第52ページ 魔道具店
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大変申し訳ありません。
温泉にゆっくり浸かった後、前国王とは別れた。
何やら考えたいことがあるんだそうだ。
俺は町を見て回ろうと、アステールを連れ出し、昨日は行っていない方向に向かっている。
こちらは屋台などの出店ではなく、きちんとした商業区画のようだ。
雑貨、食材、武器、防具、薬や魔道具の店。
多種多様な店がひしめき合っているが、きちんと整理され、無駄のない合理的な並びとなっているのがわかる。
需要の多い店を中央部に構えることにより、中央付近、つまりこの町の住人には使いやすく、外から来た人間は奥へと進むうちに色々な店を見ることになる。
興味を惹かれて入る人もいるだろう。
向こうの世界で聞いたことのある商業術だ。
人気のある物を店舗の奥に配置することでそこに到達するまでに見かけた商品も手に取って貰おうとするやつだ。
初代アタミ伯爵は異世界人で決まりだな。
もしまだ生きているなら会ってみたいが。
閑話休題。
「うーん…あまり惹かれるものがないなぁ…」
現在俺は武器屋にいる。
前々から思っていた刀以外の武器を入手するためだ。
品揃えはいいのだが、ガイアの親父さんの店の方が品質がいい。
困っているわけでもないから、また保留だな。
「よし、魔道具の店に行くぞ、アステール」
店の前で待っていたアステールに声をかける。
今日は屋台の方に行かなかったから少し拗ねているようで、気怠げに付いてくる。
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「いらっしゃい」
魔道具店「オスピス」と書かれた看板の店に入る。
この店は他の店と違い三階建てのようで、より繁盛しているのがわかる。
魔道具というものは単価の高いものだから当たり前と言えば当たり前なのだが。
「いらっしゃいませ。本日はどういった物をご所望でしょうか?」
商品を見ていると店員らしき青年が声をかけてきた。
どこかグードと似た雰囲気の青年だ。
「特に決めてはいないんだが何かいいのがあれば、と思ってな」
「左様でございましたか。失礼ですがお客様は冒険者であらせられますか?」
「そうだ」
「でしたら二階へどうぞ。一階は生活で使う品が主ですので」
確かに一階に並んでいる品は、カセットコンロのように火を熾すものや、水を出すジョウロなど。
一般人向けの品ばかりだった。
青年に案内され、二階へと向かう。
一階と同じように品物がズラリと並んでいるが、パッと見で物騒な物が多い。
「何かオススメはあるか?」
「少々お待ちくださいませ」
一礼して青年は奥へと向かった。
その間俺は近くにある商品を見ていたのだが、この押したら一秒で爆発するっていう爆弾アイテムは誰が買うんだろうか?
「お待たせいたしました。こちらが当店オススメの魔道具でございます」
戻ってきた青年は複数の道具を抱えていた。
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【魔道具】結界玉
品質A、レア度3、魔道具職人ドン・ジノサンの作。
一度だけ半径1mの結界を張ることができる。
【魔道具】アイテムバック
品質A、レア度5、魔道具職人ドン・ジノサンの作。
空間拡張魔法をかけられたバック。
重量100kgまで収納可能。
【魔道具】ファイアーロッド
品質B、レア度6、魔道具職人ドン・ジノサンの作。
魔力を流すことで火属性魔法を20回だけ使うことのできる杖。
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他にもいくつか。
うーん…
これといって必要なものがない。
「こ、これなどいかかでしょうか!?」
なんだか青年がムキになってしまった。
是が非でも売りつけたいって感じではなく、俺を満足させる商品を見つけてやるって感じ。
どうやらプライドを刺激してしまったようだ。
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【魔道具】ハイドマント
品質S、レア度7、錬金術師ニコラス・フラメルと魔道具職人ドン・ジノサンの共同作品。
スキル「隠蔽」の効果が付与された外套。
ステータスを隠すことが可能となる。
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「へー」
これはなかなか…
いや待てよ?
スキル「隠蔽」ってことはその内習得しそうだな…
それにファーシー達が作ってくれた今の外套も気に入っている。
…保留だな。
「ありがとうございました!」
結局一つだけ買ってでてきてしまった。
何を買ったか?
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【魔道具】秒殺爆弾
品質D、レア度7、魔道具職人チノ・ジノサンの作。
起爆ボタンを押すと一秒後に起爆する。
失敗作でありながら成功作。
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後悔はしていない。
「次はどこへ行こうか」
「クル!」
店の前で待っていたアステールに声をかけると勢いよく振り向いた。
その方角は昨日の屋台列がある方だ。
「ハァ…わかったよ」
結局俺たちは屋台に向かうことになった。
躾?するさ。
屋台に着いてからな…




