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第28話 お散歩がてらちょこっとね

朝出発してテクテクと歩きに歩いて約半日。

たぶん今はお昼ごろなのかな?

まぁまぁの大きさの街ウーズに着いて待つこと少々。

ようやく私たちの番が回って来た。

リズさんが代表して門番と何やら話している。

市民カードを見せながら森の調査の件を話しているに違いない。

メロディちゃんがこちらを見ながら


「大丈夫ですよ、リズはこうゆうの得意なの。 任せておけば安心だから。」


そう言ってにっこりと笑う。

へーそうなんだ。

でも確かに言われてみればリズさんって世話焼きで頼りになる感じはするわね。

あれやこれや、身振り手振りで門番さんに説明しながら時々こちらを見ては話したりしている。

時々目元を拭う素振りを見せつつ、あ またこっち見た。

んー 私の事とかも説明しているね。

でも、すっごい見られてるのが気になるわね。

あ、色目とかそんなんじゃなくて疑り深い感じの探るような目で見ているの。

職業柄ってやつね。

私は小首を傾げながら口元だけ微笑んで会釈しておいた。

それだけで門番は嬉しそうにニカッと笑ってリズさんに頷き返して、手で通って良しの合図をしていた。

リズさんはこちらに向き直ってパチってウインクして笑ってる。

してやったりって顔ね。

全く、リズさんは何を言ったのやら。

まぁいいけどさ。


街に入る為のチェックも無事に済み、リズさんとメロディちゃんが市民カードを見せながら通って行くのを真似て、私も市民カードを見せながら通ろうとしたら止められた。

理由はくーちゃん。

街に入るのに従魔の分のお金が掛かるとかそんな事はない、ないけど従魔が人を襲ったりしたり問題行動を起こしたらテイマーが責任を負うと言う誓約書を書かないといけないの。

これはある意味当然で街を守る側すれば当たり前よね。

それは理解出来るので私は素直に誓約書にサインしたわよ。

って言うかね、くーちゃんが本気になって暴れたらこの規模の街なら簡単に殲滅しちゃいそうだもの。

サインする事自体が無意味ってものよ。

ま、取り合えず無事通過出来たので良しとしますか。

さぁて、この世界お初の街はどんなのかしら?

ワクワクが止まらないわ。


城門は人用と馬車用とに分かれていて、私たちは勿論人用の通路を通って中へ入る。

通路は広くはなく多人数での通過はしにくい造りになっている。

これは攻め込まれにくいようにする為ね。

リズさんたちに続いて私とくーちゃんも入って行って視界が開けるとそこは石畳と、砂利を敷き詰めたような道だった。

なんだかマカダム舗装みたいな道ね。

日本ではあまり見ない風景だから新鮮で面白い。

建物は基礎部分が石造りであとは木造建築が主なのね。

街自体があまり大きくないからなのか木造の高層建築が多いのが特徴。

きっとお城とかは石造りで堅牢な物になるんだろうね。

門の近くは雑多なイメージが強く、街の中心部に近づくに従って整然とした並びになってゆく。

建物も街の中央に行くほど綺麗で、街の中心部が大広場になっていて、集会だったりお祭りだったりした際の会場になるのかな?


そんな風に思いを巡らせていると冒険者ギルドに到着した。

西部劇に出てくるようなスイングドアではなくて普通のドアだった。

それも開けっ放しの。

テンプレだけど冒険者ギルドってスイングドアっていうイメージだったからちょっぴり残念な気持ちね。


リズさんたちに続いて中に入ると一斉に視線を浴びせられた。

うわっ、めっちゃ見られてる。


「前の二人は確か領都の女冒険者だったよな。 じゃあ後ろのおっぱいのオネーチャンは誰だ?」


は? 誰がおっぱいのオネーチャンよ。 失礼にも程があるわよ。


「なぁ、あれキツネだよな? あんなデカいキツネ見た事ねーよ。」

「デカいと言えばあのオネーチャンも相当なもんだ。」


「ほう、あのおっぱいちゃんテイマーなのか。 面白い。」


く。 さっきからおっぱいおっぱいって。

私の存在価値はそこだけか?!

