つことを諦めた。

 その代わり、同性で同姓の馬叔常ばしゅくじょうと出会い話をし、決めたことがあると令明に相談に来た。


「どうしたんだ?瑪瑙」

「ねえ?令明。私が傍にいなかったら、安心?」

「する訳がない‼逆に心配だ‼」


 正直に告げる。

 あの兄にしてこの妹……いや、あの兄よりもましではあるが、それでも……。

 その顔を見上げた瑪瑙は、


「あのね?私、球琳きゅうりんと一緒に、国を見て回りたいの」

「球琳どのと言うのは……」

「馬叔常どのと名乗られてる姉さんよ。ほう士元しげん様の奥方なんですって」

「はぁ‼あの参謀の奥方?……似合わん……」


呟く。

 いや、士元は参謀としては最高の才能の持ち主。

 しかし、毒舌家で同じ毒舌の簡憲和かんけんわと良く毒舌合戦をしていて、孔明こうめいに叩きのめされる。

 だがその横で、にっこり笑う孫公祐そんこうゆうの方が恐ろしく、孔明が叩きのめす間に、瞬時に手刀で首をトンと打ち、憲和を気絶させている。


「本当にすみませんねぇ……令明どの。これはいつものことですので、うるさければ、このようにして下さい」

「それか、投げ飛ばして下さっても構わない。あ、奥方の前では大人しいので、何なら、家に引きずって行ってくれまいか?よろしくお願いする」


 糜子仲びしちゅうはピシッと頭を下げるが、彼もまた姿勢が良く、細身の為分かりにくいが筋肉が付いた体をしていた。


 後で孔明に聞くと、


「子仲どのは強弓の名手です。憲和どのも弓を扱いますが、連弩れんどを気に入っていますよ。公祐どのはあれでいて拳術の猛者です」

「はぁ⁉救援や、交渉を中心に行う方々だと……」

「危険ですからね。それに子仲どのは集中力が増す、姿勢が良くなり心も落ち着くと言ってましたよ」

「そ、そんなものなのか……」


と言う会話をしたばかりである。


「あのね?令明。球琳は、あの季常きじょうどの、幼常ようじょうどのの姉なの。戦場も、周囲のことも知らず弁舌ばかり長けている弟を何度もたしなめて、実家のことを考えろ、領民を守ることを考えろと何度も言ったのに、聞かないのですって。それに、お兄さんたちがいらっしゃるのだけれど、体が余りお丈夫ではなくて……それで、領地を回っているのですって。手伝いたいの」

「だが……」

「子供さんが3人いるのよ。士元どのも忙しいし、置いていく訳にもいかないって……お願い‼本当は琉璃を助けたいけど、私の実力では追い付けないわ……だからって、何もできない訳じゃないもの‼」


 言っても聞きそうにない妻に、しかし離れるのもと、士元に相談に行くと、


「……令明どの。申し訳ないが頼みがある。俺の嫁の護衛として行ってやってくれ。一応、馬家の土地とはいえ、この荊州の地。見て回り、別の地域から来られた貴方にとって目新しいもの、逆に劣っているもの様々見えると思う。それを教えて欲しい。俺は……ここを離れられない……悔しいが、鳳凰の、鳳は雛のまま。愚痴っているしかねぇんだ……」


小声で呟いた最後の一言に、目を見開き、


「向こうでは、鳳雛は有名で堂々と戦略を勧めると……」

「そりゃぁそうありたいが……あぁ、令明どのそちらにかけてくれ。命令と言うよりも頼みなんだ……全くあいつは……」


 ブチブチ愚痴る。


「あいつは本気で俺には勿体無い女だ。本当に心優しく情が深く、その上賢く、俺よりも強い……勝てねえ……。でもどうしても、離れたくねぇんだ……だが情報が欲しい。その事をあいつは知っていて、実家の仕事だと口実をつけて……な。本当に情けねぇ‼でも、これからを知るには情報が必要だ。がむしゃらに突進しても意味はねぇ‼その為に必死に……」


 くせ毛の髪をワシャワシャとかきむしる。


「本当に球琳は悪くない‼だが、愚弟どものことで、心を痛めて必死に……止めた所であいつは動く。だから……お願いだ。あんたに頼みたい‼奥方も行くのだろう?お願いする‼」


 毒舌男は……実際は言葉が足りない夫だったのか?

