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192 - 連邦中枢領域 その2

 返礼砲を撃ってから4時間が経過した。

 そしてその返礼砲も無事ガス惑星に着弾した。

 天体観測室で全員一緒に見物したが、中々派手な結果だったと思う。


 ラング、タマミちゃんは、おやつを齧りながら、感想を言っていた。映画を見ているような気安さだ。

 ミルアさんは、同じように野菜スティックを齧っていたが、途中でピタリと音が止まって動かなくなっていた。

 ボルグ、シンリーは砂地の上で休んでいたが、気泡が多かったので呼吸が少し乱れていた……のかしら?

 タイロス兄弟はデータを眺めながら、そのお嫁さん達は大きな口を開けながら高速で会話を交わしていた。ニッキーがジェッカに首を絞められて、呻き声が響いて来たのが印象に残っている。

 アマリリスとリンドウは、自分たちも撃ちたいと言っていたが、そこは禁止の一点張りだ。予定に無い事をすれば、戦争が始まってしまう。最後に、エンジュにお説教されて小さくなっていたのはご愛嬌。

 白猫豹族の方々は静かだったけど、瞳孔が開いていたのでたぶんビックリして言葉も出なかったのかしらね……



 そして、そんなイベントを横目に見ながら我々の艦隊は歓迎艦隊の間を抜け、もう少しで中性子星系の半ばを超える。

 歓迎艦隊は全く動かず、傍目にはキラキラの歓迎状態を維持している。

 おそらく私たちがこの宙域を離れるまではあの状態で待機なのだろう。


 我々の艦隊の進路には、速度を低めに取った先導艦隊が待っている。

 先導艦隊との合流まで後10分ほどだ。

 カダンさんによれば、この辺で先導艦隊と管制通信を行うとのこと。

 そんなことを考えていると、ちょうど通信のコールが入った。


「艦長、先導艦隊から通信です。出ますか?」

 

「えぇ、スクリーンへ回して頂戴」


 スクリーンに山羊から進化したと思われる男性が映る。

 一言でいうなら、ゲームでよく見るバフォメットだ! 

 凄い造形! とか言ってる場合ではない。本物だ。


 もちろん制服を着ているし、変な杖を持っている訳では無い。頭に乗っているのも軍帽だ。

 帽子を突き抜けて生えている角が、緩く湾曲しているのが特徴的だが、誠実な軍人に見える。

 ただ、”瞳” にとても目を引く特徴がある。瞳孔が横長なのだ。

 目が少し動くと、さらに不気味な印象が増す。


『こちらはA3連邦中央行政管区所属、行政府直属警備艦隊です。遠き道を辿り、遥か彼方より、"深淵の岸" へようこそ。あまねく生命体の共存と深淵の恵みの共有に感謝いたします』


 そこで切られても、何と答えればいいのか分からない……

 おそらく定型句の挨拶だと思うが……ミルアさんが視界の端で慌てているのが見える。


 どう返答しようか考えていると、すぐに山羊族の目がクルリと回り、姿勢を正す。


『……これは失礼しました。文化圏が異なっていることを失念しておりました。改めて、皆様を歓迎いたします。これより先は、我々警備艦隊と共に行動していただきます。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします』


 めっちゃ丁寧な人だわ……印象で決めつけちゃだめよね。


「こちらはYYN国、フォージニアス艦隊提督カンナヅキ・ユメです。歓迎に対して感謝いたします。艦隊行動に関して、了解しました」


『それでは、早速ですが通信リンクの確立と、航法制御リンクをお願いしてもよろしいでしょうか?』


 不用意に実施していい物なのか分からないので、エンジュに確認する。

 エンジュによるとあまり前例はないが、特に問題になるようなことは無いらしい。

 ただ、昔の帝国にこんな要求を突きつける国はなかったと、少しオコである。


 要求されているのは、一般航行スペックの公開と航行コントロール権の移譲だ。

 人の監視のみで信頼に任せて移譲するのは危険だが、エンジュが常に監視している為、危険な行動は未然に防ぐことが出来るとの事だ。


「問題ありません」

 少し余裕を出す為に微笑みかけてみるが、あまり反応はない。


『それではリンクを開始します。通信リンク……確立。航行スペック……確認。航路適合性チェック……確認。問題ありません、流石ですね。半端な船では BH(ブラックホール)に近づくことも出来ませんが、何の問題もありません』


