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廃屋出身の魔導師  作者: 煌陰
10/17

グランドへ

 家に入りリンダさんに自分と前と同じようにしてくれと頼んだ後はまだ朝飯の途中だったので朝飯をさっさと食べた。その後は洗い物の手伝いをして2階に行きこれからの事を考えてたらジミルに呼ばれた。


「なんですかー?」

「ちょっと話したいことがあるんだー」


 話したいこと?一体何だろうか。

 そう思いながら1階の台所に行った。


「まあ、座ってくれ」


 自分が台所についたらジミルにそう言われた。


「何ですか、ジミルさん」

「お前ギルドに入ってないって言っていただろ、だから今からギルド行って冒険者登録して来ようぜ」

「それはまた急ですね」

「これからも旅をしていくんならギルドに入っていた方が色々と便利だからな。それとモンスターを倒して証明部位を持っていったら金が貰えるんだぜ」


 成程ね、そこらへんは想像通りって事か。


「分かりました」

「そんじゃあ決まりだな」


 そう言って立ち上がり家を出て行こうととしたが、急に立ち止まった。


「ホープ、そう言えばお前さスキル持っているか?」

「いえ、持ってませんよ?」

「そうか、持っていないなら先に神殿に行って祝福受けた方がいいな」

「祝福って行ってすぐ貰えるもんなんですか」

「冒険者はみんな受けてるぜ。勿論リンダもな」

「そうなんですか?」

「ああ、リンダのスキルは攻撃補助だ」

「それって珍しいんですか?」

「…いや、4人に一人は持っているありふれたスキルだ」

「なんかすんません」


 自分の言葉は少し痛かったみたいだ。


「祝福受けるって言ってもこの村に神殿なんてありましたっけ?」

「いや無いよ、だからグランドに行く必要があるな。大体あそこまで4時間かかるから往復8時間、グランドにいる時間含めれば9時間かかるな。って事は今10時ぐらいだから帰り着くのは7時か…すまんリンダ弁当作ってくれないか」

「はいはい、わかりました」

「いえ、弁当作る必要はありませんよ?」

「いや、普通に必要だろ。ホープ腹減らないのか?」

「いや、だって往復2時間で行けますし」

『はあ!?』

「片道30kmでしょ?そんなの1時間…いえ、30分で行けますね」

「そういえば魔法使いだったな…加速系が使えるのか」


 忘れてたんか。


「だったら昼飯だけでいいな」

「昼飯、自分が持っているんで作らなくていいですよ」

「どこに持っているんだ?」

「此処に『無限収納空間(インベントリ)』」


 名称を言ったら手元に黒い空間が現れた。


「この中に…ほら!」


 自分が取り出したのは缶詰だった。


「何だそれは?」

「これは缶詰っていってですね、この缶切りで蓋を開けると中には食べ物が入っているんですよ。あ、鮮度なら問題ありません。これは保存食なので」

「さっきのインベントリだったか?あれは何なんだ?」

「ああ、あれですか。あれは無限収納空間、重さ・大きさ・量の制限が無い空間です。しかも時間が止まっているので、その中に入れた物は劣化しなくなるので生ものをどんなに長く入れていても腐ることはありません」

「やっぱり魔法か。しかしそんな魔法聞いたことがないな」

「まだ出回ってないんでしょうね」


 そこまで言って行く準備が整ったらしくジミルが玄関で自分を呼んできた。


「じゃあ行ってくる」

「リンダさん行ってきます」

「はい、いってらっしゃい。怪我をしないようにね」


 そうしてグランドに行くべく自分たちは家を出た。

 家を出たら隣の家からもおじさんが弓矢を持って出てきた。


「よお、ベン!」

「おっす、ジミル!今からどこ行くんだ?」

「お前こそ何処行くんだよ」

「俺は森にビビットを3匹程捕りにな。ところでどうしたんだその子供、攫ってきたのか?」

「チゲえよ!何でお前もリンダと同じ事を言うんだよ!」

「だってお前、いかにもしそうな顔してるし?」

「…オレそんな顔してる?」

「してるしてる、なあ坊主?」


 (コクコク)


 確かにジミルは顔だけ見れば結構(いか)つい。


「ほら、坊主も頷いてるぞ?」

「マジかよ…」

「それで?どうしたんだよ、その子供」

「いやな、どうやら旅をしてるらしいんだが道に迷った上記憶喪失みたいだからよ今家に泊めているんだ」

「そうか、奥さん喜んでいただろ」

「ああ、子供ができたみたい、って凄く楽しんでいたよ」


 リンダさん、そんなふうに思っていたのか。


「それで冒険者登録してなくて祝福もまだ受けてないって言うから今からグランドに行って祝福受けてくる」

「グランド行くって、そんな荷物で大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫。3時間で戻って来るから」

