1 タイムスリップ
「あっ」
23xx年、木星ー土星間を航行していた豪華客船ライトニック号は、ミサイルを喰らい、機関部に大きな損傷を受けてしまった。幸い、機械室にいたのは一人しかいなかった。その一人が問題だったのだが。さて、爆発によって暴走した機械に巻き込まれた一人の少年は、莫大なエネルギーをまともに喰らい、時空の彼方へ放り出されてしまったのである。
「ああ」
目を開けると、目には青い空が飛び込んできた。白い雲もである。ここはどこなのだろうか。見渡すと、大きなビルや小さな一軒家があった。少年は自分の目を疑った。周りの物がいくらなんでも古すぎるのである。昔、人類は地球という、青い海と空がきれいな星に住んでいた。しかし、アメリカ?という国とロセア?という国が戦争をしたことで、地球は住めないまでにぼろぼろになってしまったのである。そこで、人類は地球を捨て、すでに開発が行われていた火星に移った。少年は幼いときこんな話を聞いた。眼の前の今の光景は、昔聞いたその星の景色にそっくりである。
「ここは、地球なのか。」
呆然としていた少年は、続けて、自分をみた。服は着ていた。携帯用レーザー銃も持っていた。しかし、少年は違和感を覚えた。いくら念じてみても、脳内インターネットが繋がらないのである。そして、気づいた。今は、自分たちの時代より少なくとも200年ほど古い時代なのである。つながるはずがない。しばらくして、時空の彼方へ飛ばされた少年は、目的もなく歩き出したのである。
程なくして、少年は声をかけられた。声を掛けたのは、40代ほどの、青年である。その人は、紺色の服を着ていた。少年は、軍人を疑ったが、それにしては肉がつきすぎである。
「君、どこの子だ?ここらへんでは見ない顔だ。」
「あんた誰ですか」
「いいからどこの子か答えろ」
「遠くの親に捨てられてここに来ました」
「かわいそうだな」
「よかったら、しばらく家においてくれませんか。お願いします」
「しょうがねえヤツだな。よし、ついてこい」
こうして、青年は歩き出した。どうせ、時空を超えてきたと言っても信じられまい。少年は、とっさに出た嘘に感謝しながら、ついて行った。道は、黒っぽい物質でできていた。アスファルトだとしたら、珍しい。宇宙探査船にも、貨物船にも、巡洋艦にも、アスファルトは脆すぎて使い物にならないのである。横に生えている草は、どんな種類なんだろうか。そんなくだらないことを考えながら、少年は歩いていたのである。




