今までのあらすじ1〜5話。
あらすじです。
【第1話】とある道場と普通の高校生
昭和の港町・本牧。
剣豪・出雲武命が立ち上げた武術道場『極鋭館』は、現館長・狛へと引き継がれ、その圧倒的な「出雲流神速剣」の遺伝子は息子の匠へと受け継がれていた。
全国大会を連覇するほどの卓越した腕前を持つ匠だったが、彼が望んだのは過酷な鍛錬の日々ではなく、自由気ままな『高校デビュー』。
父から突きつけられた「エリート進学校への合格」という無理ゲーな条件を、持ち前の執念で突破した匠は、見事、超名門・水蘭高校への切符を毟り取る。
一方、共に汗を流した幼馴染の八雲華奈は、別の高校へと進学。
入学式当日。ひときわ目を引く美貌で男子生徒たちの注目をかっさらう華奈の前に、高身長イケメンとなった匠が迎えに現れる。
「タクちゃん、一緒に帰ろう!」
甘い愛称、そして格上の超進学校のエンブレム。
一瞬にして恋の夢を打ち砕かれたモブ男子たちの阿鼻叫喚と、絶望の呪詛が横浜駅西口に響き渡る。それが、後に訪れる運命の引き金になるとも知らずに。
【第2話】匠
高校のオリエンテーションを終えた匠は、母親の顔を立てるために剣道部への入部を決める。
しかし、入部の手続きの裏で一悶着が発生。入部を認める条件として匠が手渡されたのは、先輩部員たちが誰一人として手を焼いて扱えなかった、曰く付きの『一本の槍』だった。
だが、匠がその柄を握った瞬間、槍はまるで吸い付くように馴染み、何ら問題なく一閃される。
放課後、昨日と同じように華奈と帰路につく匠。
華奈は当然のように匠の部屋へと上がり込み、二人の距離は急速に縮まっていく。
匠に対して隠しきれない特別な感情を抱く華奈。彼女が、ただの幼馴染の枠を超えた「自分の本当の気持ち」に気がついたのは、かつて起きた『とある事件』がきっかけだった。
【第3話】華奈
幼い頃、剣道に打ち込む匠の背中に心奪われ、自らも剣の道を歩み始めた八雲華奈。
二人は家族同然の絆で結ばれ、中学時代までは互いを異性として意識することのない、いわば「脳筋」な兄妹のようなライバル関係を築いていた。
しかし、高校受験を控えたあの夏、二人の境界線が揺らぐ。
進路が分かれる寂しさを抱えるなか、横浜開港祭の夜に一人になった華奈は、ガラの悪い男たちに絡まれてしまう。
絶体絶命のピンチに駆けつけ、圧倒的な気迫で男たちを退けたのは、他ならぬ匠だった。
彼に強く抱きしめられ、窮地を救われたその日を境に、華奈の胸には安堵だけではない小さな「恋心の棘」が深く突き刺さる。
そして中学を卒業したある夜、華奈は匠の部屋への「突撃お泊まり」を強行。至近距離で伝わる彼女の体温に、匠の理性は決壊寸前へと追い込まれていく。
【第4話】届かない心の距離
甘い夢から目覚めた朝。
匠の部屋に泊まり込んだ華奈は、密かに抱き続ける「ファーストキスの秘密」を胸に秘めながら、からかうように匠を大慌てさせる。
しかし、甘い夜の代償はすぐに訪れた。道場に向かった匠を待ち受けていたのは、緩んだ精神を叩き直そうとする父・狛の容赦のない居合の猛特訓(報復)だった。
痣だらけになり、強い姉たちや母に囲まれた賑やかな朝食の席から自室へと逃げ帰った匠。
部屋で華奈と共に、部活の先輩・愛莉から譲り受けた「禍々しい槍」の手入れを始めるが、匠が刃に打粉をコンコンと叩いた瞬間、脳内に少女の悲鳴のような謎の声が響き渡る。
異変を察した二人は、お祓いをしてもらうため本牧神社へと全力で駆け出す。
一方、その槍の内部──漆黒の異空間では、打粉の衝撃に「変なところを突かれた!」と大騒ぎする魔族のメアリーと、それに呆れるアングィスによる、外界の緊迫感を無視したコミカルなドタバタ劇が繰り広げられていた。
【第5話】打粉が暴いた、槍の秘密
今朝のハプニングを引きずる匠は、華奈の手を握る照れ隠しに、槍を抱えて神社へ猛ダッシュ。
対する華奈は、いざとなったら槍を物理破壊する気満々の「脳筋姫騎士」の片鱗を見せつける。
神社に滑り込んだ匠は、神主の許可を待たずにお焚き上げの燃え盛る炎へと槍を力任せに投げ入れた。
熱風を嫌がった槍の中の二人──アングィスとメアリーがほんの少し力を使ったことで、槍は燃えることなく、空間の隙間へと忽然と姿を消す。
お祓いは成功したかに見え、安堵して極鋭館へと戻る二人。
しかし、華奈と匠の背中には、禍々しい青白い銀鱗の破片が密かに張り付いていた。
その頃、放課後の部室には消えたはずの槍が音もなく戻っており、部長の愛莉は、槍によって記憶を奪われ、恐怖の対象すら忘れてただ静かに立ち尽くしていた──。
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