「はあ?」

「コイツ…まだ言ってなかったな。名前はホープだ」

「ホープ・オリーラと言います。以後お見知りおきを」

「おお、ずいぶんとしっかりしてるな…」

「だろ?でコイツは魔法使いで加速系使えるからよ。それで片道1時間だ」

「成程ね、気をつけて行ってこいよ」

「ああ、分かっている。そういえばホープ、お前無限収納空間(インベントリ)の中からビビット何匹も取り出してなかったか?」

「ええ、あと30匹程残ってますよ。よかったら差し上げましょうか?」

「いいのか?」

「ええ、勿論。自分は食べきる自信がありませんから。『無限収納空間インベントリ』」


 現れた黒い空間からまだ皮を剥いでないビビットを3匹取り出した。


「ああ、ありがとう。ジミル、まさかコイツは…」

「ああ、時空属性も使える」


 ニヤリとしながらジミルは答えた。


「おいおい時空属性って10万人に一人くらいしか扱えないんじゃなかったか?」

「その10万人に1人のやつだ」


 結構扱える人少ないのね。


「しかしいくら魔法を使えてもスキルが分かってないと駄目だろ?」

「まあそうだな。気をつけて行ってこいよ

「ああ、行ってくるよ」


 その後は特に誰とも合わず村の門まで着いた。


「そんじゃあホープ頼んだぜ」

「はい、『浮遊アンチグラビティ』」

「おっと、っぶねぇな」


 突然浮いた自分の体にびっくりしたようだ。転ぶ事はないのに。


「大丈夫ですよー、転ぶ事はまずないんで」

「そうか」

「じゃあ行きますよ『移動ランチャー』『推進ジェット』」

「どわっ!?」


 進み出したらジミルがビックリしていた。まあ、そうだろう。自分達が歩いているスピードは時速4kmくらいなのだから。


「でも今何kmなのかが分からないな…『速度計スピードメーター』」


 魔法が発動すると視界の片隅に数字が出てきた。きっちりデジタルである。


 今の速度は…まだ20kmか。まだあげる。


「『推進ジェット』」

「まだ上げるのかあ!?」


 ジミルが何か叫んでいるが気にしない。ちなみに曲がる時はどうしてるかというと曲がる方向に身体を傾けている。


「ちょっとホープ待てって!」


 気にしない、気にしない。


 その後はジミルが叫んでいたがそれ以外は問題なく1時間でグランドに着いた。


「『解除』」


 魔法を解除したら隣からベシャっと音がしたから見てみればジミルがうつ伏せでたおれていた。


「ジミルさん大丈夫ですかー?」

「お前もうちょっと俺に優しくしろ…」

「してますよ?それより急ぎましょう神殿はどこにあるんですか?」

「まだグランドに入ってすらいないだろうが。すみません」


 ジミルが声をかけたのは門番だった。


「何だ?グランドに来た理由を言え」

「コイツが冒険者登録するけど祝福受けてないっていうから祝福を受けさしにね」

「そうか、ならよし。ようこそグランドへ!」


 どうやらOKが出たようだ。


「1つ質問いいですか?」

「何だ坊主」

「街の中で加速系魔法は使ってもいい?」

「ああ、別にかまわん。人に当たらせんなよ?」

「良かった『加速アクセル』」


 魔法を発動するとみんなの動きが少しだけ遅くなった。どうやら加速系魔法は脳の情報処理速度と神経の信号伝達速度を上げる魔法のようだ。


「ジミルさんが先に行ってください。自分は付いて行きますから」

「わかった」


 その後の動きはとても速かった。おそらく時速20kmは出ていたはずだ。


「ホープ、さっきもこれを使っていれば良かったんじゃないか?」

「これは重ねがけが出来ないんですよ」

「それなら仕方ない」


 神殿までは3km程、約9分で着いた。


「『解除』」

「そんじゃあ祝福を受けに行くかね」

 神殿は中々に大きかった。市の体育館ほどはあるだろうか。木製のドアを開けると女の人がよってきた。


「ようこそいらっしゃいました。何のご要件でしょうか」

「祝福を受けに」

「それでしたらこちらへどうぞ」


 そうして自分たちは横の通路を通って奥へと進んで行った。

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