閑話 湯治場の守護者
悩んだのですが、昨日投稿したものをエピローグとさせていただきました。
閑話となります。
夜。
町に浮かぶ明かりの一つ、とある一室に複数の男女が膝を突き合わせていた。
「聞いたかあの話!」
「ああ聞いたぜ!またやってくれたんだってな!」
「そうさ!あの人は私らにとってもう英雄さ!」
「そうだな!温泉の守り神だ!」
「でも、もうすぐどっかいっちまうらしいぜ?」
「なんだと!?」
「そりゃ一大事さね!」
「こうしちゃおけねぇ」
「おうよ!おめぇら!アキホの本気見せてやろうぜぇ!!」
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「…いったい何だ?」
「クル?」
朝、目覚めてみると宿の主人からこちらに来るようにと言われ、案内されたのは「天上の湯」だった。
何も言われず、とりあえずと温泉に通される。
「アステールも一緒なんだがいいのか?」
「クル」
なぜか今日はアステール共々案内され、「どうぞご入浴ください」と言われた。
ここは従魔と一緒に入っていい温泉ではなかったと思うのだが…いいのか?
まぁ番頭が言うのだからいいのだと思うが。
湯着を着て、湯で体を流してからアステールと温泉に入る
しっかりと肩まで浸かり、息をつく。
「ふぅ。温泉も入れなくなるなアステール」
「クルゥ…」
「また来ような」
「クル!」
幸いなことに空間魔法がある。
アキホにマーキングをしておけば、簡単に跳んでこれるだろう。
時間があるときは、温泉に入ってゆっくりすることにしよう。
ガイアに帰っても風呂付の宿を探してみるか?
だが「牡牛の角亭」にも愛着はあるしな。
いっそのこと家でも買うべきだろうか?
金はあるが…
旅をするならいらないかなという気もするし、悩みどころだ。
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2時間浸かって満足した俺たちは、温泉から上がる。
と、今度は奥へと連れて行かれ、宴会場みたいな大部屋に通される。
そこには豪勢な懐石料理が用意されていた。
「…なんだこれは?新手の押し売りか何かか?」
「クルゥゥ!!」
「あ、待て、アステール!食べるな!」
静止の声は、少し間に合わなかった。
アステールの嘴が、薄く切られた肉を捕えている。
「クロバ様、どうぞご遠慮なくお食べください」
俺がこめかみを押さえて困っていると、後ろから一度だけ挨拶をした「天上の湯」の大旦那が現れた。
後ろには、若旦那や番頭頭も控えている。
「これは一体どういうことなんだ?金払わんぞ?」
「いえいえ、こちらはアキホの町を邪教徒から救い、更に湯質問題も解決してくれたお礼にと、アキホの温泉店すべてが力を合わせた結果にございます。これより先、クロバ様の入浴料は伯爵からも戴きません。更に、こちらをどうぞ」
大旦那が取り出したのは、水筒のようなもの。
「これは?」
「魔道具職人が作ったものです。アキホの温泉よりも質は若干落ちますが、湯が出続ける魔道具です」
なんとまぁ。
そんな物をくれるというのか。
「いいのか?」
「もちろんでございます」
「クロバ様はアキホの英雄ですので!」
「守り神様でさぁ!」
大旦那との話に割って入ってきたのは、見たことのある旅館や温泉宿、温泉の店主や女将たち。
かなりの人数が来ているようだ。
「それでは、クロバ様。着席を。宴会でございます!!」
「は?」
一気にテンションが上がった大旦那が手を振り上げると、楽士や、踊り子などが部屋へと入ってきて、備え付けられた舞台に上がっていく。
女将たちも、それぞれが席に着き、俺も上座に座らされた。
酒を注がれ、「乾杯!!」という大合唱ののちに、周りが騒ぎ始める。
わけもわからないうちに、宴会が始まっていた。
苦笑しながらも、こういう雰囲気は嫌いでないと感じている自分に驚く。
せっかくの好意というのだ。
思いっきり楽しむとしよう。
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昼から夜にかけて延々と騒いでいた俺たちは、夜になり来たアタミ伯爵やシフラギルド長を交えて大いに盛り上がった。
そして翌日。
酒につぶれて仕事ができない状態の店主たちが、宴会に参加しなかった店の従業員たちにこっぴどく怒られるという悲惨な結果となった宴会は終了した。
さて、四章いかがだったでしょうか?
火竜たちとガチバトルする展開や、魔神大暴れや、魔族が現れたり、仔竜が従魔になったり色々考えていたのですが、こうなりました。
この後、閑話を二つ挟んで5章となります。
5章も短めで、王都までの道中のお話になります。
また、もうすぐ総部分が100となります。
記念SSでも書こうかなと思うのですが、何かリクエストがあればお聞かせください。
それでは。




