第12話 コラボ終わりのサプライズ
「いやぁ〜、たっぷり生放送でお送りしたこのコラボ配信も、ついに終わっちゃうね。まあ、終わってみれば、なかなか……良かったんじゃないかとボクは思うんだけれど、みんなはどう?」
「おう、そーだな。最終目標のヒュドラもバッチリ倒して一段落——と見せかけて……そっからあんなヤバいお宝が出てくるもんだから、せっかく全員が無事にここまで来たってのに、最後の最後に血で血を洗う仲間割れで全滅するかと思ったが……それも何とか話し合いで解決したから、ホンっトに良かったぜ」
「うん、そうだね……今回の探索は本当に、色々と実り多い結果になったと思う。この機会をくれた夜叉姫さんには心から感謝してるし、だから改めてお礼を言わせてほしい。——ありがとう、夜叉姫さん。君の誘いを受けて、本当に良かったよ」
「わたくしからも感謝を。この度は、本当にありがとうございました、夜叉姫ちゃん。もちろん、『勇敢なる挑戦者』と『規律正しい乱暴者』の皆さんにも、感謝しております。お陰様で、良い経験を積むことができました」
「まぁな、ついでにオレ様も礼を言っておくか。ありがとな夜叉姫。とはいえ……思い返せば色々と——お前には無茶振りをさせられた気がするが……終わりよければすべてよし、と思って不問にしてやるよ。——本当は色々と言いたい文句もあるけどな……っ! だからお前も、大人で物分かりのいいこのオレ様に感謝しろよっ、夜叉姫このヤロウ!」
「何さソレ……まあでもボクも、みんなには感謝してるよ。おかげで配信も盛り上がったし、これはホントにみんなのおかげだと思ってる。ボクも今回の探索で、みんなからは色々と学ばせてもらったし……おかげで大いに成長できたよ。だからボクからも『ありがとう』だよ、みんな」
〈ニートの無職ん:カイザーの気持ちがめっちゃ分かって草〉
〈勇敢なる応援者:いやー今回の配信めっちゃ面白かったっす!! 皆さんマジでお疲れ様でしたっ!!〉
〈姫巫女様の親衛隊:終わってみれば、姫巫女様が今回の探索で手に入れたお宝はなかなか素晴らしいものでしたね……それだけでもコラボをやった甲斐があったと思います〉
〈皇帝の忠臣:コラボの相手が相手だから、普段は見れないカイザーの新しい一面を色々と観れた気がする……特に、夜叉姫さんの無茶振りで慌てるカイザー様は最高でした!笑 おかげですっげぇ楽しかったから、今回の配信めっちゃ良かったと思いまぁす!! マジであざっしたぁっっ!!〉
当初の目標もバッチリ達成したので、最後にみんなで集まってお別れの挨拶みたいなのを交わした私たち。
「さて……それじゃ、ラストはそれぞれ、自分のチャンネルのリスナー相手に、いつものお別れをして締めくくるとしようか」
「おう、そーだな」
「ええ、そうですね」
「あ、うん、そうだね」
それも終わったところで、いよいよ配信を閉じる——その前に、それぞれ自分のチャンネルのリスナーに個別に挨拶するみたいな流れになった。
というわけで私も、改めて自分のカメラに向き直る。
とはいえ……ぶっちゃけいつも適当に配信を終わらせていたから、恒例のやり取りみたいなのとかも別にないんだけどな……
まあいいや、せっかくの機会だから、ここは改まって——普段はなかなかすることない感謝の一つでもしておくとするか。
「さて……というわけで、今回のコラボ配信はここで終わるよ。リスナーのみんなも、観てくれてありがとうね」
〈ツッコミ番長:え、そんだけ? もう終わり? いや軽っ!w あれだけヤバスゴい相手との大盛況で終わったコラボの締めの挨拶としてはすっげぇ雑!w まあでも、それが姫らしいっていうか……笑〉
「うん、まあ、せっかくだからボクとしても、できることなら、ここで何か気の利いたセリフの一つでも言いたいところなんだけれど……ごめん、全然そーゆうの考えてなかったや」
〈ニートの無職ん:いいって、気にするなよ……こんな面白い配信観せてもらっただけで、こっちは満足だからな〉
「うそ、ニートがそんなこと言うなんて……え、ヤバ、ボクちょっとマジで感激したかも——」
〈ニートの無職ん:——なーんて言うとでも思ったか? そもそも誰もアンタにそんな気配りとか期待してないから、安心しろ〉
「……ニートはやっぱりニートだったか」
〈アンチ太郎:詠唱より先にそっちを考えておくべきだろ普通は。最後までグダグダな奴だな、まったく〉
