魔国への準備
79話
エルフ達の後に付いて部屋に入ってきた者2人が優司の目に入ってきた。その者たちも優司の姿を確認して駆け寄ってきた。
「優司殿!ご無事でなによりです!」
「おお!ヤマトとムツじゃないか!?エルフの里に来ていたのか!?」
優司の前には満面の笑みを浮かべたヤマトとムツが居る。そして、優司の問いにムツが冷静に答えた。
「はい、三日前に到着したところです。エルフの方々は我ら鬼人族を快く受け入れてくれました。これも優司殿のお陰です」
「そうか、それで、リンの居所は解ったか?」
「そのことで報告がありましたので、エルフの里に参りました!」
ヤマトが少し興奮気味に答えた。そして、詳細を話そうとしたがトーマスが止めた。
「優司殿、ヤマト殿、その話の続きは全員で行いましょう!これからの対策に影響しますので」
優司とヤマトはトーマスに頷いて席に着いた。そして、トーマスは全員が揃ったところを確認して話し始めた。
「それでは皆さん、全員が揃いましたので現状の確認と今後の方針を話し合いたいと思います」
「それでは優司殿、進行をお願いします!」
「・・・えっ!俺が進行するの!?てっきりトーマスさんが進めるのかと思った!」
優司はトーマスのいきなりのふりに少し戸惑いながら話し始めた。
「まずは新しい仲間も増えたので当初の目的を再確認したい!まずはリンの奪還が第一の目的となる!そして、天魔大戦の阻止!これが第二の目的となるが、全員の認識はよろしいですか?」
優司が話すと全員が頷いた。その様子を確認して優司は話を続けた。
「それでは第一の目的であるリンの現状について解る範囲で鬼人族のヤマト殿から話を伺いたい!よろしいか?」
優司は魔国でのリンの状況をヤマトに話す様に促した。ヤマトは優司に向かって頷きながら立ち上がり、魔国での状況を話し始めた。
「申し訳ないが、リンというエルフの娘がどこに捕らわれているかは解らない・・・、しかしながら、状況を鬼人族の族長であるアラハバキ様に申し上げたところ、天魔大戦の再開は鬼人族にとっても非常に迷惑なことである。よって、リン殿の奪還に協力したいと話していた」
「アラハバキ様はリン殿の探索をヤクシャ族のヤシャに命じ、我らには優司殿達を魔国の鬼人族の元へ案内するよう命じられた!よって、我らはエルフの里へ参じた次第!よろしいか?」
ヤマトの話に全員が頷いた。そして、優司がヤマトに問い掛けた。
「協力ありがとう。どうだろう?ヤクシャ族の探索でリンは見つかりそうか?」
優司の問い掛けにヤマトは自信を持って答えた。
「もちろんです!ヤシャは鬼人族の中で一番の隠密です!我らが鬼人の里を出てから約三か月、既に見つけ出して救出しているはずです!」
「おおっ!見つけるだけでなく救出しているとな!それは頼もしいですじゃ!」
ダグザがヤマトの話に嬉しさを現した。その様子を見ながら優司は話を続けた。
「それが本当であれば非常に喜ばしいことだ!まずはアラハバキ殿の言う通り鬼人族のところへ行くべきだと思う!」
「ヴァスキ、魔国へは結構な人数で行くことになると思うが、ブラックドラゴンに乗り込むことは可能か?」
優司は魔国へ向かう人数が多くなると思い、ヴァスキに確認した。
「はい、問題ありません」
ヴァスキは即答したが、ヤマトが割って入った。
「優司殿、お待ちください!ドラゴンでの魔国への侵入には問題があります!」
「魔国の空は魔人達の領域です。警戒も強い!特に力の強いドラゴンは警戒しています!よって、直ぐに見つかってしまい戦闘になると思われます。空での戦闘では魔人達に勝てる見込みはありません!」
ヤマトの言う通りである。個々で空を飛べる魔人達と個々で空を飛ぶことができない者達での空の戦闘では一方的な戦闘となってしまうであろう。優司は冷静に考えた。
「ヤマトの言う通りだ!不利な戦闘は避けるべきだと考える!」
「ここは魔国の入り口までドラゴンで行って、魔国は徒歩で行くしかないと思う」
「みんな、それでいいな!」
優司の指示に全員が頷いた。するとムツが話し始めた。
「不浄の地を抜けた方々なので心配は無いと思いますが、魔国の徒歩での旅も厳しいものとなります。それなりの準備をお勧めします」
「厳しいとは、どのようなことなんだ!?」
トールが身を乗り出して聞いてきた。するとムツが答えた。
「はい、魔物の強さが格段に違います!この辺りでうろついている魔物より数倍は強いです!」
「そんなにか!?」
トールが驚きながら聞き返した。
「そもそも、魔国以外に生息している魔物や鬼は魔国での生存競争に敗れた者達です!まぁ、生きて逃げきれているので、それなりの強さではありますが・・・」
ムツが笑いながら話している。それを聞いていた優司が話した。
「そうか!良く解った!忠告をありがとう!」
「今聞いた通り、今まで以上の準備をしなくてはならない様だ!何か意見のある者は居るか?」
優司の問い掛けにヘパイストが話し始めた。




