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第33話 お買い物ツアー始まるよ

ギルドでの魔物の買取金額が小金貨27枚と小銀貨20枚だった。

なんか一気にお金持ちになっちゃった。

で、ここでちょっと頭の中を整理してみた。

今泊まってる宿が素泊まり大銅貨6枚、従魔1匹につき大銅貨1枚、夕飯と朝食で大銅貨3枚、お風呂大銅貨3枚、しめて1泊小銀貨1枚と大銅貨3枚。

前世の現代日本と異世界の物価や価値基準にズレはあるとしても、それでも大体大銅貨1枚が1千円くらいの感覚かな。

つまり

大銅貨10枚=小銀貨1枚=10,000円

小銀貨10枚=大銀貨1枚=100,000円

大銀貨10枚=小金貨1枚=1,000,000円

ってな感じ。


…………。


日本円に換算すると27,200,000円……。


はぁ?!

27,200,000円?!!!!!

どどど どうしよう?

こんな大金持った事ないよ。


ちょっと待って。

ストレージの中には「女神の贈り物」がまだ500個くらい入ってるんだけど、あれって確か安くても大銀貨5枚で高ければ小金貨1枚ってリズさんが言ってたわよね?

日本円に直すと……2億5千万円~5億円。


なんてこったい。


お金持ちどころか大金持ちじゃない。

あはは は、金額が凄すぎて笑うしかないって感じ。

私が乾いた笑い声をあげていると


「「どうしたの、急に?」」


二人がビクッとして聞いてきた。

あ、いや。 急にお金持ちになっちゃって気が動転してただけだから気にしないで。

取りあえず今要りそうな分だけ手元において残りのお金は市民カードの通帳機能の方へ入金しておいた。

日本円にして2,700万円相当の大金を持ったまま買い物なんて怖くて出来ないもんね。


お店が並ぶ商業地区、食品関連の市場、卸関連の問屋街、後は市民の居住区と行政関連地区って言う感じで区分けされている。

今いる所はギルドがあるから行政関連地区、ここから一番近いのは卸関連地区で、次に商業地区、そして食品関連の市場、街の一番外郭に近いところに市民の居住区なので、一旦一番遠い市場まで行ってそこから戻りながら順番に見て回る事にした。


市場に向かう道すがらリズさんたちに色々と教えて貰った。

例えば物価その物はここウーズも領都もそんなに違わない。

同じ領内だし距離も近いしで価格的な差は付きにくい。

ただ領都の方が圧倒的に種類・物量共に豊富であると。

なるほど。


「ここからが市場のある区域よ。」


おおー、なんとも雑多なごちゃごちゃ感と活気と喧騒、お祭りの出店みたいなのが所狭しと並んでいる。

それにしても人が多い。

ここは一般市民が集まる区域だから小綺麗な服を着た人はほとんど居ない。

私たちは冒険者の恰好だからシャツにズボン、ブーツ、アウターとして外套と言ういで立ちだけれど、ここにやって来ている女性はみなワンピースで腰の所で布か革ベルトで絞っていてショールを羽織っている。

