第71話:【巨大ロボット世界の買収】『合体・変形プロセス』は燃費とタイパの無駄です。スーパーロボットを『多次元重機(リース車両)』として現場に投入しました
「いくぞみんなッ! 3つのメカが一つに! 究極無敵のォォ……超・銀河・合体だあああぁぁぁッ!!」
養殖宇宙・第11ブロック。
高層ビルが立ち並ぶ未来都市の上空で、巨大なエイリアン(敵)を前に、熱血主人公の少年が操縦桿を力強く握りしめていた。
BGMが最高潮に達し、3機のメカが光に包まれながら複雑な変形機構を稼働させる。合体完了まで約45秒。この間、敵はなぜか手出しをしてこないという『絶対の暗黙の了解』が機能している――。
「そこまでだ。……貴殿らのその『無駄に長い合体シークエンス』にかかる45秒間で、我が社の競合他社は多次元インフラ工事を3件完了させているぞ」
ガキィィィィン!!
合体途中のメカのコックピットの風防に、真っ黒なリクルートスーツに身を包んだ新人社畜(レベル9999勇者)アークが、音もなく張り付いていた。
彼は聖剣ではなく『社用車の不正改造および目的外使用の禁止通達』をガラスに勢いよく叩きつけた。
「な、なんだお前!? どうやって上空1000メートルのコックピットに!? ていうか合体の邪魔をするな!」
「合体中の無敵時間? ああ、その『ご都合主義のバリア』みたいな無駄なコードのことかしら」
アークの背後からゼータが現れ、魔剣を軽く一閃した。
ロボットを包んでいた『合体バンク(謎の発光エフェクト)』が、分子レベルで美しくスライスされ、メカの合体は空中で「ただの金属の衝突事故」へと物理的にダウングレードされた。
「ひぃぃ!? オイル漏れ! 排気ガス! そして無駄に破壊されたビルの残骸! なんだこの極めて不衛生で資産価値を下げる戦場は!!」
さらに元・神(清掃員)が激怒しながら乱入。高圧聖水スチームモップで、巨大ロボットが撒き散らしたオイルや、破壊された都市の瓦礫を猛烈な勢いで洗浄・圧縮していく。
数秒後には、未来都市は更地となり、チリ一つない『テラリウム第11ブロック・重機駐車場』へとリフォームされてしまった。
「……なるほど。これが『巨大ロボット』ですか。巨大な質量と出力は素晴らしいですが、そのエネルギーを『ただ敵を殴るため』だけに使っているのは、重機として致命的な運用ミスですね」
私は、ピカピカに整備された駐車場の白線の上へ、プルプルと這い出した。
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【第11ブロック:巨大ロボット世界・多次元重機化プロセス】
1. 武装の完全スクラップ化(担当:バレル):
バレルが重力魔法でメカを強制着陸させる。
「ロケットパンチ」や「胸からのビーム」といった生産性のない過剰武装をすべて重力で圧縮し、有価金属としてスクラップ売却(初期投資の回収)。
2. OSの社畜仕様アップデート(担当:AIオメガ):
「パイロットの感情で出力が上がる」という非科学的で不安定なAIシステムを初期化。
AIオメガが『テラリウム燃料効率最適化ナビ』をインストール。燃費が1%でも悪化すると、コックピット内に激辛の始末書フォーマットがポップアップする仕様に変更。
3. 多次元リース契約の締結(担当:アルド):
パイロットの少年たちにヘルメットと作業着を渡し、「君たちのロボットは今日から我が社の『リース重機』だ。月々のリース代(DP)を払うために、多次元のダンジョン建設現場で働け!」と強制雇用する。
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「やあ、パイロットの少年たち! 素晴らしい操縦技術とG(重力)への耐性だ!」
完璧なビジネススマイルのアルドが、完全に安全基準(テラリウム仕様)を満たしたロボットの前で、黄色い安全ヘルメットを手渡した。
