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不合格から始まる聖医の絆 ―踏切を越えた先、異世界で命を繋ぐ―  作者: ねこあし


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第10話 「新たな門出」

 森を抜けてから、三日が経った。


 五人は、平原を歩き続けていた。


 見渡す限り、草原が広がっている。時々、小さな丘や、点在する木々が見える。空は青く、白い雲が流れている。


「もうすぐよ」


 セリアが、前方を指差した。


 遠くに、街の輪郭が見えた。城壁に囲まれた、大きな街。フィルダの三倍はあるだろうか。


「あれが、リベルタ?」


 あかねが目を凝らした。


「ええ。自由都市連合の、東の玄関口。人口は二万人以上よ」


 トムが驚いた表情をした。


「二万人……フィルダの六倍以上じゃないか」


「そうよ。東西の交易の要所だから、常に商人や旅人で賑わってるの」


 エルミナが説明した。


 五人は、歩調を速めた。


 やがて、街が近づいてくる。


 城壁は、フィルダよりも遥かに高く、立派だった。石造りで、所々に見張り塔が立っている。商業都市として栄えているだけある。


 城門の前には、長い列ができていた。商人の隊商、旅人、冒険者、農民。様々な人々が、入城を待っている。


「すごい人……」


 あかねが呟いた。


「毎日、こんな感じなのよ」


 リーナが言った。


「朝と夕方は、特に混む」


 五人も、列に並んだ。


 前には、東方風の服を着た商人の一団がいた。ラクダのような動物に、荷物を載せている。


「あれは?」


「東方の商人ね」


 エルミナが教えてくれた。


「絹や香辛料を運んできたんでしょう」


 三十分ほど待った後、ようやく順番が来た。


 門番は、フィルダの門番とは雰囲気が違った。鎧はより立派で、表情は厳格だが、どこか洗練されている。


「身分証明を」


 門番が、丁寧だが無愛想に言った。


 セリアが、ギルドの身分証明書を出した。


「冒険者か」


 門番が、書類を確認する。細かく見ている。


「エルドランド王国のギルド発行だな」


「はい」


「目的は?」


「冒険者として、活動するためです」


「滞在期間は?」


「未定です。長期滞在になると思います」


「ふむ……」


 門番が、他の四人を見た。


「全員、冒険者か?」


「はい」


 門番は、一人ずつ身分証明書を確認した。時間をかけて、丁寧に。


 あかねの番になった時、緊張した。


「シンドウ・アカネ……変わった名だな」


「東の国の名前です」


「東方諸国連合か」


 門番が、あかねをじっと見た。


「東方の者を見るのは珍しいな。ここまで来るのは大変だっただろう」


「はい……」


「冒険者歴、一ヶ月。新人だな」


「はい」


 門番は、しばらくあかねを見つめた。


 あかねは、視線に耐えた。動揺を見せてはいけない。


「よし。通れ」


 門番が、身分証明書を返した。


「ただし、三日以内にギルドで登録しろ。エルドランド王国のギルドカードは、ここでは正式な身分証明にはならん」


「分かりました」


「それと」


 門番が、五人全員を見回した。


「この街は、自由都市だ。自由が保障されている分、自己責任も求められる」


「トラブルは起こすなよ。ここの法は、厳しいぞ」


「承知しています」


 セリアが頭を下げた。


 五人は、城門をくぐった。


 城門の向こうには、想像以上に活気に満ちた街が広がっていた。


 石畳の大通り。両脇に並ぶ店。商人の呼び込みの声。行き交う人々。馬車の音。


 そして、驚いたことに、様々な人種がいた。


 白い肌の人、褐色の肌の人、東方風の服を着た人、見たこともない民族衣装の人。


「すごい……」


 あかねは、目を見開いた。


「本当に、国際都市なんだ」


「驚いた?」


