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俺、悪役騎士団長に転生する。  作者: 酒本アズサ


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250/271

250.

俺、悪役騎士団長に転生する。コミックス1巻好評発売中!

お買い上げくださった皆様ありがとうございます!

「そろそろ宿屋を決めた方がよさそうだな」



 薄暗くなってきて、チラホラと酔っ払いの姿も見える。

 よそ者は酔っ払いにとって格好の獲物だろう。

 よさげな宿を探すため、辺りを見回しながら歩いていると、視界の端に路地の奥で子供が連れ去られているのが見えた。



「シモン、藍之介、誘拐だ。追うぞ」



 返事を待たずに走り出すが、二人がついて来ているのは足音でわかる。

 市壁の外と違って、中央の中は柄の悪そうな奴を見かけなかったから、突発的な誘拐ではなく、あの子供が狙われていた可能性が高い。

 一瞬しか見えなかったが、ヒラヒラした服装で、裕福な家の子だとすぐにわかった。



 この辺りの地理はわからなくても、碁盤目状の造りをしているから迷う事はないだろう。

 後ろにいるシモンにハンドサインで先回りする旨を伝え、身体強化で一本隣の道から先回りする。

 相手は追いかけられている事には気付いていたようだから、ヘタをすれば子供が危険だ。

 先回りした角から、出会い頭にぶつかるようにして子供を救出した。



「ぐあっ! 何だ貴様! そのガキを返せ!」



「震えている子供を渡す気はない。お前を逃がすつもりもな」



 俺が言い終えると同時にシモンが男に飛びかかる。

 魔法鞄から取り出した縄を使い、手際よく男を縛り上げた。



「放せっ! 貴様らどうなっても知らないぞ!」



「黙らせましょう」



 藍之介が氷魔法で男の口を塞いだ。

 くぐもった声で余計に騒いでいるのは、氷が冷たいせいだろう。

 しもやけになっても同情はしないがな。



「もう大丈夫だぞ。自分の家の場所はわかるか? わかるなら送って行くが、わからないなら役人がいる所へ行けば何とかなるだろう」



 震えながら俺にしがみついている子供の背中をトントンと叩いて落ち着かせていると、同じ服を着た男達が数人こちらに走って来た。



「貴様ら動くな! その方を返してもらおう!」



 どうやら子供の家の者らしい。

 顔を上げた子供がホッとしている。恐らく子供の護衛だろう。

 だが、縛り上げられた犯人がそこにいるのに、俺達を取り囲んで剣を向けるのはどうかと思う。



「子供が誘拐されて焦っているのはわかるが、状況判断は正しくすべきだぞ。そこの口が凍っている男が誘拐犯だ」



 視線で男を示すと、いきなり口を覆っていた氷が赤く染まり、地面に広がっていく。

 どうやら奥歯に毒を仕込んでいたようだ。



「見るな」



 血を見て怯えている子供の目を手で覆う。

 見たところジェスより少し小さいから九歳くらいだろうか。



烈陽(リエヤン)、この者達は(わたし)を助けてくれたのだ。この者達がいなければ、お前達は追いつけなかっただろう。屋敷で丁重にもてなせ」



 裕福な家の子かと思ったが、この偉そうな口ぶりからして、貴族か豪族の子供なのかもしれない。

 烈陽(リエヤン)と呼ばれた若い男が剣を納めると、他の護衛達も剣を引いた。



「いや~、勘違いして申し訳ない! 賊から若様を助けてくれてありがとうございました。若様もこう言ってるんで、屋敷まで来てもらっていいですかねぇ?」



 さっきまでの緊張感は何だったんだというくらい、いきなり軽い口調で話す烈陽(リエヤン)

 俺と同じくらいの年齢に見えるが、俺達の対応をしているところを見ると、護衛達のリーダーのようだ。



「礼には及ばない。それに宿を探している最中に連れ去られているのを見かけて追いかけたから、これから宿を探さないといけないんだ」



 子供の震えが止まったのを確認して、地面に下ろす。



「それなら(わたし)の屋敷に泊まればいい! ついて来い!」



 俺の服の裾を掴んで、子供が歩き出した。

 子供の一存で決めていいのかと、烈陽(リエヤン)を見ると、苦笑いしながらも頷いている。

 屋敷がどこにあるかわからないが、この速度だと辺りが真っ暗になってしまいそうだ。

 子供の脇に手を差し込み、ヒョイと抱き上げる。



「方向を教えてくれ。このまま移動した方が早いだろう?」



「う、うむ。烈陽(リエヤン)、先導せよ」



「はいは~い。ああそうだ、俺は烈陽(リエヤン)、あんたらの名前を聞いてもいいか? 見たところ全員他国から来たみたいだけど」



 ニコニコと人懐っこそうな笑みを浮かべてはいるが、目の奥に警戒の色が見て取れた。

 子供の身元はしっかりしていそうだし、俺達の事を話しても大丈夫だろう。



「俺はジュスタン、こっちはシモン、服装が俺達と違うのは藍之介だ。見ての通り他国から来ているから、これから都に行って皇帝に滞在の許可をもらいに行くつもりだ」



 そう答えた瞬間、子供と烈陽(リエヤン)の表情が変わった。

 烈陽(リエヤン)は一瞬ためらった後、口を開く。



「俺達も明日都に向けて出発するんだけど、一介の他国の民が皇帝陛下に拝謁するのは無理だと思うけど?」



「こう見えても俺はラフィオス王国という国の貴族でな。身分証には山脈の向こうのエルドラシア王直筆の裏書もある。それに、藍之介がいれば向こうから会いたいと言われるかもな」



「ほぅ、そなたはジュスタンと申すか。貴族であれば(わたし)の傍に(はべ)っても問題あるまい。(わたし)を助けた褒美として、(わたし)に仕える事を許そう」



 何を言い出すんだこの子供は。

 呆れた目を向ける俺達と違い、子供の護衛達は喜んでいいんだよ、と言わんばかりの笑みを浮かべていた。

 この子供、どこの大物貴族の子供なんだ。

お気付きの事と思いますが、藍の名前を変更しました。

今後エルフの名前が再登場する時に、元の名前に付け足された状態になる人がいると思います。

理由はもちろん散々間違えたからですw

藍之介だったら絶対蘭と間違えない!

というわけでご了承ください。

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