魔力操作、循環 2
誤字脱字があるかもしれません、ご了承ください。
少し場所を変えて再び修行に取りかかる。
「体内の魔力の流れを感じることができたなら、例えば炎弾を背中で発動させるときに背中に魔力が流れる感じがするだろ?」
「うん」
「あれを体内でぐるぐる回すイメージなんだよ」
「なるほど、わからん」
「とりあえず炎弾を発動してみな」
「うん、炎弾」
近くににあった1本の大木に向けて放った炎弾は大木を根元から折った
「今、炎弾を放ったとき手に魔力が流れたのが分かっただろう?」
「うん」
「今度は炎弾を放つ直前で発動するのを抑えてみな」
「やってみるよ」
「炎弾」
詠唱と同時に右手に集まった魔力を瞬時に体内に散らす。
散らすのが甘かったのだろうか、少し炎弾が発動してしまった。
「それだけ出来れば上出来さ、なにか変化はあったかい?」
「うん、魔力が逆流してくる感じがしたよ、あと一瞬だけど右腕が凄く軽くなったような気がする」
「それを今度は詠唱なしで腰から胸のあたりまで何回も往復させてみな」
言われた通り腰のあたりに意識を集中させる、そして心の中で炎弾の詠唱を行うと魔力が腰の辺りに集まり始めた、それをゆっくり胸のあたりに持っていく。
「――あっ」
胸のあたりからまた腰に移動させる段階で集めていた魔力が体中に散らされた。
「ハァハァ……」
気がつくと息が上がり汗だくになっていた。
毎日走り込んでいるので体力に自身はあったのだが。
「ハァハァ……思ったより…ハァハァ…しんどいね…ハァ……これ」
「最初はしんどいとは思うけど、何回も練習を重ねていくうちに楽になるさ、無意識に往復させれるようになるまで暇があれば練習してな」
「ハァハァ…ふぅ…わかった」
思わずその場に座り込んでしまった。
息を整え返事をする。
「体力が回復したら地上に戻ってもう一度練習だよ、このダンジョンにはもうあんたの戦闘訓練の相手が努まるモンスターはいなさそうだ」
「うん、わかった、でもその前に」
「さっきの月牙狼を食べたい」
あたりに静寂が訪れる。
「………はぁ…あんたは本当に……いいよ、料理するから早く持ってきな」
「うん!行ってくる!」
「ただいま!」
そう言うとアミィは恐ろしい速さで、自分の身長の数倍はある月牙狼の死体を運んできた。
「……早いね…よし!さっさと解体するよ!」
「お供します!師匠!」
目の前には調理された月牙狼のステーキが山のように並べられていた。
「「いただきまーす」」
2人が手を合わせて同時にそう言い終えるとアミィは瞬時に行儀悪く素手でステーキ肉を食らう。
「こらっ!あんたまたフォークを使わずに食べたね?次素手で食べたらこのステーキは全部没収だよ!」
「ほへんははい(ごめんなさい)」
「食べながら喋らない!」
怒られながらもアミィはステーキの美味しさに浸る。
始めてあの狼を見た時から確信していたのだ。
こいつは美味い、と。
溢れ出る肉汁、柔らかくて実にジューシーだ。
美味しさのあまり、思わず目を細めてしまう。
気がつけばアミィの前の皿に積まれていたステーキは無くなっていた。
アイミスは視線に気づく。
熱い視線でヨダレを垂らしながらアイミスの皿を見つめているアミィの姿があった。
「……はぁ…ほら、あたしの残りの分、分けてあげるよ」
「本当に!?ありがとう!」
そう言うとアミィは分けてもらったステーキを口いっぱいに頬張りながら幸せそうに笑う。
「それを食べたら出発するよ!」
帰路の途中に何人かの冒険者に囲まれた。
「君!さっき角魔熊の群れを一人で倒してた子だよね!?」
「やーん!この子ちっちゃくて可愛い!それなのに強いとか最高!」
後ろから抱きついてきた女性の大きな胸が頭の上に乗って重い。
「是非、うちのパーティに入ってくれないかい?」
「悪いけど、師匠との修行があるから入れないよ、ごめんね」
そう言って勧誘を躱すと絡まれたくなかったのか、先に行ってしまったアイミスを走って追いかける。
「いつでも待ってるからねーーー!」
後ろの方で聞こえてくる大声に軽く手を振り答える。
よほど絡まれたくなかったのか、アイミスに追いつく前にダンジョンから出てしまった。
ダンジョンの入口から少し離れた場所でアイミスが待っていた。
「よし、それじゃあ今日の寝床を探しに行くよ」
「はいよー」
二人はまた森の深くに消えていった。
ご拝読ありがとうございます!
まだまだ続きますので今後ともよろしくお願いします!!