 セリアが微笑んだ。


「これが、自由都市連合よ。国籍、人種、宗教、関係なく、誰でも受け入れる」


「だから、商業が栄えるのよ」


 通りを歩くと、様々な店が目に入った。


 武器屋、防具屋、薬屋、雑貨屋、食堂、宿。


 そして、見たこともない商品を売る店もあった。


「あれは?」


 あかねが、ある店を指差した。


 店先に、色とりどりの布や、きらびやかな装飾品、不思議な形の壺や箱が並んでいる。


「東方の商品ね」


 エルミナが言った。


「絹、香辛料、宝石、陶器。遠くの国から、運ばれてくるの」


「綺麗……」


 あかねは、思わず立ち止まった。


 店の中には、美しい絹の着物のようなものが飾られている。日本の着物とは違うが、どこか似ている。


「高価なのよ」


 リーナが苦笑した。


「あの着物、たぶん金貨十枚以上はする」


「金貨十枚……」


 あかねは驚いた。銀貨千枚分だ。


「私たちには、まだ手が出ないわね」


 さらに進むと、広場に出た。


 中央には、大きな噴水がある。周囲には、露店が並び、大道芸人がパフォーマンスをしている。


 子供たちが走り回り、老人たちがベンチで談笑している。


「活気があるわね」


 トムが言った。


「フィルダとは、全然違う」


「ええ。この街は、常に動いてる。商業、文化、情報。全てが集まり、流れていく」


 セリアが説明した。


「だから、危険も多い。スリや詐欺師もいるし、裏社会も存在する」


「気をつけないとね」


 広場を抜けると、一際大きな建物が見えてきた。


 四階建ての石造りの建物。正面には、剣と盾の紋章。


「あれが、冒険者ギルド本部よ」


 セリアが指差した。


「フィルダのギルドの、五倍はあるわね」


「中に入りましょう」


 五人は、ギルドの扉を開けた。


 中は、圧倒的に広いホールになっていた。


 天井は高く、シャンデリアが吊るされている。壁には、無数の依頼書が整然と貼られている。カウンターには、二十人以上の職員が座っている。


 そして、百人以上の冒険者が集まっていた。


 剣士、弓使い、魔法使い、斧使い、槍使い、盾持ち。様々な装備、様々な人種の冒険者たちが、依頼書を見たり、仲間と話したり、カウンターで手続きをしたりしている。


「すごい人……」


 あかねが圧倒された。


「これが、リベルタのギルドよ」


 エルミナが誇らしげに言った。


「自由都市連合最大のギルド。ここから、多くの伝説的な冒険者が生まれたの」


「私たちも、ここから始めるのね」


 セリアが決意を新たにした。


 五人は、カウンターに向かった。


「すみません」


 セリアが、一人の職員に声をかけた。若い女性の職員で、効率的に書類を処理している。


「新規登録をお願いしたいんですが」


「新規登録ですね。エルドランド王国からですか?」


 職員が、ギルドカードを見て尋ねた。


「はい」


「分かりました。こちらへどうぞ」


 職員が、奥の個室に案内した。


 部屋には、テーブルと椅子、それに魔力測定器や様々な書類が置かれている。


「では、一人ずつ登録していきます」


 職員が、羽ペンを取り、書類を準備した。


「まず、お名前を」


「セリア」


「フルネームは?」


 セリアは、一瞬躊躇した。


 ブライトブレード家は、エルドランド王国では知られた貴族の名前。もし、ここでも知られていれば……


「セリア・ブレード」


 名字の一部を省略した。


「年齢は?」


「十七歳」


「ご職業は?」


「剣士です」


「武器は?」


「剣と盾」


「魔法は使えますか?」


「基本的な強化魔法だけ」


 職員が、次々と質問し、書類に記入していく。


「前のギルドは?」


「エルドランド王国のフィルダです」


「実績は?」


 セリアは、慎重に答えた。


「魔物討伐、護衛任務、物資運搬など。詳細は、フィルダのギルドに記録があります」


「特筆すべき実績は?」