 改めて鳳雛を見て答える。


「解った。士元どの。貴方の心遣い感謝する。妻も……球琳どののことを姉のように慕い、着いていきたいのだと聞かなかった。口実を作ってくれて感謝する」

「……あんたのその誠実さ、時々恨めしい。俺ももっと……」

「貴方は貴方らしくあればいい。奥方も解っているだろう」




 それからは、年は余り変わらないが士元は、令明を、


「兄さん、兄さん」


と呼ぶようになった。


「俺のことは士元と呼んでくれ。同姓、遠縁のいとこなんだ。よろしく頼むよ」


 にっと笑った士元は死の縁には立っていないが、片目を失った……。

 そして……、




「わぁぁ‼何?この子達」


 目を擦りながら出てきた喬が驚くのは、獣の親子。


「あ、喬兄ちゃん‼益州でも滅多に出会えない珍しい獣で『大熊猫ターシェンマオ』って言うんだって。お母ちゃんの『白熊パイシェン』と子供の『紅熊ホンシェン』。白熊が怪我をおってるんだ」

「えっ?そうなの?じゃぁ、手当て……わぁぁ‼」


 奥に入ろうとしてつんのめった兄を、統が器用に受けとめ、


「お兄ちゃん?落ち着いて大丈夫だよ。広?手当てして帰ったんだよね?」

「うん‼だから、お腹すいてるみたいでさぁ、タケノコだけじゃもの足りなさそうで、何か食べさせてあげても大丈夫かなぁ?」


 広の問いかけに喬が、


「あっちの辺りの畑のは、もう種もあるし、欲しい人にって言ってたよ、お父さんが」

「あ、それに……ちょっと待って」


 奥に入っていき、何かを入れた袋を抱えた統と現れたのは循。


「わぁぁ‼で、デカイ‼」

「循兄さん。情報収集で貰ったって言う、このお菓子‼捨てようとしたでしょ?」


 示す。

 すると、甘い干した果実の匂いに鼻をひくひく動かす白熊。


「あ、白熊さんが匂い嗅いでる。食べれるかな?統。広、あげてみていい?」


 袋から干した果実を取り出した喬は、そっと差し出す。

 クンクン鼻で匂った白熊は手に取り、モグモグと口にした。


「わぁぁ‼食べた‼じゃぁ、この紅熊はどうかな?」

「私があげたいです‼」


 統はそっと差し出すと、手で取り食べ始める。


「わぁぁ‼可愛いね‼」


 喜ぶ喬と統に、循の耳を引っ張りお説教をしようとした令明は、


「喬と統。余り沢山は与えないようにしなさい。この獣は元々竹を食べる種族。竹が栄養があるものとは思えないし、一気に食べさせると体に悪い可能性もある」

「はい、おじさん」

「それに、ご褒美としてあげるようにしますね。でも、お母さん。白熊がもう一つ欲しいって、あげてみる?」

「えっ?大丈夫かしら?」


言いながらもワクワクと近づいた琉璃は、そっと差し出す。

 手に取ると美味しそうに食べて、そして満足そうにけぷっと息を出した。


「お腹が空いていたのね。じゃぁ、竹林はあちらにあるし、家で飼いましょうか?あ、竹林は子仲叔父様のお屋敷に繋がっているから、ご挨拶に行った方がいいわね」


と琉璃は告げた。




 翌日、2頭を連れご挨拶に伺い、子仲は娘がいっていた獣に驚きつつも、


美梅メイメイが喜ぶね。でも、生き物だからそっとしておいてあげよう」


と告げたのだった。

一応、ジャイアントパンダはウィキ等を参照にしております。


大熊猫と書くのは、中華人民共和国で、大猫熊と書くのは中華民国です。

そして、絶滅危惧種であり、成都にジャイアントパンダ研究センターがありますが、ジャイアントパンダは現在臥竜動物保護区にいるのと、別の地域にいる亜種があり、全部で2000頭いるかいないか。

ご存じの通り、和歌山の動物園では出産の成功率が高く、しかし、生来ジャイアントパンダは生態や出産の期間等不明な点が多く、一応熊の亜種ではあるのですが分類も難しいそうです。


白熊と言うのは、本当に近代になるまでほとんどジャイアントパンダは山の奥深くにおり、現地の人々も偶然見かけて体の白さで白熊と呼ばれていたそうです。


日本ではジャイアントパンダが定着するまでは白黒熊、黒白熊と呼ばれていたそうです。


よろしくお願いします。

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