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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第三章 休暇中の大騒動「燃ゆる温泉街」編
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第57ページ 夕方

「ところで魔神とは?」


装備品を取りに行った二人が戻ってくるまでに、俺は気になっていることを聞くことにした。

何故知らないのか、という視線を向けられたが知らないものは知らない。

俺が知っているのは、クロのことくらいだ。


「この世界に魔神と呼ばれている者は何柱かおる。最も有名、というか神話に出てくるのは破壊神ルベルベンじゃな。創造神カイデルベルン様と対になっておる神で、遥か昔、この世全てを破壊しようとしたそうじゃ。それを、神々と初代勇者が食い止め、現在は封印されておるはずじゃ。魔族が崇めておる故、魔族の神、魔神と呼ばれておる」

「今回盗まれた品はルベルベン縁の者で、初代勇者と共に魔神に挑んだ初代アタミ男爵が残した、魔神復活の鍵となる物です」


さっき中身は教えられないと言われた気がするのだが…?

爺さんが話しているからいいと思ったのだろうか?

というかアタミ伯爵そんなことまでしてたのか。

爵位はそれもあってのことなのかな?

なんにしろすごい人だ。


にしても神と勇者がいて倒すことができなかったのか?

どれだけ強いんだよ。

そんな奴に復活されてはたまったもんじゃないな。

……あれ、フラグ立った?


「今回の件、魔族の仕業だと思われますか?」

「わからぬ。確かに、最近各地で魔族の目撃情報があがっておるし、活動が活発になっているのは間違いないが…」


そこで意味ありげに俺を見る。

いや、知らないぞ。

俺が行く所に魔族ありなんてことは…ないと思いたいのだが。


「ルベルベンを崇めるは魔族だけにあらず。人族にも少ないながらおる。こちらは邪神宗教と呼ばれておるな」


どちらかというと魔族より更に関わりたくないような…

そんなの崇めている人間なんて禄なもんじゃいない。


「捕まえてみればわかることじゃな」


簡単に言ってくれる。

と、そこで装備品を取りに行っていた二人が戻ってきた。

報告に来た一人と軽く話をすり合わせ、装備を渡している。


「お主の装備はない。我らから離れたら危険と思え」


俺一人であるなら、どんな状況だろうとどうとでもなるとは…言わない方がいいんだろうな。


「行くぞ。遅れるなよ」


何故この女はこんなに偉そうなんだ?

俺何かしたか?

行くけどさ。


「では」

「うむ。任せたぞい」

「もうすぐ日が沈みます。お気を付けて」


---


忍部隊は、忍だけありその機動力には目を見張るものがあった。

「瞬足」と「隠密」が彼女たちの持ち味のようだ。


「チッ」

「ハァ…」


そんな彼女たちだから、俺が難なくついてくることが許せないらしい。

偶にこちらを見ては、何やら呟いている。

正確に言えば彼女だけだが。


―・―・―・―・―・―


カリア 18歳 女

HP:660

MP:400

魔法属性:風

<スキル>

体術、短剣術、暗器術、風属性魔法、身体強化、瞬足、跳躍、隠密、料理

<称号>

「暗殺者」


―・―・―・―・―・―


うーん…

この歳にしては鍛えている方に入るとは思うのだが、自分やベンのステータスに比べると物足りないのは確かだ。

元々のスペックが違うし競って仕方ないと思うのだが、それを言うのは酷だよな。

突っかかってこないだけマシだということにしておこう。


「貴様何故ついてこれるっ!!」


突っかかってきちゃったよ。


「今はそんなことより優先すべきことがあるだろう」

「くっ」


俺の言うことが正論だと思ったのか、前に向き直る。

だが、不機嫌だというオーラがありありと見て取れる。

何がそんなに気に障るのかね?

