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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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199/199

SCENE198 服の注文は忘れずに

 瞬のダンジョンから戻ってきた私は、一度ダンジョン管理局に寄る。

 そこで、とあるところへと連絡を入れる。


『なんですのよ、あたしに何か用がございまして?』


 電話の応答があったかと思えば、ものすごく不機嫌そうな声が飛んできたな。

 声で分かるのだが、私の電話の相手は横浜ダンジョンのダンジョンボスであるセイレーンだ。

 瞬に無理を言って聞き出したために、私もこうやって連絡を取り合えるようにはなった。ただ、この通り、ものすごく不機嫌な対応をされてしまうのだがな。

 基本的にダンジョンマスターと探索者は敵対している間柄だから、しょうがないといえばしょうがないんだが、さすがに第一声で罵倒はちょっと勘弁してもらいたい。


「すまないな。これからうちの大事な瞬の妹に会いに行くんだが、ちょっとおまえにも聞いておこうと思ってな」


『何をですのよ』


「いや、何か着てみたい服のデザインとかあったらと思ってな。横浜のダンジョン管理局を通じて持っていってもらうことになるから、ちょっと時間はかかるがな」


『あら、服ですのね。困りましたわね。あたし、こちらの服はあまり詳しくはありませんのよ』


 服の話を振ると、セイレーンはかなり興味を示したような反応を見せている。ダンジョンボスとはいっても、そこはやはり女性だな。服となれば簡単に食いついてくれた。

 とはいえ、年齢はよく分からないんだがな。配信を見る限り、瞬たちよりちょっと年上って感じだ。なら、イメージ的には私と大して年齢は変わらないだろう。ダンジョンが地球上に発生してから十年ちょっとという時間経過さえ無視すればな。

 正直なところ、今話をしているセイレーンも、瞬のダンジョンにいるラティナやアルカナも、見た感じは本当に幼いんだ。もしかしたら、ダンジョンの中では時間の流れが特殊なのかもしれないな。

 それはそれとして、セイレーンは服に詳しくないといっていたな。ならば、何か参考になりそうなものでも差し入れさせるかな。

 とはいえ、私もファッションには疎い方だ。私では選択を誤りそうだな。ならば、瞳に任せるのが一番いいか。

 結局、セイレーンには知り合いによさそうな服を何着か作らせるから、気に入ったのをもらってくれと伝えておいた。


(さて、これで一応話はついた。なら、そろそろ瞳のところに行くとするか)


 今日のことの報告を終えた私は、早速、瞬の妹である瞳のところへと向かうことにしたのだった。


 今回は車でやって来たから、瞬の家までは車で移動する。話が終わった後は、一度横浜に戻らないといけないからな。

 家のこともそうだが、百鬼夜行からは細かい呼び出しがあるんだ。まあ、大体は次のダンジョンのことなんだがな。ギルドメンバーは百人いるんだから、私抜きでも話はできそうなんだがなぁ。

 私が呼び出されるのには訳がある。それが、言わずと知れた瞬のダンジョンだ。血のつながりはないが、小さい頃からの知り合いゆえにその伝手をかなり頼りにされている。

 百鬼夜行がダンジョンのクリアの要と見ているのが、瞬のうろことラティナの護石だ。これで魔法と物理の両方に大きな耐性を持たせることができるからな。あと、瞬のうろこは通常物理が効かない相手に対しても攻撃を通すエンチャントがかかっている。当然、こういうことになるってわけだ。

 何度でもいくらでも手に入るとはいえ、庇護欲をそそられる私としてはあんまりいいように利用はしたくないんだがなぁ……。ただ、瞬たちの方がかなり乗り気なんで、止めることはできないんだがな。

 そんな悩みを抱きながら、私は瞬の家に、瞳を訪ねてやってきた。


「あっ、衣織お姉ちゃん。どうしたんですか」


 呼び鈴を鳴らすと、瞳が出てきた。


「やあ、瞳。ちょっと上がらせてもらってもいいかな。瞳に話があるんでね」


「私に? どうぞどうぞ。私の部屋で話をしますね」


 一瞬きょとんとした表情を浮かべたものの、瞳は快く私を家に上げてくれた。


 瞳の部屋へとやってきた私は、飲み物を持ってきた瞳に対して、ストレートに用件を伝える。

 当然ながら、瞳はものすごく驚いていたな。なにせ、ダンジョンボス二体に対して服を作ってくれという話だからな。とはいえ、過去にもすでに瞬やセイレーンに服を作る様にと話をしたことがあるんだがな。

 今回はリッチであるアルカナの服ということで、思ったよりも悩んでいるみたいだ。リッチという存在がかなり引っかかっているようだな。


「心配するな。とりあえず、年末年始の配信を見直して、イメージを固めてくれ」


「はい、分かりました」


 私があんまり気負いをしすぎるなという感じに声をかけると、私の意図とは逆に、瞳はかなり気合いを入れていたようだった。そういうのをしないでくれといったんだが、こういうところが通じないあたりは、瞬と似ているよな、本当に。

 心の中でおかしく笑いながらも、瞳に用件を伝えた私は横浜の家へと戻るために家を後にする。おばさんはもう帰るのかと残念そうにしていたな。

 今度来るのは、中学校の卒業式の日だな。瞬の卒業証書を受け取って渡さないといけないからな。

 その時を楽しみにしながら、私は車を運転して自分の家へと戻ったのだった。

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