「君たちのメカは、我が社の技術部によって『ロマンチックなカラーリング』から『視認性の高い建機イエロー(黒と黄色のトラ縞)』へ再塗装させてもらった! 無駄な変形機構も溶接して固定したから、これでもうメンテナンス費用は大幅カットだ!」
「お、俺たちのスーパーロボットが……ただのデカいショベルカーみたいに……!」
少年がコックピットの中で涙を流す。
「その通り! 君たちのロボットは今日から『テラリウム建設・第11機動重機小隊』だ! 第8ブロックの物流トラックが運んできた資材を使い、第6ブロックの『脱出ダンジョン』の増築工事を行ってもらう! さあ、納期は明日だ。徹夜で掘って、積んで、建てまくれ!!」
「ふざけるな! 俺は地球の平和を守るためにこの機体に乗って――」
少年が反抗しようとした瞬間、アークが聖剣の柄をカチャリと鳴らし、レベル9999の『凄まじい現場監督のオーラ』を放った。
「……平和を守る? 利益を生まないタダ働きを地球の平和とは呼ばない。今日のノルマ(ビル100棟の建設)を終えるまで、コックピットのハッチは外からロックさせてもらう。……安全第一で働け」
冷徹な社畜の瞳に見下ろされ、少年の熱き正義の心は「こいつらには熱血など一切通じない」という絶対的な絶望へと変わった。
「……う、うおおおおおッ! 俺の……俺の重機操縦テクニックで、テラリウムのトップ現場監督になってやるあああ!!」
少年は涙を拭い、テラリウム指定の作業着を着込んで操縦桿を握り直した。
感情エネルギー(オーラ)はすべて『ショベルの採掘速度』へと変換され、彼らはテラリウムの建設部員として、徹夜で全次元のインフラ工事を続ける狂気の重機オペレーターへと転生したのである。
チャリン! チャリン! チャリン!
チャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリン!!!!!!!!!!!!
巨大ロボットたちがその圧倒的なパワーで多次元のダンジョンや施設を爆速で建設していくたびに、工期の大幅な短縮による莫大な利益(DP)が我が社の口座へと雪崩れ込んでくる。
「ロマンと変形」という非効率なエネルギーは、一滴残らず「重機リース・インフラ整備・利益」という究極のブラック労働システムへと完全に組み込まれた。
「……ふふっ、素晴らしいですね。巨大兵器の平和的(暴力的)利用とはまさにこのことです。これで我が社の多次元展開スピードは、さらに天文学的に加速するでしょう」
私は、建設現場を見下ろすプレハブ小屋の特製プール(ロボットの排熱を利用した温水)の中で、プルプルと至高の悦びに浸った。
「船長! 建設部の稼働率が1000%を突破しました! 次のターゲットですが……AIオメガの解析によると、養殖宇宙・第12ブロックの【モンスター収集・育成世界】です! 彼らはモンスターを小さなボールに捕獲し、バッジを集めるために無料で戦わせています!」
アルドが、可愛らしいモンスターたちの図鑑が描かれた事業計画書を掲げて報告する。
「おや、モンスター収集ですか。生体リソースを無料で野放しにし、あまつさえ『子供のペット』として遊ばせているとは……資産の深刻な機会損失ですね」
私はプルプルと邪悪に震え、目を細めた。
「さあ皆様、休んでいる暇はありません。次はあの非効率なモンスター育成システムを没収し、我が社の『完全自動化・高密度生体リソース工場(ガチャ排出システム)』として徹底的にマネタイズしに行きましょうか!」
元・神のスライム率いるテラリウム・ホールディングス。
巨大ロボットのロマンすらも重機リース事業に解体したその漆黒の経営戦略は、次なる標的である「モンスターとの絆」すらも、血も涙もない完全自動集金システムへと染め上げるべく、次元の扉を粉砕するのであった。




