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第27話 初めての街ウーズに到着

魔物に襲われてるのを助けてあげて、ギルドに一緒に付いて行って説明をしてあげる約束をして、晩ごはんご馳走して、美味しいフルーツを出して……

えっ、もういい?



明日は結構な距離歩くのよね? だったら体力回復の為にももう寝ない?


「そうね、そろそろ寝よっか。 見張り番は私とメロディがやるからオルカさんは寝てていいからね。」


えっ、そんなのダメよ。

それじゃあ二人にだけ負担が掛かっちゃうじゃない。

そもそもの話ね、くーちゃんがが居るから見張り要らないんだよ?


「私3人で寝られるテント持ってるから。」


そう言いながらストレージからテントを取り出す。

は? って言う顔をしながら私を見る二人。


「確かにテントで寝られると疲れは取れるかもしれないけど、それだと何かあった時に対処が遅れるから。」


リズさんの懸念も尤もな話ね。

けど心配要らないの。 何も起こらないから。

夜中に魔物が近寄ってきてもくーちゃんが嬉々として狩ってくれるから安心よ。

しかもそれがそのまま食料にもなるし一石二鳥だし。


「だから、一緒に寝よ♪」


(今夜は二人が一緒だから結界石使えないし見張りお願いね。)


(御意。)


くーちゃんと念話で見張りをお願いする。


「テントに入る時はブーツは脱いでね。」


私はそう言いながらテントの入り口の所で座って自分のブーツを脱いで素足に『洗浄』をかける。

そんなとこに突っ立って見てないで、さぁ二人とも脱いだ脱いだ。

ブーツを脱いでテントの中に入った3人。

ね、3人でも十分な広さでしょ、これなら余裕で寝られるよ。

外套を脱いで革の胸当ても外してホッと一息。

ほら、二人も装備を外して楽にしてね、見張りはくーちゃんが責任持ってやってくれるから心配いらないから。

でも、どうしてもって言うなら剣は頭のとこに置いておけばいいから。


「助けて貰って怪我も治して貰って、何から何まで。 なんてお礼を言えばいいか……。」

「ホントに。 野営なのにこんなにゆっくり寝られるなんて思ってもみませんでした。」


もう~二人ともぉ。 そんなの気にしないで。

困ったときはお互いさまでしょ。

街に着いたら、今度は私に色々教えてよ。


「さ、二人とももう寝ましょ。 おやすみなさい。」

「「おやすみなさい。」」



チュンチュン。 チチチチ。

朝目覚めると小鳥のさえずりが耳に心地よい。


……なのに何この状況。


右側にリズさん、左側にメロディちゃんが私に抱きついて脚を絡めて眠っている。

身動きがとれない……。

ねぇ二人ともさ、お顔が私の胸に当たってるんだけど? 私の胸は枕じゃありませんからね。

こら、ちょっと。 顔を動かさないの!

くすぐったいから。

っ! ちょっ ヤメ。


あん。


ダメだったら!

あっ……

ね、ヤメて。

ほんとにダメだってば!

声 声出ちゃうから


……も もう


ゴルァ!!


「「ひっ!」」


「お は よ う。」


私の鬼気迫る様子に


「「おはようございます!」」


「よろしい。では、その絡めてる腕と脚をどけてちょうだい。」

「さっさとする!」

Quick!


「「はいっ!」」


うんうん、やれば出来る子は私好きよ。


「「オルカさん怖っ!」」


聞こえてるからね。

本人に聞こえたらそれは只の悪口だからね。

そうゆう事を言う口はどの口だ? あん?


「この口か? んん?」


私は二人のほっぺをうりうりと軽くつねる。


「ごめんなさい は?」

「「ごめんなさい です。」」


大変よく出来ました。

悪い事をしたらごめんなさいは基本中の基本だものね。

さ、二人とも起きてちょうだい。 朝ごはんにするわよ。

そう言いながらテントから這い出ると


……魔物の小山が出来ていた。


くーちゃんアナタまたなのね。

くーちゃんの方を見るとドヤ顔で尻尾をぶんぶん振って駆け寄って来た。

これってきっと褒めて欲しいのよね?

私は苦笑してしまった。


「くーちゃんエライね、いつもありがとう。」


そう言って撫でてあげると耳をペタンとさせて目を細めて気持ち良さそうにしている。

尻尾はぶるんぶるんに揺れている。

くーちゃんにはいつも助けられているんだからこれくらいしてあげないと罰が当たるよね。


後から這い出て来た二人は魔物の小山の様子に目を見開いて


「「なに これ……。」」


まぁそうなるよね。

それが普通の反応だと思う。

夜に近寄って来た魔物はくーちゃんが狩ってくれるの。

だからいつも食料の確保はこうやってしてるのよ。

あら、今日はお初の魔物が居るわね。

犬顔で人型の魔物ね。


「コボルトですね。 あとは小鬼や兎に猪も居る。」

「ねぇ、これってもしかしてコカトリスじゃない?」


ん、リズさんどれ?