色は単色ばかりだけれどカラフルで見ていて楽しい。

履物はグラディエーターサンダルみたいなのや革製で覆うだけの物、或いは木靴ね。

ブラウスにスカートを穿いた女性を時々見かける。

上下で別々にすると布の量が増える=値段が高くなる。

そうゆう上下が別々になった服を着ている人って一般市民の中でも富裕層なんじゃないかなって思う。

つまりそうゆう人向けの服もあると。

そう思うとちょっと楽しみではあるわね。

そんな感じでお上りさん感丸出しでキョロキョロしながら歩いていると


「よそ見してないでちゃんと前向いて歩かないと危ないですよー。」


そう言いながらメロディちゃんが私の手を引っ張る。

あら、ごめんあそばせ。

メロディちゃんは私の手を握って満足そうにしている。

愛いやつじゃ。

メロディちゃんと手を繋いだまま歩いていると反対側の手をリズさんが掴んできた。


「ほ ほら、オルカさんが迷子になっちゃうと大変だからね。 べ 別に深い意味はないんだからね。」


ふふ、リズさんたらメロディちゃんに対抗しちゃってかーわーいい♪

ほら、メロディちゃんがニヨニヨしながら見てる。

あ、リズさん真っ赤になって照れてそっぽ向いた。


「オルカさん、何を買いたいの? 時間は有限なんだからさっさと行くわよ。」


んもう、リズさんたらツンデレ。

メロディちゃんと二人で笑っちゃった。


歩きながら鑑定さんかけまくり、大活躍ね。

視界の中にスーパーインポーズで色々と情報が流れ込んでくる。

時々足を止めてドカンと纏め買い。

ジャガイモ、人参、玉ねぎ、トマト、ズッキーニみたいなのとか色々。

根菜類は元々が日持ちするので鮮度的には問題ない物が多かったけど葉物野菜はダメね、鮮度がイマイチなのばかりだったから比較的良さそうなのを選んで少し買っておいた。

お肉も塩漬けやベーコン・干し肉が主で生のもあるにはあるけど血抜きが甘かったり鮮度が落ちてたりと購買意欲は沸かなかった。

サラダ油とかはやっぱり無かったからオリーブオイルと何の植物か分からない安い植物油を買った。

料理に使いたいのでそれ用のワインも安いのを数本買っておいた。

粉ものでは小麦粉とそば粉を見つけた。 即行買った。

洋梨型の瑞々しい水気たっぷりのや、文旦みたいな大きな柑橘類とか、杏子や白桃みたいのもあったのでそれぞれ100個単位で買っておいた。

だって女子的に果物って必須でしょ?

けれどここでリズさんからダメ出しが。


「オルカさん、この鞄使って。」


え? 鞄ってその斜めがけの可愛い鞄?


「私アイテムBOXホントはストレージ持ちだからいらないよ?」


「違うわよ、人前でアイテムBOX使ってスキル持ちって知られると厄介事に巻き込まれる可能性があるからよ!」


あっ、そうゆう事。

全然気づかなかった。

教えてくれてありがとう。

けど、そもそもそんな可愛いらしい鞄じゃ何にも入らないよ?


「だから、この鞄は魔法鞄(マジックバッグ)って事にするの。 そうすれば人前でスキル使ってもバレないでしょ。」


なーるほど、リズさんあったまいいー!


「はぁぁ。」


眉と眉の間を指でぐりぐりと押しながらリズさんがため息をつく。

いや、そんなに呆れなくても……。

私もいつもいつも抜けてる訳じゃないよ。

たまにだよ、たまに。

ホントだよ……自信ないけど。


「まぁいいわ、これからは気をつけてね。」


「はい。」


話が一区切りついた所で


「ねぇ、オルカさん。 もし良かったらだけど、私たちと一緒に領都に行かない?」

「一緒にパーティ組めるならそれが一番いいんだけど、そこは無理強いはしないから。 貴女基本ソロだもんね。 でもたまに一緒に依頼を受けてくれると嬉しいなとは思うけどね。」


リズさんからそう申し出があった。

私にとっては悪い話じゃない。

いや、それどころかとても良い話だと思う。

私はこの世界の事、常識や何やかんやを全然知らない。

知らないから教えて欲しいけど、誰でもいいって訳じゃない。

この人なら安心って人じゃないと。

その点リズさんたちは良い人たちだと思う。

今の所私の周りには悪い人は居ない、けれどこれからもそうとは限らないじゃない。

だからこそリズさんたちとの繋がりは大切だし維持したいと思うのよ。

知り合ってまだ数日だけど私の為に色々と考えてくれている。

この人は大丈夫、私の女の勘(元男)がそう囁くのよ。


「そうね、それもいいかも知れないわね。」


私としては願ったり叶ったり。

よろしくお願いしますってね。


「それでね、明日領都に帰る商人の護衛で私たちも行くんだけど、もう1人、凄腕のテイマーが護衛に増えるかもって言ってあるの。 勝手だとは思ったけど依頼人の商人には話は通してあるから。」