「Aランク魔物、グレートベアの討伐に参加しました」


 職員の目が、少し見開かれた。


「グレートベア……それは、確かに特筆すべきですね。証拠はありますか?」


 セリアは、アイテムボックスから、グレートベアの牙を取り出した。


 職員が、牙を調べた。


「本物ですね。これは、高評価になります」


 職員が、書類に何か書き込んだ。


「では、魔力測定を」


 職員が、水晶球を取り出した。


「手を当ててください」


 セリアが手を当てると、水晶球が赤く光った。


「火属性。魔力量、中。戦士系として登録します」


 次に、リーナ、エルミナ、トム、あかねが順番に登録した。


 リーナは風属性、魔力量中。弓使いとして登録。


 エルミナは火属性、魔力量高。魔法使いとして登録。


 トムは無属性、魔力量低。戦士として登録。


 あかねの番になった。


「お名前は?」


「シンドウ・アカネ」


「珍しいお名前ですね。東方の方ですか?」


「はい」


「年齢は?」


「十八歳」


「ご職業は?」


「槍使いです」


「武器は?」


「短槍です」


「魔法は?」


「少しだけ……」


 質問に答えていく。


「前のギルドは?」


「フィルダです」


「実績は?」


「魔物討伐、護衛任務など。グレートベア討伐にも参加しました」


「グレートベア討伐に?」


 職員が驚いた。


「はい」


「冒険者歴一ヶ月で、Aランク魔物討伐とは……」


 職員が、あかねをまじまじと見た。


「才能がおありなんですね」


「いえ、仲間のおかげです」


「謙虚ですね。では、魔力測定を」


 あかねは、水晶球に手を当てた。


 水晶球が、淡く白く光った。


「無属性。魔力量、少。戦士系として登録します」


 やはり、聖魔法は検知されなかった。


 全員の登録が終わった。


「これで、リベルタのギルドに登録されました」


 職員が、新しいギルドカードを五枚渡した。


 カードには、名前、年齢、職業、ランクが記されている。


 ランクは、全員「E」。最低ランクだ。


「これが、あなたたちの新しい身分証明書です。大切にしてください」


「ランクは、実績に応じて上がっていきます。Eから始まり、D、C、B、A、そして最高位のSランクです」


「分かりました」


「それと」


 職員が、声を潜めた。


「一つ、お伝えしておくことがあります」


 五人の表情が、緊張した。


「エルドランド王国から、手配書が来ています」


 あかねの心臓が跳ねた。


「手配書……」


「はい。牢屋を襲撃し、囚人を逃がした犯人を探しているとのことです」


 職員が、引き出しから一枚の紙を取り出した。


 そこには、五人の似顔絵が描かれていた。


 ただし、かなり粗い絵で、本人と特定するのは難しそうだった。あかねの絵は、目が大きすぎて別人のよう。


「これ……私たちですか?」


 リーナが、自分の似顔絵を見て苦笑した。


「似てないわね」


「ええ、かなり粗雑な絵です」


 職員が微笑んだ。


「でも、ご安心ください」


「自由都市連合は、エルドランド王国の管轄外です。手配書が来ても、引き渡す義務はありません」


「本当ですか?」


 セリアが尋ねた。


「ええ。自由都市連合の原則の一つは、『他国の政治に干渉しない』ことです」


「ただし」


 職員が、真剣な表情で言った。


「この街で犯罪を犯せば、話は別です。そして、エルドランド王国の工作員がこの街に潜入している可能性もあります」


「大人しくしていれば、誰も追及しません。でも、目立つことは避けた方がいいでしょう」


「分かりました」


 セリアが深く頭を下げた。


「ありがとうございます」


「それと」


 職員が付け加えた。


「あなたたちの情報は、守秘義務で保護されています。ギルドの職員が、外部に漏らすことはありません」


「助かります」


 五人は、ギルドを出た。


 外に出ると、あかねは大きく息をついた。