〈アンチ二号:今回の配信が上手くいったのは他のメンバーのおかげなんだから、マジで調子乗んなよヤシャコ〉
「ダブルアンチーズも、いつも通りね……」
〈ラブ夜叉姫@好き好き大好き♡ズッキュン♡キュン♡:最高に楽しかったよ! お疲れ様♡〉
〈探索兵長:お陰様で、過去最高に楽しい時間を過ごせました。ありがとうございます、姫〉
〈ねっこ寝子:やっしゃん、お疲れさま。すっっっごく楽しかったよ!〉
〈浮世の社畜ん:いやー本当に最高だった今日の配信! まさかこんな配信が観られる日が来るなんて思ってなかったから、マジで感激ってか、今日ほどひいさまを推してて良かったと思う日はないですわ……!〉
〈流浪の探索者:あーほんま最高だったわ今日の配信……色々な意味で〉
〈☆脳空◎:お疲れヨルちゃ! めっちゃ楽しかった! ほんと最高だったぞい!〉
〈†漆黒の堕天使†:最高の饗宴に感謝感激……これからも君を応援し続けると、ここに誓わせてもらう〉
〈推しは君♡:よるチャン♡ お疲れ(*≧∀≦*) 最高の時間をありがとう(*´꒳`*)〉
〈病み垢@死にたい盛りのロンリーロリータ:、、、人気者になっても、わたしのことずっと忘れないでね。。。〉
〈試練の代行者:(*^ω^*)〉
〈試練の監視者(部下A):お疲れ様でした、夜叉姫どの。素晴らしい配信でした〉
〈もっこり助兵衛:超絶美少女アイドル姫巫女ちゃんとのツーショットとか、和風サムライ美少女セツカちゃんとの協力プレイとか、おねーさん的にも見どころ満載でちょー良かった! またいろんな美少女とのコラボが見たいなぁって思うくらい最高だったよん!〉
〈キチガイバーサーカー:こ゛の゛時゛間゛が゛終゛わ゛る゛の゛が゛名゛残゛惜゛し゛い゛ん゛だ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!゛!゛!゛!゛!゛〉
〈ツッコミ番長:マジでキチ◯イの言う通りで草も生えねぇ……!〉
〈やがて灰になる:すごく楽しかった……こちらこそ本当にありがとうです、夜さん!〉
「みんなっ……ううん、ボクの方こそ……ありがとうね」
(一部を除く)オリメンたちの温かい言葉に、嬉しい気持ちが溢れてくる……
「本当に……オリメンのみんながいつも通りに応援してくれたからこそ、今日の配信は何とか最後までこなせたと思ってるんだ……」
ラブちゃん謹製の秘策の効果もあるけれど——それでも私が、いつもと同じような気楽なメンタルで配信に臨めたのは、コメント欄にいるみんなが、いつも通りに接してくれていたからに他ならない。
——これがコメントのみんなも普段と違う感じだったら、きっと私も変に緊張してしまっていたと思う。
改めて思う、オリメンたちがいてくれて本当に良かったと。
「何というか……本当に、みんなには何かお礼をしたいくらいだけれど……何かあるかな? ボクにできること——」
〈ヒャッハーモヒカン:はっ、そんなん、これからも配信を続けてくれることに決まってんだろ?〉
〈terecopcy:我が姫の姿をこれからも観られるなら、それに勝る喜びはないね……!〉
「もちろん、配信はこれからも続けるつもりだから……よろしくね」
〈(・・?):ねぇ、まだ誰かとコラボしたりしないの?〉
「またコラボかぁ……そうだね、考えてみてもいいかもね。とはいえ、コラボするなら、まずは相手を見繕わなきゃなんだけれど」
〈宝塚ジュエルちゃん最推し勢(ガチ):お前、今日のコラボに味を占めてまた誰かとコラボする気なら、その時は慎重に相手を選べよ。今回上手くいったのは、あくまでも相手がめちゃくちゃ良かったからだってのを肝に銘じておかないと、次は大失敗するぞ!〉
〈MS管理人R:いやぁ姫お疲れ〜マジで最高に面白かったっす! んで、その辺は俺も気になるんやけど……コラボするかはともかく、次の配信で何するかとかは、もう決めてあったりするんかいな?〉
「あーそれね。いやぁ、それがまだなんだよねぇ。今回のコラボが大成功だっただけに、次どうしようかって、わりとガチで悩むというか……」
一気に人も増えたし、今回のコラボで色々と気がつかされたこと(魅せプレイの法則)とかもあるし……次マジでどうしようってのはマジである。
とりあえず帰ってからラブちゃん(ヒナ)に相談するかー……?