他の二人は無言で俺のことなど気にしていない風なのに。


俺も極力気にしないようにして目的地へとただ走る。

幸い近くまでは来ていたようで、そこに着くまで時間はかからなかった。


「状況はどうですか?」

「何もない。別の出入り口にも人を送っているが、どこからも異常は知らされていない。侵入者はまだ下にいるはずだ」


侵入者が地下に消えた路地裏。

そこは開いた穴があり、そのままマンホールのようでもあった。


ん?マンホール?

そういえば時系列がおかしいくないか?

いつから地下水道やマンホールの技術があったのかは知らないが、遥か昔の初代が生きていた頃にあったのか?

こうなると地球とこの世界ではかなりのタイムラグがあるのかもな。

地球で同じ時間を過ごしていてもこちらに来た時に同じ時間に飛ばされるとは限らないのかもしれない。

今考えても仕方ないが。


「そちらは?」

「…冒険者です。前王陛下が同行させるようにと」

「ふむ…忍部隊の部隊長をしている。ダスカスという。よろしく」

「シュウだ。こちらこそよろしく」


よかった。

どうやら隊長さんは普通のようだ。


(すまんな、あいつがうるさくはなかったか?)


隊長さんが小声で話しかけてくる。

あいつというのはカリアのことだろう。


(うるさくはなかったが、めんどくさかったな。なんであいつは俺をそんなに敵視するんだ?)

(前に色々あってあいつは冒険者が嫌いなんだよ。それにこの仕事に誇りを持ってやっているから冒険者と一緒にと言われて信用されていないようで嫌だったんだろう)


俺個人には全く関係ない理由ではないか。

忍が自分を殺せないようでいいのか?


「では中に入るとしよう。ブーカ、お前はここの見張りを引き継いでくれ」

「はっ」


ダスカスが装備を取りに戻った内一人に声をかける。

初めて声を聞いたな。


「では中へ入ろうか」


ダスカスを先頭に、俺たちは穴の中へと飛び込んだ。

夕日がその姿を照らしている。


---


「何やら騒ぎがあったようですが…」

「竜殺しもターゲットから離れた。作戦に変更はない」

「では」

「ああ、日が暮れた後、作戦決行だ」

「「「「「「はっ」」」」」


---


「まったく、邪魔をしてくれたわね。でもこれで、任務の一つは完了したわ。あともう一つは…」


---


「やりましたね、兄貴!」

「へっへっー俺様を舐めるなってんだ」

「でも兄貴どうするんですかい?顔もバレてますしもうこの町にはいられやせんぜ?」

「そうだなぁ…悪いこと思いついたぜ?」

「兄貴悪そうな顔してやすぜぃ!」

「おう、お前ら!俺について来い!」

「「「「「へい、兄貴!!!」」」」」


---


「あーまた負けちまった!」

「悪いなぁ兄ちゃん!毎度あり」

「俺はもう兄ちゃんって歳じゃねぇよ…ああ、すっからかんだ。なんかいい仕事ねぇかなぁ…ん?ありゃあ…何やってるかは知らねぇが、面白そうだな。うし!あの人には恩もあるしちょっくら行ってみるか!」


---


「首尾はどうじゃ?」

「万事抜かりなく」

「例の物は?」

「ここに」

「うむ。さすがじゃ。ではやるとするか」

「「「「全ては魔神ルベルベン様の御為に」」」」


---


それぞれの思惑を抱え、それぞれが動き出す。

歯車は回り始めた。

日が暮れるまで…あと僅か。



黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:B

HP:10500

MP:7800

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

基本六魔法、氷属性魔法、空間属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、覇気、索敵、看破、危機察知、魅了、罠発見、罠解除、空間把握、完全回復、天足{跳躍+瞬足(new)}(fusion)、隠形{隠密(new)}(shift)

耐魅了、耐誘惑、耐幻惑

礼儀作法、料理、舞踊

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「解体人」、「誘惑を乗り越えし者」、「美学に殉ず者」、「魔の源を納めし者」、「全能へと至る者」、「人馬一体」

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「知と魔を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」

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