「良かった……バレなかった」


「でも、手配書が出てるのは事実よ」


 セリアが深刻な顔で言った。


「伯爵が、本気で追ってるってこと」


「でも、似顔絵があれだけ粗ければ、大丈夫でしょ」


 リーナが楽観的に言った。


「私の絵なんて、誰だか分からないわよ」


「油断は禁物よ」


 エルミナが注意した。


「工作員が潜入してるかもしれないって言ってたわ」


「とにかく、目立たないようにしましょう」


 セリアが言った。


「さて、次は宿を探しましょう」


 五人は、街を歩いて宿を探した。


 何軒か見て回った後、『翼ある馬亭』という宿に決めた。


 三階建ての木造建築。清潔で、料金も手頃。何より、宿の主人が親切だった。


「冒険者さんたちですか? ようこそ」


 主人は、五十代くらいの男性。温和な笑顔。


「部屋は、どうされます?」


「二部屋お願いします」


 セリアが言った。


「女性三人で一部屋、男性二人で一部屋」


「かしこまりました。三階の角部屋が空いてますよ」


 部屋に案内された。


 あかね、セリア、エルミナが一部屋。トムとリーナが一部屋。


 部屋は、フィルダの『銀の月亭』よりも少し広い。三つのベッドと、テーブルと椅子、それに窓からは街の景色が見える。


「いい部屋ね」


 エルミナが窓を開けた。


 街の喧騒が、心地よく聞こえてくる。


「ここが、しばらくの拠点ね」


 セリアが荷物を置いた。


「さあ、これからどうする?」


「まずは、お金を稼がないと」


 エルミナが現実的なことを言った。


「旅費で、かなり使ったわ。残りは……銀貨五十枚くらい」


「それだと、一週間も持たないわね」


 リーナが計算した。


「宿代、食費、装備の修理費……」


「じゃあ、明日から依頼を受けましょう」


「でも、Eランクだから、簡単な依頼しか受けられないわよ」


「仕方ないわね。一から、やり直すしかない」


 セリアが決意を新たにした。


 その夜、五人は宿の食堂で夕食を取った。


 この街の名物だという、魚のシチューとパン、それにサラダ。


「美味しい」


 あかねが言った。


 魚は新鮮で、シチューのスープは濃厚。パンも焼きたてで、外はカリッと、中はふんわり。


「リベルタは港町でもあるから、魚が新鮮なのよ」


 エルミナが説明した。


「毎朝、漁船が港に戻ってくるの」


「いい街ね」


 リーナが微笑んだ。


「ここで、新しい生活が始まるのね」


「ええ」


 セリアが、グラスを掲げた。


 中には、この街の地ビール。琥珀色で、泡立ちが良い。


「新しい街、新しい生活、新しい挑戦」


「乾杯!」


 五人は、グラスを合わせた。


 カチンという音が、心地よく響いた。


「明日から、頑張りましょう」


 トムが言った。


「ああ。一から、やり直すんだ」


「でも、私たちには実力がある」


 エルミナが自信を持って言った。


「すぐにランクを上げられるわ」


「そうね。グレートベアを倒した実績もあるし」


「でも、油断は禁物よ」


 セリアが注意した。


「この街は、フィルダより危険。強い冒険者も多いし、魔物も強力」


「気を引き締めていきましょう」


「はい」


 五人は、食事を楽しんだ。


 久しぶりの、平和な時間。


 追われる恐怖もない。


 新しい門出。


 不安もある。でも、希望もある。


 仲間がいる。


 それが、何よりも大きな支えだった。


 翌朝、五人は早くからギルドに向かった。


 朝のギルドは、すでに多くの冒険者で賑わっていた。


 依頼書のボードの前には、冒険者たちが集まっている。


「さて、どんな依頼がある?」


 セリアが、ボードを見た。


 依頼書は、ランク別に分けられている。Eランク、Dランク、Cランク……


 Eランクの依頼を見ると、地味なものばかりだった。


『依頼内容:港の荷物運搬。報酬:30シルバー。危険度:なし』