いや、今のうちにコイツらからも意見聞いておこうかなぁ……あ、そうだ、それなら——
「そうだね……なら、ちょうどいいから、次の配信の内容について意見を聞こうかな——やが灰に」
〈やがて灰になる:え、私? なぜに名指しなんですか??〉
「それはもちろん、やが灰が今回のMVPリスナーだからだよ」
〈ニートの無職ん:またなんか、いきなり初めて聞くヤツ出してきたな〉
「でもこの人選には、みんな満場一致で納得でしょ。——異論のあるヤツとかいるー? いねーだろー?」
〈ニートの無職ん:まあそれはそう〉
〈アンチ太郎:まったく反論できないけど満足か?〉
〈浮世の社畜ん:これは全員異論無し!笑〉
〈MS管理人R:さすがに認めざるを得んやろなぁ……ww〉
「というわけでやが灰、なんかあったらでいいから意見ちょうだいよ。ボクが次にする配信——こういうのが見たいとか、あそこ行ってほしいとか、あれと戦ってほしいとか……何でもいいよ。それが今回のやが灰へのトロフィーね。ボクの配信を一番盛り上げてくれた、MVPリスナー大賞の景品ってことで」
〈やがて灰になる:え、え、それって、本当に、なんでもいいんですか……?〉
「いいよ〜」
〈ニートの無職ん:おいおい、そんな安請け合いして大丈夫か?〉
「この夜叉姫に、二言はないっ!」
〈探索兵長:……長考に入りましたね。いやまあ、気持ちは分からないでもないですが〉
「……やが灰ー? 何もないなら無理して捻り出さなくてもいいよー?」
〈ツッコミ番長:どことなく不穏な気配すんの、気のせいかな……?笑〉
「いや、そんなことは……無いよね? え、ちょっと待ってよ——おーっと、何でもは言いすぎちゃったかな……?」
〈やがて灰になる:あの、無理なら普通に断ってくださっていいんですが……言うだけ言ってみてもいいですか?〉
「……よかろう、どんときなさい!」
〈やがて灰になる:では……次の配信もまた、コラボ配信をしてくれませんか?〉
「おお、やが灰もコラボ推しなんだねぇ。いいよ! いいけど……コラボは相手が必要だからねぇ、ボクが良くても相手次第なところあるから、確約は出来ないかもだけれど……あ、てか、ちなみに、コラボ相手の希望とかもあるのかな? それって」
〈やがて灰になる:……あります〉
「あ、いるんだ? それって誰? てか、ボクが知ってる人? ——って訊いても分かんないか、やが灰にも。ボクが誰を知ってて誰を知らないかなんてのは……」
〈やがて灰になる:いえ、知ってます〉
「マジ? え、ん? でも知ってるって何を?」
〈やがて灰になる:夜さんが知ってることを、私は知ってます〉
「え……?」
〈やがて灰になる:なぜなら………………コラボしてほしい相手は、私だからです〉
「えっ——?」
〈やがて灰になる:実は……私も配信探索者なんです。だから夜さん、今度一緒に、私とコラボ配信探索してくれませんか?〉
「……っえええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!?? それってマジぃ?! え、しょ、証拠あんの?」
〈やがて灰になる:ここに私のチャンネルのURLを貼っていいなら……なんならそこで、今からちょっと生配信してみせてもいいですよ〉
「…………え、じゃあ、ちょっと、お願いしてもいい……?」
〈やがて灰になる:分かりました。では、リンクを貼らせていただきますね〉
なんて言って、やが灰は本当にチャンネルのリンクを貼って——
それからマジで、そのチャンネルで突発的な生配信が始まって、そこに出てきたやが灰が、本人の口から「自分はやが灰である」と言ったことで、そのチャンネルの主だと証明してみせたのだった。
そこまでされては、もはや私もその覚悟を受け取る他なく……そのままコラボ配信のお誘いを受けることになった。
とまあ、最後の最後に、そんな特大のサプライズもありつつ……
私の初めてのコラボ配信は、大盛況のうちに終わり、最後は新たなコラボ配信の告知によって幕を閉じたのだった。