ああ、それね。 鶏と蛇を混ぜたような大きな鳥の魔物の事?


「それなら時々くーちゃんが狩って来るわよ。」


「はい? これってBランクの魔物なんだけど。」


そうなの?

え、メロディちゃんも知ってた?

知らないのは私だけ? おかしいな。

でも美味しいのよ、コカトリス。

今度ご馳走してあげるわね。

そう言いながら狩られた魔物をストレージに仕舞う。

朝ごはん食べて少し休んだら出発よ。

順調に行けばお昼ごろには到着するんじゃないかしら。



街までの道すがらお喋りを楽しんだ。

私がこの世界に来てからまだ1ヶ月ちょっと、こっちの世界の常識とか全然知らない事だらけで変な事とかしないようにまずは情報収集をしないと。


「オルカさんて冒険者ランクは何ランクなんですか?」

「そうそう、あれだけ強いんだからDランクは行ってるでしょ。 もしかしてCランクとか?」


え、なぁにメロディちゃん。


「私まだ冒険者登録してないけれど?」


「「えっ? 未登録? じゃあ今までどうやって。」」


あら、何か不味かったかしら?

でも本当の事だもの、隠しても意味ないしね。

二人ともビックリしてるけどそんな驚く事なのかな?

はい? 路銀はどうしてたのかとか、食べ物はどうしてたのか?

護衛も無しに一人は危険じゃないのかとか色々聞かれたけど、私にとっては一人がデフォだから。

それにくーちゃんて言う心強い相棒が居てくれるからね。

路銀は少し持ってるし、まぁまだ使った事ないからあれだけど。

食料はくーちゃんが狩ってくれるし果物なんかは森で採取出来るしね。

食べる物に困るって事はなかったわよ。


「それにこの森そんなに危険じゃないしね。」


「「違う違う、森はどこも危険だらけよ!」」


あれ? そうなの? 


「不思議ね。」


「「不思議なのはオルカさん!」」


むう、不思議ちゃん扱いって、二人揃って失礼ね。

ぷんすか。

別に怒ってないけど怒ってるふりね。

なんだかこれが標準になりつつあるわね。

お喋りしながらも『探知』と『鑑定』は忘れない。

有用な物があればストレージへ収納しつつ歩を進める。


冒険者ギルドに同行して魔物の件の報告が済んだら私の用事に付き合って欲しいんだけど、


「いいかしら?」


「「いいよー。 で、用事ってなに?」」


まずは冒険者登録して、採取した薬草や狩った魔物の買い取りとかして欲しいの。

それで路銀の確保が出来たらくーちゃんも泊まれる宿を見つけなきゃ。

武器や防具なんかも見てみたいし、バッグとかの道具類も欲しいし。

次は食料と調味料の買い出しかな。

買えるだけ買ってストックしときたいしね。

衣類! 今着てるのは森の中に居る時はいいけど、普段着や寝る時用のとかも欲しいの。

あとは下着! これ必須!! 下着と色んな布を買いたいなって。

今着てる下着って可愛くないのよ!


「取り合えずこれくらいなんだけどいい?」


「ずいぶんあるのね。 まぁいいわ、他ならぬオルカさんの頼みだもの。」

「付き合ってあげる、メロディもお願いね。」

「分かったよー。」


よし、これで安心安全なナビゲーターGetよ。


お喋りしながら歩いていると森を抜けて平野へ出た。

平野に出てから街道沿いにしばらく歩くと城壁のある街が見えて来た。

こちらの世界に来て初めての人の住む街。

どんなだろう? ちょっとドキドキね。


高くはない城壁に門の両脇に1人づつ門番が立っている。

何か見てチェックしては通行人を通している。

商人らしき人、冒険者みたいな人、あとは普通の町人みたいに見える人。

みんな順番に並んで自分の番を待っている。


「ね、あれって何してるの?」


リズさんに聞くと


「あれは市民カードのチェックをしてるのよ。」


市民カードってあれよね、女神様が用意してくれたヤツ。

あれがないと街に入れないとか何とか。

私はストレージから市民カードを取り出して首にかけ直す。

最初女神様から頂いた時は革紐だったんだけど切れると失くしちゃうかなって思って金属製の細いチェーンに作り直した。

冷たくて硬質な金属チェーンの感触が心地いい。


視線を感じてそちらの方向を見てみると二人が私の市民カードをジッと見ている。

ん? なにか変?

特に何か可笑しいとこってないハズなんだけど。


「その市民カードについてる紐って金属製? 金属で出来たそんな細い紐なんて初めて見た。」


リズさんが私の市民カードの金属チェーンを手に取りながらしげしげと眺めている。

そうなの?

もしかして私またやっちゃった?


「リズ、ほらオルカさんだから。」

「そうよね、オルカさんだものね。」


そこでそうゆう納得の仕方ってどうなの?

なんか釈然としないわね。



「次っ!」


あ、ほら門番の人に呼ばれてる。

私たちの番よ、早くしないと!

いよいよね。





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