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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第四章 指名調査依頼「竜の棲む火山島」編
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第81ページ エピローグ

「それじゃあ、俺は帰るな」

『うむ、世話になった友よ』


エリュトロスとの契約も終わり、報酬も貰った。

報酬はなんと樽3つ分の火酒だった。

火竜が作った火酒とはな。


前の世界では真面目にも酒を飲んだことはなかった。

この世界は飲酒が16からいいということなので、何度か飲んだことがある。

それ程好きというわけでもないが、何故かまったく酔わないので美味しい酒を見つけたいと思っている。

この酒はどうだろうか?


ドワーフは酒好きという話も聞くし、親父さんに持っていったら喜ぶだろうか?

そろそろガイアに帰る時期かもな。


そこまで考えて、自分がガイアを帰る場所としていることに驚いた。

アキホに来て、こちらにも友人知人はできた。

それなのに、俺にとっての帰る場所はやはりガイアなのだ。


滞在してる長さも同じくらいであるのに何故だろうね?

温泉の魅力よりもいいものがあっただろうか?


「キュキュウ!!」


火竜たちに見送られながら船に乗ろうとする俺に、あの仔竜がまた突っ込んできた。

今度は、「身体強化」を発動してしっかり受け止めてやる。


「キュウキュウゥ!!」


心なしか少しばかり潤んだ瞳で、嫌だ嫌だというように首を振っている。

そんな上目遣いで見られても困るのだが…


俺は苦笑して、またなと頭をポンとしてやる。

俺がどうしても帰ってしまうことがわかったのか、寂しそうに、だが素直に離れてくれた。


『いつでも来るがよい』

『我らはお主を歓迎しよう』


島中の火竜が来ているのではないか、という火竜たちに見送られ、俺は今度こそ船に乗り込む。


少し離れた所で、船ごと転移。

転移先は、見張り小屋の岬だ。


---


「ご無事で何よりです」

「ああ、まぁな」


岬に突然船が戻ったことに気づいたのか、俺が船をくくりつけていると、クイナが現れた。

今日はここで一泊して、明日アキホへ戻るとしよう。


空間魔法で帰るか、アステールに乗って帰るか考えものだが、温度を気にしなくてよくなったし飛んで帰るかな。


そう告げると、クイナは快く了承してくれた。

今日の晩御飯はイザークが山で獲ってきた猪鍋だそうだ。

こちらの世界の味付けというのも実に楽しみだな。


---


意外とスッキリとした味付けの猪鍋を満喫した俺は、早々に眠りについた。

まだ体調が全快でなかったのか、朝までぐっすりだった。


一夜明けて、アステールに乗って帰ることにした俺は、クイナと見張りをしていたイザークに礼を言って、見張り小屋を退去した。

シリカは睡眠中だった。


アステールとの2人旅は何事もなく進み、道中見つけた猪や魔物を狩り食糧を確保しながらのんびりとアキホへ戻った。


アキホへ戻った俺はギルドへ直行。

顔馴染みの受付嬢に依頼完了を報告すると、アキホ支部長であるという初老の男性が現れた。


シフラと名乗ったその男性と、今度はそのままアタミ伯爵邸へと移動。

ことの次第を報告して、大いに驚かれ、八咫鏡を出して更に驚かれ、魔神の欠片を斬った話で呆れられ、火竜と契約した話で疲れられた。


そんなこんなで俺の初めての指名依頼は恙無く終了。

いきなりランクをAに上げると言われ、それとは別に報酬としてまた魔道具を貰えるというので、ありがたくいただいた。


更に何故か八咫鏡も俺が持っていくように言われ、こちらは渋々持っておくことにする。


---


「さて、私が思っていた以上の成果を上げてくれてもうお腹いっぱいだというのが正直な所なのだけれど、君に新しく指名依頼が入っている(・・・・・)

入っている(・・・・・)?誰からの依頼ですか?」

「ラッセン辺境伯じゃ。依頼内容は今度王都で開かれる会議に辺境伯が赴く際の護衛依頼となっておるの。表向きは、じゃが」

「表向き?」

「その会議に出席することが依頼じゃ」

「お断りしても?」

「ダメだよ。君は今回の主賓と言ってもいいのだから。辺境伯領で起きた魔物の襲来。深淵の森での魔族暗躍。アキホでの邪教徒騒乱。そして今回の魔神の欠片。全て君は当事者だ。本来一冒険者が出席するような会議ではないが、呼ぶようにという前王陛下のお達しだよ」


あの爺ぃぃぃ!!

なんで俺がそんなめんどくさそうなものに出なきゃいかんのだ!!


「強制依頼じゃから、よろしくな」


くっ逃げ道は残されていないというのか…


仕方ない。

とりあえず一度ガイアに帰るかな。

いいタイミングでもある。


王都にも行ってみたくはあるし、話はそれからだな。

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