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『VRMMOの極悪テラリウム運営 ~可愛いスライムですが、効率化のためにトップ配信者たちを肥料にしていく~』  作者: リリリリス


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第1話:神攻略のつもりが、生態系の餌

【作業枠】第4区画の維持管理と、今月の資金繰りについて【初見歓迎】


そんな地味すぎるタイトルの配信枠で、私は小さくため息をついた。


「皆様、ごきげんよう。本日は月末ということで、少々DPのやり繰りに難航しております。ご覧ください、私の体もストレスで少し液状化が進んでしまいました」


カメラに映るのは、半透明で丸みを帯びた、ごく一般的なスライムの姿だ。


私はプルプルと体を揺らしながら、モニターに表示された『エセルガルド・オンライン:サーバー運営コスト警告』の文字を冷めた目で見つめる。


『主、また溶けかかってるぞ』

『維持費カツカツで草』

『エセオン公式、このスライムに給料払ってやれよ』


私の配信には、物好きにも数十人の固定リスナーがついている。彼らのチャットを横目に、私はダンジョンの管理パネルを操作した。


「現在、私が手塩にかけて育てている『第4区画:放棄された発光研究所』ですが、この未知の植物群を維持するための魔力コストが想定以上でして。今日中に1万DP稼げなければ、この美しい生態系がサーバーから強制削除されてしまいます」


『世知辛すぎる』


『誰か早く攻略(養分に)来てあげて!』


リスナーが同情のコメントを寄せる中、ダンジョンの入り口のセンサーが甲高いアラートを鳴らした。


「……おや」


モニターを切り替える。


そこに映っていたのは、全身を最高級のユニーク装備で固めた5人組。

大手ギルドのリーダーであり、エセオン攻略ランキング常連の『炎刃のレオン』だった。


「大変素晴らしいタイミングです。彼らの装備の純度と魔力量……計算するまでもなく、極上の肥料ですね」


私はスライムの短い手を伸ばし、キーボードを叩く。


レオン達は今、私の愛する『第4区画』の入り口――タイル張りの無機質な通路に足を踏み入れたところだった。


レオンの視界には、VR特有の半透明なステータスウィンドウが浮いているはずだ。


『さぁてリスナー共! 今日こそこの不気味なバグエリア、俺の最強スキルでぶっ壊してやるぜ!』


レオンの配信枠では、大量のギフトが飛び交い、視聴者からの『オーディエンス・バフ』が彼に付与されていく。


「よし、まずはこの光る草ごと、通路の罠を焼き払う! 《エクスプロージョン・フレア》!!」


レオンの杖から、通路を埋め尽くすほどの巨大な炎の渦が放たれる。

圧倒的な火力。普通のダンジョンであればモンスターも罠も消し炭になるだろう。


「……ああ、素晴らしい熱量です。まさに計算通りですね」


私は淡々と解説を始めた。


「レオン様が焼き払おうとしたあの光る植物は、『変異性・熱源吸収体』。強力な熱や魔力を浴びるほど、それを栄養として爆発的に成長する性質を持っています」


炎を浴びた植物たちは燃えるどころか、その魔力を吸い尽くし、瞬く間に増殖した。


『は……? なんだこれ、燃えねぇぞ!? むしろ増えて――ぎゃああああっ!?』


通路を埋め尽くした極太のツルが、逃げ場を失ったレオン達を飲み込む。


彼らがバフを得るために放った「最強スキル」こそが、この生態系における「最悪の成長トリガー」だったのだ。


「彼らのおかげで、この通路は世界で一番植物が元気な場所となりました。いやはや、あそこまで育てるには本来数百万DPかかるのですが……お客様ご自身が栄養となってくださるとは、感無量です」


『性格悪すぎww』

『バフ貰って自爆してるの芸術点高い』

『エセオンの運営、これ見てるか?』


管理画面には、チャリン、チャリンと莫大なDPが加算されていく。


「さて、この臨時収入をどう使いましょうか」


私は軽快にキーボードを叩き、新たな設備をインストールした。


「この通路から最深部の栄養貯蔵庫まで、自動で遺品を運んでくれる『肥料用・自動搬送コンベア』を設置いたしましょう。これで私の睡眠時間も確保できますね」


『そういうとこだぞww』

『命の扱いが軽すぎる』

『全自動肥料回収システム完成してて草』


私は画面の端で、プルプルと嬉しそうに跳ねる。


その裏で、トップ配信者たちの絶望のデータが、ただの「肥料」としてコンベアで運ばれていることも知らずに。

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