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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
73/86

武闘術の解説4

72話


「最後の動作の要素だが、先ほどから出ている『掛ける』という動作となる。これは単純だから解りやすいと思うが、どうだろう?」


優司の問い掛けに一人のドラゴニュートが答えた。


「『掛ける』という動作の意味は簡単にわかりますが、なぜ重要なのですか?そこのところがよく解りません!」


「その通りだ!『掛ける』という動作は普段から行っている動作だと思う!しかしながら、武闘術での『掛ける』は動作の基本となる!例えば、物を握るのではなく物に手を掛けるといった様な感じとなる!」


「握るではなく、物に手を掛ける!?」


 先ほどとは違うドラゴニュートが呟いている。


「そう!握らずに掛ける!相手に触れるでもなく『掛ける』だ!」


 ドラゴニュートのみならず、カイやトールといった者達も不思議そうな顔をして聞いている。


「まぁ、ちょっと短絡しすぎた感じがするので補足をしよう!『物を握る前に手の凹凸を物の凹凸に掛けてから握る』という様な感覚となるが、わかるかい?」


「・・・・」


 みんなが沈黙している。


「ちょっと解りづらかったか・・・、まぁ、型を練習する中で理解できると思うから話を聞いてくれ!」

「『掛ける』という動作は先ほど話したように体にある凹凸を対象物に掛ける様に触れるという意味となる。そして、体の部位を掛けられる形状に変化させて対象物に掛ける場合もある。簡単に言うと手をフックの様な形状にして対象物に引っ掛けるようにする。親指以外の指をフック状に変化させ、親指を外れないためのロックと考える。このフックを相手の腕などに掛けるという動作である」

「この動作は相手の体を握らずに制御するための考え方となる。相手の腕などを握ってしまうと、握った力が相手に伝わることによって相手の意識が反応してしまう。それによって反発を呼び起こすことになる。そういった抵抗を相手にさせないために『掛ける』という動作が必要となる」

「掛けただけでは直ぐに外れてしまうと思うであろうが、それは『反し』の動作で対応する。手を反すことでフックにした手が外れない様に制御が可能となる。さらにフックをズラすことも外れない様にする対応手段となる。そして、なによりも『掛ける』という動作は自分の手に握るという余計な力が必要でないため自分の体を軽く制御することが可能となる。これは一石二鳥の動作となる!解るかい?」


「なんとなく・・・」


 カイが呟く様に答えた。


「まぁ、今はそれで十分だ!」

「『掛ける』という動作だが、最終的には対象物、つまり相手に自分の全体重を掛けるということになる。これは相手を殴るときも、投げるときも、そして剣で斬るときも相手に全体重を掛ける。全体重を掛けることによって威力が増し、自分よりも大きな相手や硬い相手に有効な技となる仕組みだ!」

「どうだろう、なんとなくでも解ってくれたかい?」


「まぁ、何となくではあるが、言わんとしていることは解る気がするよ!」


 トールが豪快に笑いながら言った。


「・・・トールは解ってないな・・・」


 優司は心の中で苦笑いをしている。


「まぁ、後は型の中で理解を深めてくれればいいと思う!以上が四つの重要な要素の動作となる!まとめると『反す』『ズレる』『揺らぐ』『掛ける』の四つとなる!この四つを順序よく、あるいは同時に正確に滑らかに行うことを『木ノ葉流舞』という。簡単に『流舞』ともいう!」

「木ノ葉流武闘術の基礎であり極意となるので、これが理解できるまで練習をする必要がある!これはしっかりと理解してくれ!」


 優司が言うとみんなが頷いた。


「それでは流舞を身に付けるための型をいくつか教えるので練習してみてくれ!二人で行う型は出来る限り体格の近い者と行ってくれ!初めは体格が近い方が型や技を理解しやすいからだ!いずれは体格差を気にしない練習を行うつもりだ!」


 優司はドラゴニュートたちにいくつかの型を教え、各々が練習しているところを見て廻っている。そんな優司へトールが話し掛けてきた。


「残念だが、俺と体格が同じヤツは居ない様だ!まぁ、国に帰ったら教わったことをやってみようと思うよ!」


「すまんな!ジャイアント族と同じ体格の種族は少ないみたいだからなぁ」


 優司がそういうとトールは話を続けた。


「しかし、お前が強い理由は解った様な気がするぞ!あんな風に戦い方を考えたことは一度も無かったからなぁ!お前は凄いよ!」


「ははは!俺じゃないよ!俺の先祖達が生き抜くために考えた知恵であり技だよ!恐らく、先祖達も色々な人たちと議論を重ねて作り上げたんだろうと思う!長い年月を掛けた数多の人達の努力の結晶さ!」


 優司が言うとトールが続けた。


「そうだな!自分だけではなく、仲間や子孫が生き残れるように色々なことを考えて技術にしてきたんだな!」


 優司はトールの言葉に微笑みで返し、型を練習しているドラゴニュートたちを眺めながら考えていた。


「・・・木ノ葉流武闘術がこの世界の人々に役立てられるのであれば、俺の先祖も喜んでくれるだろうなぁ・・・」

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