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不合格から始まる聖医の絆 ―踏切を越えた先、異世界で命を繋ぐ―  作者: ねこあし


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第47話 「四天王の試練」

 翌朝、六人は訓練場に集まった。


 いつもより早い、朝五時。


 まだ、空は暗かった。


 訓練場には、既に四人が待っていた。


 フェンリル・ストームブレイド。


 そして、見たことのない三人。


「おはよう、銀の絆」


 フェンリルが挨拶した。


「紹介しよう。四天王の残りの三人だ」


 一人目は、女性だった。


 二十代後半。赤い髪、緑の目。


 弓を背負っている。


「私は、アリア・フレイムアロー」


 女性が自己紹介した。


「弓術と魔法の専門家です」


「よろしくお願いします」


 二人目は、大柄な男性だった。


 四十代。筋肉質の体、傷だらけの顔。


 巨大な斧を持っている。


「俺は、ガルム・アイアンハンマー」


 男性が、低い声で言った。


「体術と防御の専門家だ」


「よろしく」


 三人目は、若い女性だった。


 二十代前半。黒い髪、神秘的な雰囲気。


 杖を持っている。


「私は、ルミナ・スターライト」


 女性が、優しい声で言った。


「回復魔法と支援魔法の専門家です」


「よろしくお願いします」


 六人は、深く頭を下げた。


「よろしくお願いします」


「では、説明する」


 フェンリルが前に出た。


「これから三ヶ月、お前たちは我々四人から訓練を受ける」


「私は、剣術と戦術」


「アリアは、弓術と攻撃魔法」


「ガルムは、体術と防御技術」


「ルミナは、回復魔法と支援魔法」


「それぞれ、専門分野を教える」


「スケジュールは、こうだ」


 フェンリルが、紙を渡した。


『週間スケジュール


月曜日:フェンリル(剣術・戦術)

火曜日:アリア(弓術・攻撃魔法)

水曜日:ガルム(体術・防御)

木曜日:ルミナ(回復・支援魔法)

金曜日:総合訓練(四天王全員)

