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手に入れた1%

 「じゃあ、保子。行ってくるわね。あ、今月分入れておいたから。……、えっと、頑張ってね」


 「……、うん。ごめん。ありがとう」


 毎日、こんな会話を繰り返している。


 ママは落ち込み気味の娘に気を使ってか、就職のことには口を出さなくなっていた。


 私がパソコンで仕事先を探していると思っているので、陰ながら応援と言う姿勢なのだろう。


 しかし、ついこの間も書類選考で不採用通知をもらったばかりだ。面接にすら進めていない。


 ごめんね。ママ。私、たぶん当分ニートのままだわ。


 だが、そんなこと言えるはずもなく、後ろめたい気持ちを抱きながらパソコンの前に座る。完全にルーティーンになってしまった動きである。


 さてと、現実ではこんな狭い世界で生きている私だが、このワールドインベントの中では違う。あの魔法を使えば私は何でも手に入れられる。


 あ、そう言えば今月分くれたって言ってたっけ? え~と、ハンドバッグは……?


 「あれ? 何これ?」


 信じられないことに、財布の中には1万円が20枚入っていた。毎月のお小遣いは2万円と決まってるのに、ママどうしたんちゃったんだろう?


 千円札と1万円札を間違えたのかな? 千円札20枚を入れようとしたとか。まぁ、あとで返しておこう。


 所詮、現実での使い道などほとんどないのだ。完全に引き籠り状態だもん。


 ゲームが始まるや否や、すぐに『魔法』のアイコンをクリック。今日こそは私も手に入れてやる。この世界の1%を。


 なんか世界征服でも目論んでるような雰囲気だが、所詮ゲーム内の話である。


 結果はあっという間に出た。魔法のメッセージを閉じるともうすでに自分の家がとんでもない豪邸に変わっていたのである。所持アイテム数やお金も見たことのない数字になっていた。


 よし。HAMIにメッセージを送っておこう。


 しかし、しばらくしても返信は来なかった。おかしい。いつもなら数分で返してくるのに。


 今日はまだログインしてないのかな? でも、あいつも引き籠りだし。他にやることなんてなさそうだけど。仕方ない。直接遊びに行ってみるか。


 早速HAMIの家を目指したのだが、ワールドマップには昨日の豪邸の姿はなくなっていた。


 代わりによく見覚えのある小さな家がぽつんと建っていた。HAMIが前に住んでいた家である。


 一体どうしたんだろう?


 家の中を覗いてみたが、人の姿は全く見えなかった。


 代わりに、ベージュ色のヒトデみたいなものが床に落ちているのが見えた。あれは……?


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