『依頼内容:畑の雑草取り。報酬:20シルバー。危険度:なし』

『依頼内容:倉庫の掃除。報酬:25シルバー。危険度:なし』


「荷物運搬……」


 リーナが顔をしかめた。


「冒険者らしくないわね」


「でも、これが現実よ」


 エルミナが苦笑した。


「Eランクには、こういう依頼しかない」


「仕方ないわね」


 セリアが、一枚の依頼書を取った。


『依頼内容:港の荷物運搬。報酬:30シルバー。危険度:なし』


「これにしましょう。一番報酬が高いし」


 五人は、カウンターで手続きをして、港へ向かった。


 港は、街の南西にあった。


 大きな港で、何十隻もの船が停泊している。商船、漁船、軍船。様々な船。


 波の音、カモメの鳴き声、船員たちの掛け声、荷物を運ぶ音。


「活気があるわね」


 依頼主は、太った商人だった。赤ら顔で、いかにも商売人という雰囲気。


「おお、来たか。ギルドから来た冒険者か?」


「はい」


「よし、じゃあ頼むぞ」


 商人が、船から降ろされた山積みの荷物を指差した。


 木箱、袋、樽。様々な荷物が、波止場に積まれている。


「これを、あそこの倉庫まで運んでくれ」


 商人が、百メートルほど先の倉庫を指差した。


「全部ですか?」


 トムが、荷物の量を見て尋ねた。


「全部だ。頼んだぞ」


 商人は、そう言って去っていった。


「うわ……すごい量」


 リーナが呆れた。


「でも、やるしかないわ」


 セリアが、一つの箱を持ち上げた。


「みんな、頑張りましょう」


 五人で、荷物を運び始めた。


 箱は、予想以上に重かった。


「何が入ってるの、これ……」


 あかねが、箱を持ち上げながら尋ねた。


「たぶん、香辛料とか、金属とか」


 エルミナが答えた。


 汗だくになりながら、何往復もした。


 途中、休憩を挟みながら。


 二時間後、ようやく全ての荷物を運び終えた。


「お疲れさん」


 商人が戻ってきて、報酬の銀貨を渡した。


「またな」


 五人は、疲れ切った様子でギルドに戻った。


「疲れた……」


 あかねが、ギルドのベンチに座り込んだ。


「冒険者じゃなくて、荷物運びだったわね」


 リーナが苦笑した。


「でも、これも仕事よ」


 セリアが前向きに言った。


「実績を積めば、もっと良い依頼が来るわ」


「そうね。地道に頑張りましょう」


 その日は、もう一つ依頼を受けた。


 倉庫の掃除。


 これも、地味な仕事だった。


 でも、五人は文句を言わず、黙々と働いた。


 その夜、宿の自室で、あかねは窓の外を見ていた。


 街の明かりが、綺麗に輝いている。


 新しい街、新しい生活。


 まだ始まったばかり。


 これから、どうなるのだろう。


 不安もある。でも、希望もある。


 仲間がいる。


 セリア、リーナ、エルミナ、トム。


 信頼できる仲間。


 あかねは、左手首を見た。


 紋章は見えないが、確かに存在している。


 この紋章が、自分の運命を変えた。


 能力を授けてくれた。


 でも、同時に、危険も招いた。


 これから、どう生きていけばいいのだろう。


 答えは、まだ分からない。


 でも、一つだけ確かなことがある。


 自分には、守るべき仲間がいる。


 一緒に戦い、一緒に生きていく仲間。


 それが、何よりも大きな支えだった。


 あかねは、窓を閉め、ベッドに向かった。


 明日も、早い。


 地味な依頼かもしれない。


 でも、それでいい。


 一歩ずつ、前に進んでいく。


 それが、今の自分にできること。


 セリア、トム、エルミナ、リーナ。この「銀の絆」のみんなが隣にいてくれるから、私は怖くない。


 この異世界で得た経験が、いつか私の「本当の夢」に繋がると信じて。


 あかねは、目を閉じた。


 新しい生活が、始まったばかりだった。

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