土曜日:実戦訓練

日曜日:休息・自主訓練』


「厳しいスケジュールだが、ついてこられるか?」


「はい」


 六人が答えた。


「よし。では、今日から始める」


 第一週:月曜日


 フェンリルの訓練が始まった。


 剣術の訓練。


 でも、今回は以前と違った。


 フェンリルが、新しい技を教えてくれた。


「これは、『連撃剣』という技だ」


 フェンリルが、剣を振った。


 一撃、二撃、三撃。


 瞬時に三回の攻撃。


 速く、正確で、強力だった。


「この技は、連続攻撃で敵を圧倒する」


「お前たちも、覚えろ」


 セリアとダリウスが、練習を始めた。


 最初は、うまくいかなかった。


 タイミングが合わない。


 でも、何度も練習した。


 一週間後、セリアが成功した。


 三連撃。


 速く、正確に。


「よくやった」


 フェンリルが満足そうに言った。


 第一週:火曜日


 アリアの訓練が始まった。


 弓術の訓練。


 アリアは、リーナを特に熱心に指導した。


「あなたの弓、基本はできています」


 アリアが評価した。


「でも、まだ応用技が足りない」


「応用技……?」


「はい。例えば、『分裂矢』」


 アリアが、矢を番えた。


 そして、放った。


 矢が空中で分裂し、五本の矢になった。


 全ての矢が、異なる的に命中した。


「すごい……」


 リーナが驚いた。


「これが、分裂矢です」


「一本の矢が、複数の敵を攻撃できます」


「覚えてください」


 リーナが、練習を始めた。


 難しかった。


 矢に魔力を込め、特定のタイミングで分裂させる。


 全てを、完璧にコントロールしなければならない。


 でも、リーナは諦めなかった。


 二週間後、ついに成功した。


 矢が分裂し、三本の的に命中した。


「素晴らしい」


 アリアが拍手した。


 また、アリアは攻撃魔法も教えた。


 エルミナが、主に学んだ。


「無詠唱魔法は、できるようになりましたね」


 アリアが確認した。


「では、次は複合魔法です」


「複合魔法?」


「はい。二つ以上の属性を組み合わせた魔法です」


 アリアが、手をかざした。


 炎と風の魔法を同時に発動する。


 炎が、風に乗って巨大な炎の渦になった。


「これが、複合魔法『炎嵐』です」


「単独の魔法より、遥かに強力です」


 エルミナが、練習を始めた。


 難しかった。


 二つの属性を同時にコントロールする。


 でも、エルミナは魔法の天才だった。


 三週間後、成功した。


 氷と風の複合魔法『氷嵐』。


 強力な吹雪が、訓練場を覆った。


「完璧です」


 アリアが微笑んだ。


 第二週:水曜日


 ガルムの訓練が始まった。


 体術と防御の訓練。


 ガルムは、トムを特に厳しく指導した。


「お前の体術、悪くない」


 ガルムが評価した。


「でも、防御が弱い」


「攻撃ばかりで、守りがおろそかだ」


「そうかもしれません……」


 トムが認めた。


「じゃあ、防御技術を教えてやる」


 ガルムが、構えた。


「俺が攻撃する。お前は、防御しろ」


 ガルムの拳が、トムに迫った。


 速く、重い。


 トムは、咄嗟に腕で防いだ。


 でも、吹き飛ばされた。


「ダメだ。腕で受けるな」


 ガルムが指摘した。


「体全体で、衝撃を受け流せ」


 ガルムが、正しい防御の型を教えた。


 相手の攻撃を、体の角度で受け流す。


 力ではなく、技で防ぐ。


 トムが、練習を始めた。


 一週間、二週間、三週間。


 徐々に、防御が上達していった。


 四週間後、トムはガルムの攻撃を完璧に受け流せるようになった。


「よくやった」


 ガルムが、トムの肩を叩いた。


「お前、強くなったな」


 また、ガルムは他の五人にも防御技術を教えた。


 セリアには、盾を使った防御。


 ダリウスには、魔法障壁の強化。


 リーナとエルミナには、回避技術。


 あかねには、槍を使った防御。


 全員が、防御の重要性を学んだ。


 第三週:木曜日


 ルミナの訓練が始まった。


 回復魔法と支援魔法の訓練。


 ルミナは、あかねを特に丁寧に指導した。


「あなた、聖魔法が使えるんですね」


 ルミナが、優しく言った。


「はい……」


 あかねが答えた。


「素晴らしいことです」


 ルミナが微笑んだ。


「聖魔法は、最高位の回復魔法です」


「でも、まだ完全には使いこなせていないようですね」


「そうなんです……」


 あかねが認めた。


「使うと、すごく疲れてしまって」


「それは、魔力の使い方が非効率だからです」


 ルミナが説明した。


「聖魔法は、確かに強力です」


「でも、正しく使えば、疲労を最小限に抑えられます」


 ルミナが、聖魔法の効率的な使い方を教えた。


 魔力を集中させる方法。


 無駄な魔力を使わない方法。


 全てが、実践的だった。


 あかねが、練習を始めた。


 二週間後、あかねは聖魔法を以前より遥かに効率的に使えるようになった。


 同じ治療でも、魔力消費が半分になった。


「素晴らしい」


 ルミナが喜んだ。


「これで、長時間の戦闘でも回復役を務められます」


 また、ルミナは支援魔法も教えた。


 エルミナとあかねが、主に学んだ。


「支援魔法は、仲間を強化する魔法です」


 ルミナが説明した。