 微笑みかけた効果かどうか分からないが、少し褒めてくれた。

 なれなれしくする必要までは無いが、和やかな空気は大事よね。


「この後の予定に関して、聞いてもよろしいですか?」


『もちろんです。この後、我々の艦隊と合流し、ワープで第二恒星基地に向かいます。到着は20時前後になります。基地より先は行政長または外交官を乗せた船だけが通過可能となっております。従いまして、基地周辺で艦隊再編をお願いします。その後、基地から連邦中枢ステーションまでは通常航行となります。およそ9日間の移動になりますが問題ありませんでしょうか?』


 うげ、ここで9日間も掛かるのか……ちゃんと聞いていなかったが、ワープが使えないのはやっぱり大変だ。

 BH星系という巨大なサイズが、こんな所で牙を剥いてくるとはね……


 とは言え、会談の約束もしちゃったし、白猫豹族の人達は運んで行かなきゃならないし、いまさら嫌とは言えない。

 忌避感が顔に出ないように、笑顔を固定しておく。


「はい。問題ありません」


『それでは、まずは合流致しましょう。貴艦隊の操舵コントロールを預かります』


「どうぞよろしく、お願いします」


ポーン 『 操舵コントロールは外部接続へ移行しました。 戦術士官および航宙士は、安全プロトコルを確認してください。 』


「艦長、操舵コントロールを失いました~」 ラングがコミカルに両手を上げている。

「先導艦隊からの操舵コントロールを受付中……艦隊減速中です。先導艦隊との相対速度が小さくなります。推定合流時間……7分です」 とタマミちゃん。


「コース確認。障害物ありません。先導艦隊の行動に異常ありません」 とミルアさん。


 みんなの役割が少しずつ変わって、少しぎこちない。


「なんか、自分で動かしてないってだけで違和感が凄いな……」 とラング。

「私も、何か、ちょっと不安よ……落ち着かないわ」 とタマミちゃん。


 二人もそれだけ職務に馴染んだということだろう。


「昔は航宙管制局にコントロール権を渡しても、何とも思わなかったんですが……やっぱり何か違いますね」 とミルアさん。


 そうこうしている間に、先導艦隊に追いつき、艦隊が重なり始まる。


『こちら行政府直属警備艦隊です。只今よりワープフィールドフォーメーションを編成します。提示したフォーメーションで問題が無ければ、承認願います』 


 エンジュが頷くのを確認して、承認。

 我々の球状の艦隊編成の前半四分の一辺りに、先導艦隊が配置されている。艦隊の内側だが、先導と言えるような位置だ。

 彼らにしてみれば、我々の砲門の前に、背中を預けて立つような状態な訳で、彼らもまた肝が据わっている。


『ワープフィールドの互換性は確認済みですので、同種単一のフィールドを使用します。ワープ時は自力でフィールド維持を行っていただきます。エネルギー使用に関して、承認を頂けますか?』


 こちらとしては何も懐は痛まないので承認。


『ありがとうございます。おっ!……っと、失礼しました。中々見ない桁のエネルギー表示に少々驚いてしまいました。凄いですね! ……合流シーケンス完了確認ヨシ! 快答に感謝いたします。……たまに大国でも渋るお方がいるので困るのですよ……っと、余計な事を口走りましたね。……ワープフィールド同調シーケンス完了確認ヨシ! 問題なければこのままワープに入ります。よろしいですか?』


 最初の印象よりは、だいぶマイルドな印象になったバフォメットさん。

 誉め言葉の「さしすせそ」と、自己開示の返報性を使いこなすシゴデキな営業マンだ。軍人だけど。

 そういえば名前を聞いていなかった。そのうち聞いておこう。


「はい、よろしくお願いします」


『≪こちら行政府直属警備部所属、第一警備艦隊です。YYN艦隊と合流完了。これより規定手順に従い第二恒星基地に向かいます。オーバー≫』

『≪こちら中央航宙管制室、航宙計画を了解した。星のご加護を≫』


 先導艦隊が、管制室との通信を混ぜて送ってきているようだ。

 ほどなく先導艦隊のコマンドリンクで艦隊がワープに入る。

 こちらが公開した一般航行スペックに合わせたワープ速度だ。


 ここまでは、順調ね!

来週はGWで一回お休みにさせて下さい。


お読みいただいている皆様、ありがとうございます。

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