あらま、随分と根回しがいいのね。 しっかりしてるわ。

あと、こちらが勝手に護衛の人数を増やした訳だから依頼料の上乗せはなし、水も食料も追加はなし、そう言う条件でOKを貰ってあると。

なんだ一番得したのは商人の方じゃない。

結局ワリを食ったのはリズさんたちって訳ね。

だったらせめて食事くらいは美味しいのをご馳走してあげようかな。


話も纏まったところでまた買い物再開。

私がずっと欲しかったもの、香辛料。

胡椒に唐辛子、ニンニク、生姜、あとピンクソルトとか、ハーブ類も欲しいし。

クローブ、シナモン、ナツメグにコリアンダー。

これらも適量?づつ買占めた。

うん、遠慮はしない。 だって欲しかったんだもん。

ここでリズさんから


「ここでも領都でも値段はそんなに違わないけど、種類なら領都の方が多いからまたあとで領都に着いた時に買えばいいんじゃない? 変わったのが欲しかったら、メイワースの南にあるハイリントンって領地は香辛料の産地で種類も豊富で値段も安いよ。」


だって。

そっかここの領地の南って、あの森の南って事よね。

ハイリントンて言うんだ、知らなかった。

そこに行けば色んな香辛料が買える? いい事聞いちゃった。

いつか行ってみたいな。



私たちは人ごみを縫うように歩きながら市場を抜け商業地区へとやって来た。

武器と防具って思ったんだけど、防具はいいとして武器は別に要らないかなって。


「だってほら、私攻撃魔法使えるし、くーちゃんも居るし、それにまだ見せてないけど凄い武器隠し持ってるしね。」


だからまぁ武器はいいかな。 見るだけなら見てもいいけどって程度。


「「凄い武器……ごくり。」」

「「確かにオルカさんのは凄いけど……。」」


あの、二人とも 顔を赤くしながら私の胸を凝視するのヤメて貰える?


「「女の…………武器?」」


なっ、なに言ってんの!

使わないから! ぜっっっっっったいに使わないから!!!

大体なんで私がそんな事しないといけないの?

私殿方になんか興味ないの!

可愛い女の子や綺麗なお姉さんとかだったら考えなくもないけど……って何を言わせるのよ。

まったくもう。

ほ ほら、周りの人の注目を浴びちゃってるじゃない。

防具屋に行くわよ。



「胸が キツい……。」


「だから言ったじゃない。 オルカさんみたいに大きいと胸当ては形が限定されるって。」


「だって今してるのって可愛いくないんだもの。」


私女の子だよ?

防具だからって無骨でイイって訳じゃないでしょ。

やっぱり可愛いの着けたいと思うじゃない。


「だったら領都に行って特注で一点物を製作して貰うしかないわね。 多少値は張るけど満足いく物が出来ると思うわよ。」

「ですねー。リズの言う通り、その方がいいかもです。」


分かった、そうする。

ここで無理に合わないのを買っても無駄になっちゃうしね。

無駄遣いしなくて済んだと思えばいいのよ。


それより今日の一番の目的、下着よ!

可愛い下着が欲しいの。

さぁ、早く案内して頂戴。

さぁさぁさぁさぁ。


「ちょっ、オルカさん鼻息荒いわよ。」

「中年のオジサンみたいでブーです!」


散々な言われようだけれども、何と言われようとも私は下着が欲しいの。

やって来ました下着を置いてあるお店。

ところが……服を売ってる一角に申し訳程度に下着が置いてあるだけ。

何てことなの。

これじゃあ私の夢の下着ライフがぁぁ。

可愛いのが全然ないっ!

あるのはドロワーズのみ。

紐パンすら置いてないってどうゆう事?