「攻撃力を上げる魔法、防御力を上げる魔法、速度を上げる魔法」


「様々な種類があります」


 エルミナとあかねが、練習を始めた。


 三週間後、二人は基本的な支援魔法を使えるようになった。


「これで、パーティの戦闘力が格段に上がります」


 ルミナが満足そうに言った。


 第五週:金曜日


 総合訓練の日。


 四天王全員が、六人を指導した。


 模擬戦闘。


 六人対四天王。


 圧倒的な力の差。


 でも、六人は諦めなかった。


 新しく学んだ技を使い、全力で戦った。


 セリアの連撃剣。


 リーナの分裂矢。


 エルミナの複合魔法。


 トムの防御技術。


 あかねの効率的な聖魔法。


 ダリウスの強化された魔力剣。


 全てを駆使して、戦った。


 結果は、負けた。


 でも、以前より遥かに長く戦えた。


「よくやった」


 フェンリルが言った。


「お前たち、確実に成長している」


 第十二週:最終週


 三ヶ月が経過した。


 六人は、見違えるほど強くなっていた。


 技術、魔力、体力。


 全てが、向上していた。


 最終日、四天王全員との最終試験があった。


「今日が、最後の試験だ」


 フェンリルが言った。


「六人全員で、我々四人と戦え」


「制限時間は、十五分」


「十五分間、耐えられれば合格だ」


「分かりました」


 六人が構えた。


 戦闘が始まった。


 激しい戦い。


 四天王の攻撃は、容赦なかった。


 でも、六人は三ヶ月の訓練で鍛えられていた。


 連携は完璧。


 新しい技も、自在に使いこなす。


 セリアとダリウスが、フェンリルとガルムを相手にする。


 リーナとエルミナが、アリアを相手にする。


 トムとあかねが、ルミナを相手にする。


 いや、違う。


 あかねは、回復と支援に専念している。


 仲間を治療し、強化魔法をかける。


 完璧なサポート役だった。


 五分、十分、十二分……


 まだ、六人は全員立っている。


 疲れているが、諦めていない。


 十四分……


 そして――


 ピー!


 タイマーが鳴った。


 十五分が経過した。


 六人は、地面に倒れ込んだ。


 でも、笑っていた。


 やり遂げた。


「合格だ」


 フェンリルが、六人に手を差し伸べた。


「よくやった、銀の絆」


「お前たちは、Sランクに匹敵する実力をつけた」


「本当ですか!」


 六人は驚いた。


「ああ。自信を持て」


 アリアが微笑んだ。


「もう、お前たちは一流の冒険者だ」


 ガルムも頷いた。


「強くなったな」


 ルミナも微笑んだ。


「これから、封印の旅に出るんですね」


「はい」


 セリアが答えた。


「頑張ってください」


 ルミナが、六人を抱きしめた。


「世界を、救ってください」


「はい」


 その夜、エルヴィン院長が六人を呼んだ。


「三ヶ月の訓練、お疲れ様でした」


 院長が言った。


「四天王からの報告を受けました」


「皆さんは、Sランクに匹敵する実力をつけたとのことです」


「素晴らしい」


「ありがとうございます」


「では、明日から封印の旅に出てもらいます」


 院長が、地図を広げた。


「まず、最も近い『北の氷結の地』へ向かってください」


「そこで、第一の封印を強化してください」


「分かりました」


「準備は、整っていますか?」


「はい」


 六人が答えた。


「よろしい。では、明日の朝、出発してください」


「凛が、案内役として同行します」


「はい」


 六人は、部屋を出た。


 廊下で、凛が待っていた。


「おめでとうございます」


 凛が微笑んだ。


「三ヶ月、本当によく頑張りましたね」


「凛さんのおかげです」


 あかねが答えた。


「いえ。あなたたちの努力です」


 凛が続けた。


「明日から、いよいよ封印の旅ですね」


「危険な旅になるでしょう」


「でも、あなたたちなら大丈夫」


「必ず、成し遂げられます」


「ありがとうございます」


 その夜、六人は宿舎の屋上に集まった。


 星が、綺麗に輝いていた。


「三ヶ月、経ったのね」


 セリアが呟いた。


「あっという間だったわ」


「でも、濃密だったわね」


 リーナが続けた。


「私たち、本当に強くなった」


「ええ」


 エルミナが頷いた。


「Sランクに匹敵する実力」


「信じられないわ」


「でも、これからが本番だ」


 ダリウスが真剣な表情で言った。


「封印の旅」


「命がけの試練」


「そうね」


 トムも頷いた。


「でも、俺たちなら大丈夫」


「あかね」


 セリアが、あかねを見た。


「あなたは、選ばれし者」


「私たちは、あなたを支える仲間」


「一緒に、世界を救いましょう」


「うん」


 あかねが微笑んだ。


「みんなと一緒なら、何でもできる」


 六人は、手を重ねた。


「『銀の絆』、ファイト!」


 全員が、叫んだ。


 声が、夜空に響いた。


 明日から、新しい冒険が始まる。


 封印の旅。


 闇の王を倒すための、最後の準備。


 六人は、覚悟を決めた。


 どんな困難も、乗り越える。


 仲間と一緒に。


 パーティ『銀の絆』として。


 世界を救うために。

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