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異次元魔王ストラの超絶大冒険~~「(前略)魔王の魔王による魔王のための魔王退治の物語」  作者: 多布可良
第19章「せんにん」

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第19章「せんにん」 5-5 マーラルと把呂仙人の対話

 「そんなもの、どうやって存在している!?」

 「知らんよ」


 シュターラウスと同じことを聴くやつがいるんだな……と、マーラルは思った。


 もっともこの場合、シュターラウス博士が異次元人にして神仙に匹敵する思考の持ち主なので、シュターラウスが凄いということなのだが。


 「いやはや、それはちょっと会ってみたいね。観察者としてね。会ったからといって、どうこうするつもりはないが」


 「せっかく帰ってきたのだから、会えばいいさ、好きなだけ。だが、そのゾールンやその配下は、異次元魔王を元の世界に返そう・・・としている」


 「それはそれで、やれば良いのではないか?」

 「少しは協力しろと云ってるんだよ!」

 「協力? 私が? どうして?」


 話にならんと、マーラルは口をゆがめた。もっとも、マーラル自身も、本来はこうだった。いや、仙人というのはまず世俗を捨てるところから始まるので、大なり小なりみなこうだ。こうのはず・・なのだ。


 それなのに、他の仙人どもは大可を含めてこの魔力世界を裏から支配しているつもりなのが、マーラルは許せなかったのだ。


 「そもそも、そのゾールンとやらは、どうして異次元魔王を返そうとしてるんだね」


 把呂がガチガチと陶器片を鳴らし、人型に近いような形となった。


 「それこそ知らんよ。が、ヴィヒヴァルン代王らの話によると、この魔力世界で無敵のはずのゾールンを倒せる可能性がある唯一の存在だから、恐れてるんじゃないのか?」


 「だいたい、ゾールンというも気になる。多次元同時存在体だろ? 何者だ?」


 「おまえさん、次元の観察者なら、どこかで見たことないのかね。何体かに分かれて次元封印されているらしいぞ」


 「そんなすごいやつ、見たことないな。ほかの世界では、封印されたまま大人しくしている可能性はあるがね」


 「そうか……この世界でだけ、行動が活発な可能性はあるな。それで、動ける存在がなんとか全体の封印を解こうと暗躍しているのかもしれない」


 そう、マーラルが納得してうなずいた。


 「そうかもしれないね。ゾールンはゾールンで、世界ごと自分もろとも魔力の大河に呑まれるのは望んでいないはずだ。多次元同時存在体とはいえ、封印されているがためにその状態になっているのだとしたら……1体でも失われたら、本来の存在には二度と戻れなくなるだろうからな」


 「ほう……」

 それは、マーラルにとって初耳だった。

 「そうなのか」

 「違うかな」

 「私には分からんが……」


 「ま、それで、ゾールンはゾールンで、異次元魔王とは異なる法で、世界をどうにかしようと考えているのだろう。自分だけのためにな。つまり、そのために、ゾールンは自分以外がどうなろうとかまわないと考えているのが、面倒なところなのだろうさ」


 「まあしかし、そんなもんなのだろうな、本来の魔王ってのは」


 そう云って、マーラルが苦笑。魔王ほどの隔絶した存在は、本当に、本来はそういうものだ。ロンボーンのように。かつての自分も、そうだったはずなのに。


 (神通力を失った私は、きっと人に戻っているのだろうな)

 そう思い、


 「もういい。私に協力しないのなら、どっかに行け。だが、九仙に協力はするなよ。連中は故意か知らずかは知らんが、ゾールンの手先に成り下がったからな」


 「はあ?」


 そこで初めて、把呂仙人が感情的な憤りを見せたので、マーラルはオッと思った。


 (そこ・・に食いつくか……)


 だが、竜尸がゾールンと関係がありそうなのは事実だ。おそらく、悠久の太古……竜尸が仙人となる前というか……そもそもゾールンの手先が、仙人となったのだ。


 真実は、関係や手先どころか、ゾールンの分体の1つが竜尸仙人なのだが、マーラルにまだそこまで知るすべはない。


 「我らは、世を超越して世俗から離れ、天仙を目指して修行し、全てを達観する存在ではなかったのか?」


 「いや、本来はそうだがね……私も最初は、滅ぶものは滅ぶべきときに滅ぶだけだと思っていたが……」


 「お前さんなんかどうせ、確定された世界の滅亡に抗おうという小粋な連中に、暇つぶしで付き合って遊んでいるだけだろう?」


 「いや、まあ……そう云われると、そうだろうがね!」

 そこで、2人が再会して初めて笑いあった。

 「しかしお前さん、異次元魔王の手下ではないのだろう?」

 「手下ではないね。強いて云うなら……仲間だな」


 「なんと、魔力の無い存在の仲間か! そりゃあいい! ハハハ、面白そうじゃないか! 私も仲間になるとしよう!」


 「おっ、そうかね!」

 マーラルが内心、手を打った。

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