仕方ないのでカボチャじゃない、裾にフリルの付いたぴっちりしたドロワーズを色違いで2枚買った。

キャミも今持ってるのと大差無いので色違いで2枚だけ購入。

今回はこれで我慢する。

でも領都に行ったら可愛いのを絶対買うんだ。 あと紐パンも。

私は可愛いのやエッチぃのが着たいのよ。


普段着も欲しかったので服も見てみる。

リズさんの言った通りこの街では種類はあまり多くないみたい。


「下着や服は領都で買う方がいいわよ。 品揃えが段違いだもの。」

「ここでは今すぐに要る物だけにした方がいいですよー。」


二人のアドバイスもあったので普段着は領都で買う事にして、寝間着代わりになりそうなノースリーブワンピースを探す事にした。

麻素材のリネンワンピで腰の所を紐で結ぶデザインで、ふくらはぎの真ん中辺りに裾が来る長さのを選んだ。

色の種類も沢山あって3人の髪の色に合わせて、リズさんのホワイトブロンドの髪色に似た生成り色、メロディちゃんの髪色に似た薄い桃色、私の黒髪とはちょっと違うけど濃紺のがあったので3枚購入して、リズさんたち2人に1着づつプレゼントした。


「はい、これ。 今日付き合って貰ったお礼にプレゼント。 3人で色違いのお揃いよ♪」


「そんな、いいよー。 服って安くないし貰えないよ。」

「そうよ、私たち何もしてないのに受け取れないよ。」


二人は口々にそう言うけどそんな事ないよ。

二人は私の為に色々してくれたじゃない。

すごく嬉しかったのよ。

世間知らずで右も左も分からない私が困らないようにって良くしてくれたよ。

だからこれは私からの心許りのお礼。

恩を受けたら返さなきゃ。人として当たり前の事よ。

そう言って無理やり二人の手に押し付けて渡してしまう。

二人は若干困り顔をしつつも


「「ありがとう。」」


そう言って胸のところでギュッと抱くようにして受け取ってくれた。

貰ってくれてありがとね。


そろそろいい時間だしこの後もう少しだけ周っていい?

そう確認してお買い物もラストスパート。

皮革製品のお店でグラディエーターサンダルっぽいのを1足と、小振りな斜めがけのポシェットを購入。

これで街の中でも違和感無く溶け込めるはず。

冒険者の格好でも問題はないけど、やっぱね。

普通の気楽な格好もしたいじゃない。


最後に寄ったのが問屋街の布専門問屋。

洋服にも使えそうな高級生地がすぐに目に付いたので買った。

他には帆布生地、帆布生地はもう使い道は決めてあるの、パイル生地は裁断してふかふかタオルを作ろうかなって。

裁断用に裁ちばさみも買ったわよ、ついでだし。

あとはレース生地、絹の生地、各生地に合わせて糸も色々と買った。

白・赤・黒・青・ボルドー、いろんな色があったから各生地あるだけの色を買いました。

おかげでここの支払いが一番高くて小金貨1枚と小銀貨32枚もしたけどね。

端数の小銀貨2枚はおまけしてくれて〆て小金貨1枚と小銀貨30枚での支払いとなったの。

うん、すぐ即金で払ったわよ、今の私はお大尽だもの。

そうしたら気を良くした店主がリズさんたちへ高級布地の端切れを沢山あげてた。

端切れって言ってもそこそこ大きいものもあってそれなにりに使い道はありそうで、リズさんたちも喜んでたわ。

私たちが帰る時には店主を筆頭に店員総出でお見送りされて、道行く人からは何事?って目を向けられて困っちゃった。

ついでにコットンボールの売ってる所はないかと尋ねたらあるって事だったので、そのお店を教えて貰ってコットンボールを大量に買った。

それはもう大量に。 原材料を買ってどうするんだ?って不思議がられたけど、お裁縫が趣味だからで押し切った。

うん、かなり苦しい言い訳だったわ。


ホントはね、他にも寄りたい所はあったんだけど時間切れ。

明日は領都に向けて出発するから続きは領都に着いてからになるわね。

宿までの帰路で明日の打ち合わせ。

明日は朝食を食べたら、3と半の鐘ごろにリズさんたちが迎えにくるから、それから商人さんと合流して出発。

ウーズの街を経って、途中2回野営しながら3日目の午前中には領都に到着予定。



ざっとそんな感じで予定を合わせて宿屋に戻った。

色々と作りたい物とかあるのだけれど明日から2日間はリズさんたちが一緒だからね。

創造魔法はちょっと……。

だから今夜の内に少しでも作っておきたいなと。


さっ、がんばろ。





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