これだから男ってヤツは……。


私がイラっとしてる間にリズさんが受付で用件を伝えていた。

受付 嬢……もとい、元受付嬢と思われる品のいいおばさまが一旦奥へ入って行ってしばらくして戻って来て奥の部屋に来るように促してきた。

品のいい受付のおばさまがドアをコンコンとノックして


「マチルダです、ご報告の冒険者をお連れしました。」


「入って貰って下さい。」


中から男性の声がした。

声の主がきっとここの最高権力者、ギルドマスターなのだろう。


「失礼します。」


入室する時に一言声を掛けて部屋に入る。

うん、前世での社会経験が活かされてるね。

ギルマスと思しき人が「ほぉ。」と感嘆の声を漏らした。

どうやら最初の印象は悪くはならなかったようで何よりね。

私たちは促されるままソファに座る。


「私はここのギルドマスター代行のローガンです。 あ マチルダさん、彼女たちにお茶の用意をお願いします。」


随分と腰の低い人ね。

ギルマスって言ったらもっと強面で筋骨隆々で脳筋でいかにもって感じの人かと思ってたのに意外や意外、穏やかで優しそうな人ね。


「意外でしょう? どうして私みたいなのがギルマス代行をしているのかって。」


あ、いえ 別に。 そういう訳では。

ヤバイ顔に出てたかしら。

咄嗟に上手い言い訳が思いつかずにしどろもどろになっていると


「あはは、大丈夫。 みなそうゆう反応するんで慣れてるんです。」


どう言う事かと言うと、前任のギルマスが退任した時に、ここのギルドを管轄する領都のギルドからここは出張所だから後任が難しいって話になった。

しかし管理者は置かないといけない、それでここのギルドの職員の中で人望の厚いローガンさんが代行として選任されたと。

そうゆう事らしい。

中間管理職の悲哀か。 よーく分かるわ。


この部屋に居るのは私たち3人とくーちゃん、ギルマス代行のローガンさんと受付のマチルダさん。

リズさんとギルマス代行のローガンさんとで話し合いが始められた。


「私はリズで、こっちがメロディ。 ギルドの依頼を受けた冒険者は私たちです。」


「では、そちらの黒髪のお嬢さんは?」


「彼女はオルカさん、私たちを魔物の群れから助けてくれたの。 そこの白い大きなキツネがオルカさんの従魔。」


「なるほど、承知しました。 では今現在の森の様子などをお聞きしましょうか。」


まずは事の発端から。

発端は森に狼が出没するようになった事から始まった。

その調査にリズさんたち大勢の冒険者が森に調査に入った。

最初は確かに狼の痕跡は確認出来たのだがある時を境にパタリと狼を見なくなった。

代わりに白い魔物が森の中をうろつく様になったと。

うん、ごめんね。 それ私たちなのよね。


(主様、如何いたしましょう? やはり本当の事を言うべきでございましょうか?)


(まぁ、待って。もうちょと様子を見てから考えるわ。)


くーちゃんと念話で内密の相談をしている間にも報告は進んでゆく。

リズさんたちは狼の痕跡を追いかけながら森の深い所、中心部近くを探索していた時に事件は起こった。

魔物の群れに襲われたのだ。

それもスタンピード以外では見る事もない異種族間で協力しながらと言う異常事態を引き連れて。

リズさんたちは魔物に囲まれて逃げる事も叶わず、いよいよこれでダメかと諦めかけた時に私たちが現れて鎧袖一触魔物を打ち倒してしまったと。


「「「「大きな白い魔物って……ですよね。」」」」


あっれー なんか皆にすっごい見られてるような気が。

これって絶対バレてるよね?


(くーちゃんどうしよう、やっぱ本当の事言わないと収拾付かないかな。)


なんかちょっと気が重い。


「あの~ ちょっと宜しいでしょうか?」


私は恐る恐ると言った体で右手を挙げて発言を求める。

にっこりと微笑んでローガンさんが


「どうぞ、何でも遠慮なく。」


うっわー、すっごい圧力。

笑顔とは裏腹に嘘は許さないぞって言うのがビシバシ伝わってくるよ。

あはは、これはダメね。 白旗、降参。


「実は……ですね。」


一呼吸置いてから私は本当の事を話した。


「あの森の一番大きな狼の群れを狩ったのは私たちです、えへ。」

「それからくーちゃんと、あ 私の従魔なんですけど、くーちゃんと一緒に森の中を散歩がてら魔物や狼とかを狩りまくってたりして? お騒がせしてごめんなさい!」


う、皆のジト目が突き刺さるよぉー。

ねぇ、何か言ってよ、無言って結構キツイのよ。


「散歩がてら魔物を狩るって……まぁオルカさんだしね、しょーがないわね。」

「だよねー、オルカさんだもん。」


二人とも……だからそうゆう納得の仕方って 以下略。


「では オルカさん、狼を討伐した証明とかはありますか? お持ちなら確認したいのですが。」


「あ、ありますあります。 でも量が量なのでここでは全部出せないですけど。」

「一応私アイテムBOX持ちなのでそこそこの量持ってますがいいですか?」


「はい、構いませんよ。 あとで見せて下さいね。 作業場までご案内しますので。」

「討伐した魔物はモノによっては買い取りもしたいのですが宜しいですか?」


「はい、こちらとしてもそうして頂けると助かります。」


良かった。 これで路銀の確保の目途が立ちそうね。

女神様から頂いたお金はあるけどそれだけでは ね。

けれど私まだ冒険者登録してないけど買い取りって大丈夫なのかな?

一応念の為聞いてみようかな。

冒険者じゃないと買い取り出来ないとか言われちゃうと困るしね。

私は「聞きたい事が……」と、


「私まだ冒険者登録してないんですけど買い取りって大丈夫なものなんですか?」


「「えっ?!」」


ローガンさんとマチルダさんが嘘?!みたいな顔で驚いている。


「いや、狼の討伐とかされたんですよね? それなのに冒険者じゃない? 」


うん、なんせこっちの世界に来てからそんなに日も経ってないし。

まぁこれはくーちゃん以外知らないし、教えるつもりもないけれどね。


「そう言う訳なので冒険者登録お願いします。」


私はペコリと頭を下げて丁寧にお願いする。


「マチルダさん、買い取りの前に登録して差し上げて下さい。」

「……はい。」



二人はこめかみの所を指でグリグリとしながら「はぁ」と小さくため息をついた。






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